少ないサンプル数や試行回数から得られた情報を、過大評価して「正しい結果」であるとする『少数の法則』。
由来となる『大数の法則』、身近な例やビジネスシーンでの活用例・注意点などについて解説しています。
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『少数の法則』とは?
『少数の法則』とは、少ないサンプル数や試行回数から得られた情報を、過大評価して「正しい結果」であるとする心理的傾向のことです。
つまり、少ないサンプル・試行回数によって得られた統計的な結果であっても、無意識のうちに結果が正しいと思い込んでしまうバイアスです。
ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カールマンらが1971年に提唱した認知バイアスの一つであり、『早まった一般化(Hasty generalization)』とも呼ばれています。
また、統計学の定理の一つである『ポアソンの少数の法則』とは関係がないため、混同しないように注意が必要です。
由来は『大数の法則』
『少数の法則』は元々、統計学の基本定理の一つである『大数の法則』に由来しています。
『大数の法則』とは、サンプル数が多くなるほど極端なデータではなく、平均的な数値に収束するという確率論のことです。
例としては、サイコロを無限に振り続けると、出る目が「1/6」に収束する、ということが挙げられます。
コインを例にしてみる『大数の法則』
『大数の法則』のわかりやすい例として「コインの表裏が出る確率」があります。
表と裏の出る確率が2分の1であるコイン。
確率が「2分の1」かどうかを調べる際に、10回程度の試行回数では、表か裏のどちらかが出る回数には偏りが生じます。
ですが、コイン投げを100回、1,000回、1万回と試行回数を増やすと、表と裏が出る回数は半分ずつに収束していきます。
この、試行回数が増えると「コインが表面になる」発生確率が2分の1に収束していく事象を『大数の法則』と呼びます。
コインを例にしてみる『少数の法則』
一方、コインの表裏が出る確率を調べる際に「10回」しか行わなかった時、仮に表が8回、裏が2回出たとします。
この「10回」という少ない試行回数で得られた結果から、「(このコインは)表面が出やすい」と結論付けてしまう現象のことを『少数の法則』と呼びます。
『少数の法則』の身近な例
試験や日々接触する機会の多いSNSの広告などでも、『少数の法則』は生じます。
試験のマークシート
大学入学共通テスト(旧センター試験)や、資格の検定試験などで用いられる「マークシート」。
多くが1問ごとに4つの選択肢から回答を選びますが、この時に「2回、3回と同じ番号を連続して選ぶ」ことがあります。
すると、「(こんなに回答が連続しているということは)どこかの問題で間違った選択を選んでいるのでは?」と不安に駆られるようになります。
この思考が生じるのは、正解の番号が「ランダム」に振り分けられているとした場合、「同じ番号が連続して正解になる可能性は低いのでは?」と考えるからです。
ですが、選択肢の「1~4」のいずれかが等しい確率で正解の番号になるとするならば、3問の回答が「1・2・3」となる確率も、「1・1・1」となる確率も等しいのです。
前提が「ランダム」である場合、人間は「同じ選択を連続して選ぶ」ことに違和感を覚えるようになります。
これは、「同じ番号や記号が並ぶ状態が偶然起こるとは考えにくい」という思考が生じるからです。
そのため、少数のデータを集めた際に何らかの傾向が見られると「その傾向はたまたま得られた結果ではない」と考えてしまうわけです。
著名人やインフルエンサーの成功体験談
著名人やインフルエンサーの投資やダイエットなどに成功したという体験談についても、一見すると自身も同じ方法でやれば成功すると思い込んでしまいます。
ですが、こういった成功体験は「偶然成功した」だけで、その方法には再現性がないかもしれません。
そのため、限られた数の成功体験で判断してしまうことにはリスクがあることを頭に入れておくことが必要です。
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この続きでは、『少数の法則』のビジネスシーンでの活用例や注意点などについて解説しています。
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