「本心とは真逆の言動をすることで自分を守ろうとするメカニズム」である『反動形成』。
陥ることによる弊害や発生メカニズム、解消する方法などについて解説しています。
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『反動形成』とは?
自分の本心とは反対の言動を行うことで、自身を守る「自己防衛メカニズム」を意味する『反動形成』。
「好意を寄せている異性にそっけない態度を取ってしまう」というような、気持ちと正反対の行動をしてしまう「天邪鬼」がわかりやすいイメージの一つと言えます。
提唱したのは?
この『反動形成』は、オーストリアの精神分析学者である、ジークムント・フロイト 氏 が提唱した人間に備わった防衛機制のうちの一つです。
人間が生きていく中で遭遇する不安や葛藤に思う出来事に対応するための対処法が、この「防衛機制」であり、「自分にとって受け入れがたい思いと反対の行動を取ることで、その受け入れがたい感情を意識化しないようにする心理」とも言えます。
『反動形成』の具体例
『反動形成』は、幼少期だけに限らず大人にも起こりうる心理事象です。
「好きな子に意地悪してしまう」
「好きな子に意地悪してしまう」「気になっている人に話しかけたいけど話せない」「プレゼントをもらって嬉しいのに素っ気ない態度を取る」といったような、恋愛対象に思いと反した逆行動をしてしまうケース。
こういった言動の裏には、ただ単に緊張している場合も考えられますが、自分の気持ちを表現することに「恥ずかしさ」や「戸惑い」を感じていたり、相手に自分の気持ちが伝わって今の関係が終わってしまうという「恐怖感」があることが考えられます。
つまり、自分の気持ちを素直に意識したり表現して感じる「恥ずかしさ」や「戸惑い」「恐怖感」を避けようとすると、心身に「モヤモヤする」「緊張する」という反応が出てしまい、こういったある種のストレスに対処しようと無意識下へ追いやろうとして「裏腹な言動をしてしまう」というわけです。
ほかにも、付き合っていた相手からフラれた時に、ショックを受けたことを見せずに気丈に振る舞うことも、反対の感情を示す『反動形成』の例といえます。
「虐待を受けていても親を慕う」
子育て・親子関係で生じる『反動形成』の例としては、虐待を受けている子どもが、それでも親を慕うというケース。
「本心とは真逆の言動をすることで自分を守ろうとするメカニズム」である『反動形成』。
親と離れると生きていけない幼少期の場合、望んでいなくとも(虐待を受ける)環境に身を置かなければいけないと認識していると、『反動形成』が作用し、そんな親を受け入れることで自身の心の安定を図ろうとすることがあります。
※児童福祉の観点からみると、『反動形成』に関係なく、子どもはどんな親であっても慕うことが実際には多く見受けられます。
「苦手な上司であっても愛想よく振る舞う」
学校生活やビジネスシーンでも『反動形成』は起こります。
「相手のことが嫌いだけど、それが当人や周囲にバレると自分の立場が危うくなる」という思考によって、嫌いなクラスメートに親切にする、苦手な上司・先輩に対して愛想よくしたり過度な尊敬を示す、というケースも『反動形成』が生じている例といえます。
この傾向は特に、利害関係のある相手であったり近しい存在、環境的に離れることのできない相手であると、不利益を生じさせない=自分を守ろうとして、極端な言動をとりやすくなります。
「この人が嫌い・苦手」と意識してしまうと、その感情と向き合うことになります。
向き合うこと自体ストレスですし、意識することで態度に出てしまい相手に気づかれてしまうかもしれません。
つまり、『反動形成』は、人間関係を円滑にするために必要となる作用と言えるのです。
「怠け者と思われたくないから熱心に仕事をする」
ビジネスシーンでの発生例としては、ほかにも「ワーカホリック」と呼ばれる、毎日残業で終電帰り、休日も私生活を犠牲にして仕事をする人も『反動形成』に陥っている場合があります。
一見「仕事好き」だから熱心に働いていると見えますが、本心は「仕事をするのがイヤ」なのに「周囲の同僚から怠け者と思われたくない」から仕事熱心な人間を演じている、という本当の気持ちと反対の行動を取っているケースも考えられます(もちろん好きで仕事に熱中している人もいるとは思いますが)。
発生することによる弊害
『反動形成』は、自分を守ろうとして(無理やり)本心と逆の行動をするため、続けていると本当の気持ちがわからなくなってしまいます。
すると、気づかないうちに「演じている」ことで積み重なった疲弊によって、心神喪失状態に陥るリスクがあります。
そこまでの状態に陥ると立ち直ることが難しくなってしまうため、注意が必要な心理作用と言えます。
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この続きでは、『反動形成』が発生するメカニズム、解消する方法などについて解説しています。
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