
自身の知識や経験、能力を実際よりも過大に評価してしまう『オーバーコンフィデンス効果』。
発生するメカニズムや対処法、ポジティブな活用例などについて解説しています。
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『オーバーコンフィデンス効果』とは?
『オーバーコンフィデンス効果(Overconfidence effect)』とは、自身の知識や経験、能力を実際よりも過大に評価してしまう傾向のことです。
行動経済学にて研究されているテーマの1つで、『自信過剰バイアス』とも呼ばれています。
ちなみに、類似する心理作用として『ダニング=クルーガー効果』があります。
※『ダニング=クルーガー効果』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
正しい自己評価ができずに、認識の歪みによって実際よりも自分を過大 or 過小評価してしまう『ダニング=クルーガー効果』。発生する原因や発生することで起きる悪影響、発生例と対処法について解説しています。
『オーバーコンフィデンス効果』の発生例
さまざまな場面で生じる『オーバーコンフィデンス効果』。
過剰な自己評価によって、誤った判断や負う必要のないリスクを抱えることになってしまいます。
難解な「クイズ」や「なぞなぞ」に挑戦する
「クイズ」や「なぞなぞ」をする時、自分の知識を過大に評価して、難しい問題に挑戦してしまう。
リスクの高い投資を行ってしまう
投資家が、根拠のない自信を持ち、リスクを過小に評価してしまい、リスクの高い投資を行ってしまう。
運転事故やスピード違反をしてしまう
自身の運転能力を高く評価して注意が散漫になってしまい、スピード違反や交通事故を起こしてしまう。
困難な目標設定をしてしまう
自身の業務パフォーマンスを過信してしまい、現実的でない目標設定をしてしまう。
経営に悪影響を及ぼしてしまう
企業の経営者や事業を統括する幹部が、自身の判断や思案する戦略に過度に自信を持ってしまうことで、十分なリスク評価や慎重な検討を怠り、経営に悪影響を及ぼしてしまう。
『オーバーコンフィデンス効果』が発生するメカニズムと傾向
『オーバーコンフィデンス効果』という、自身を過大に評価してしまう要因は先入観や思い込みなど、さまざまありますが、1つに『説明深度の錯覚』が挙げられます。
自身が有している知識量の想定(=主観的知識量)が、実際に有している知識量(=客観的知識量)よりも高く見積もってしまう現象を意味する『説明深度の錯覚』。
この『説明深度の錯覚』が、過剰な自信や能力を過大評価してしまうことにつながることになります。
資産運用については「男性投資家」に顕著にあらわれる傾向が
カリフォルニア大学のテレンス・オディーン教授は、とある証券会社の数万件の口座を対象にした「男女の運用パフォーマンス比較」の調査を実施しました。
この調査結果によると、資産運用のパフォーマンスは、男性よりも女性の方が年率1%程度良かったことがわかっています。
テレンス・オディーン教授が、なぜ女性の方が運用パフォーマンスが良かったのか調べてみたところ、女性投資家よりも男性投資家の方が「売買を頻繁に行っていた」ことが原因である可能性が高いことが判明しました。
テレンス・オディーン教授の推察によると、一般的に男性の方が『オーバーコンフィデンス効果』が生じやすく、「売買することで運用を改善できる」と過信しやすい、としています。
あくまで、資産運用の領域に限ってではありますが、『オーバーコンフィデンス効果』は男性の方がより顕著に生じやすく、また調査からは一般人よりも専門家の方がより強く生じる傾向があると報告されています。
『オーバーコンフィデンス効果』への対処法
『オーバーコンフィデンス効果』によって生じるネガティブな影響に対処するためには、以下のような点に注意することが必要になります。
- 自身の評価を「客観視」する
- 「リスク管理」を意識する
- 「自己反省」する
- 「無知の知」の発想を持つ
自身の評価を「客観視」する
自分に都合の良い情報だけ集めていないか、過度な自信を持っていないか、「客観的に」自己評価を行うことがポイントの1つです。
「リスク管理」を意識する
物事を判断する際、「リスク」を適切に評価し、過剰な自信に囚われないようにすることも大切です。
「自己反省」する
過去に行った意思決定や言動を振り返って、自身を過大評価していなかったか(オーバーコンフィデンス効果に陥っていなかったか)を自省することも重要になります。
「無知の知」の発想を持つ
『オーバーコンフィデンス効果』が生じる要因の1つとして『説明深度の錯覚』が挙げられますが、その「自分が思っているよりも実は知らない」という錯覚に陥らないために、「自分は無知である=無知の知」という発想を持つことも、対処法の1つと言えます。
マーケティング施策へのポジティブな活用例
一方で、『オーバーコンフィデンス効果』をポジティブに活用することができます。
マーケティングの領域で活用するためには、消費者自身の評価が高まるよう刺激することがポイントになります。
- 美容広告「もっとキレイになりましょう」
- フィットネスジム「理想の体型に近づける」
- 自己啓発「夢に見た自分になれる」
- 広告やプロモーション「ナンバーワンの実績」
- 満足感を得る「リピート・口コミしよう」
美容広告「もっとキレイになりましょう」
例えば、美容関連の広告で「(この商品・サービスを使って)もっとキレイになりましょう」という、消費者の自己評価を強めるメッセージを発信する。
フィットネスジム「理想の体型に近づける」
ほかにも、本契約の前に「お試し期間」のあるフィットネスジムで、実際に運動し成果を体験する機会を提供することで、自己評価の高まりを促す。
自己啓発「夢に見た自分になれる」
セミナーや書籍、コーチングやトレーニングなどの「自己啓発」を通じて自己評価を高め、自信を持つためのサポートをする。
広告やプロモーション「ナンバーワンの実績」
「顧客満足度1位」や「売上No.1」などの競争的な表現を用いて、広告やプロモーションを展開することで、対象の商品やサービスの必要性を感じ、消費者自身の評価を刺激することにつながります。
この手法は『No.1マーケティング』に該当します。詳細については、こちらのページをご覧ください。
「1位」や「No.1」「ナンバーワン」という表現を用いて訴求力を高め、消費者の購買意欲を高める手法である『No.1マーケティング』。発生する理由や得られるメリット、実施手順や注意点などについて解説しています。
満足感を得る「リピート・口コミしよう」
「商品やサービスを購入すれば満足感を得られる」ことを強調した施策を展開すれば、リピートや口コミなどの情報発信が期待できるようになります。
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この続きでは、『オーバーコンフィデンス効果』のポジティブな面について解説しています。
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