『ハインリッヒの法則』とは?
『ハインリッヒの法則』とは、「1件の重大事故の背後には、29件の軽微な事故と300件の事故寸前の異常がある」という、労働災害の分野で知られている法則です。
これらの件数から『1:29:300の法則』とも呼ばれています。
また「事故寸前の異常」は『ヒヤリハット』と呼ばれています。ヒヤリとしたりハッとしたりする事故一歩手前の状態を指します。
『ハインリッヒの法則』の由来
『ハインリッヒの法則』を提唱したのは、アメリカの損害保険会社で安全技師だった、ハーバード・ウィリアム・ハインリッヒです。
とある工場で発生した労働災害の調査を実施し、1931年に著書にまとめたことから知られるようになりました。
『ハインリッヒの法則』が日本の労働市場にも浸透
この『ハインリッヒの法則』は、なにか重大な事故や災害が発生した際には、その背景には多くの危険がひそんでいると意識することが必要だと警鐘を鳴らしています。
ハーバード・ウィリアム・ハインリッヒの著書は1951年に日本でも『災害防止の科学的研究』(出版社:日本安全衛生協会)として翻訳されました。
これを契機に、日本の労働現場、製造業や建設業、医療分野などにおいて、事故に対する注意喚起として現在も広く浸透しています。
ビジネスシーンでの『ハインリッヒの法則』の発生事例
『ハインリッヒの法則』は、製造業や医療現場などだけでなく、一般のオフィスワークでも当てはまります。
不祥事や広告表現による炎上など、発生事例はさまざま
一例としては、不祥事が挙げられます。経営危機に発展するような不祥事の裏には、不祥事寸前の『ヒヤリハット』が潜んでいるということです。
ほかにも、マーケティングの領域としては、広告表現による炎上(※)なども挙げられます。
※マーケティングの現場で実際に発生するトラブルについては、こちらの記事をご覧ください。
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『ハインリッヒの法則』の発生を回避させるためのポイント
『ヒヤリハット』を見逃さずに早急に対策を講じる
「1件の重大事故の背後には、29件の軽微な事故と300件の事故寸前の異常がある」という『ハインリッヒの法則』ですが、これはあくまで傾向的な表現で、重大事故が必ず330件目に発生するというわけではありません。
そのため、『ハインリッヒの法則』というものがあるという前提認識を持ち、重大事故や軽微な事故の手前の「事故寸前の異常」である『ヒヤリハット』を見逃さずに早急に対策を講じる、というのが回避させるポイントの一つです。
企業であれば、組織内であらかじめプロジェクトチームなどを設け、社内から報告があがってくる『ヒヤリハット』の対策を協議し、組織内で周知・啓蒙するといった活動を継続的に行うことが必要です。
その組織を構成するメンバーそれぞれが『ヒヤリハット』に注意を払うだけで『ハインリッヒの法則』を回避できる可能性は高まります。
『ヒヤリハット』を見つけたら共有する・共有しやすい土壌作り
下記の点を共有してもらい、『ハインリッヒの法則』の回避策を講じることが必要になります。
・どういった『ヒヤリハット』が起こったのか
・『ヒヤリハット』によってどんなことが起こったのか(どんな程度で済んだのか)
・悪化していたらどうなっていたのか
ですが、そもそもとして組織内に『ヒヤリハット』事象を共有しやすいと思える土壌作りが求められます。
「報告したら・しすぎたら評価にかかわるのではないか」などのメンバーの意識が働いて共有を阻害しないよう、マイナス評価にしない組織内合意と、安全性が高く業務リスクを回避するより良い組織を構築するために事象を把握するという目的を周知し、前向きに共有できるようにすべきです。
最後に
「いずれ大変な問題になるとわかっているのに放置して結果、大きな被害が起こってしまう」ことを『ブラックエレファント(黒い象)』と言いますが、軽微なリスク事案や『ヒヤリハット』を見て見ぬふりをしていると、いずれ経営危機に発展するような重大な事故が起こってしまうことになります。
『ハインリッヒの法則』や『ブラックエレファント』を回避するためには、軽微だと思われる事案や『ヒヤリハット』をしっかりと共有・把握し対策を講じることが有効です。
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