発言や主張ではなく「口調や感情的な振る舞い」を非難して「論点」をすり替えようとする!?『トーンポリシング』

相手が主張した内容ではなく「伝え方(口調や論調)」に焦点を当てて非難することで、議論を拒否したり論点をズラそうとする『トーンポリシング』
日本で広まった由来や主な特徴、問題点や具体例、発生する原因や『マイクロアグレッション』との関係性や発生を抑制する方法などについて解説しています。

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誰でも情報を発信できるようになった一方で・・・

SNSなどによって声を上げやすくなった一方で議論の「本質」からズレてしまうことも

最近では、インターネットやソーシャルメディア(SNS)が普及したことで、差別やハラスメントといった「社会問題(社会課題)」について、人々が声を上げやすい環境になっています。

そうした環境によって、「社会問題(社会課題)」に対する認知の広がりや、議論の活性化につながっている一方で、声を上げた人の伝え方や態度の方に注目が集まり、議論が脱線することもしばしば見かけます。

こういった現象は、『トーンポリシング』と呼ばれています。

『トーンポリシング』とは?

「内容ではなく口調を理由に議論を拒否すること」と定義される行為

相手が主張した内容ではなく、「伝え方(口調や論調)」に焦点を当てて非難することで、議論を拒否したり論点をズラそうとする『トーンポリシング(Tone Policing)』

例えば「そんな感情的に伝えるのは良くない」などと相手を指摘し、議論の「本質」から逸らそうとする行為のことです。

別名「話し方警察」

「トーン(口調や論調)」を「ポリスする(取り締まる)」という意味から、日本語では「話し方警察」とも呼ばれています。

アメリカのWebマンガをきっかけに日本でも広まることに

アメリカのWebメディア上で公開された短編Webコミックが由来

『トーンポリシング』という言葉は、2000年代初頭にアメリカで広まり、その後SNSによって世界中に浸透するようになりました。

日本で広まるきっかけとなったのが、アメリカのWeb漫画『「冷静に」なんてなりません!』が日本語訳され、SNSで話題になったことだったと言われています。

この『「冷静に」なんてなりません!』(原題:No, We Won’t Calm Down – Tone Policing Is Just Another Way to Protect Privilege)では、主に『トーンポリシング』の構造と問題点を指摘していて、差別や抑圧を告発するマイノリティ(少数派)に対し、マジョリティ(多数派)側が「そんな感情的で乱暴な言い方では話を聞けない」「もっと冷静に話しなさい」と、発言の内容ではなく「言い方・態度」を問題視して議論を無効化するシーンが描かれています。

主な『トーンポリシング』の特徴

論点をズラして発言の妥当性を損ない主張を退ける

”何が”語られるかではなく、語る”態度や姿勢”に焦点を当てて論点をズラす『トーンポリシング』

意識的・無意識的のどちらであっても、発言者の主張についての議論を妨げる効果があります。

具体的には、以下の特徴があります。

  • 論点のすり替え:発言者が提議する問題の「本質」に向き合わず、「言い方が攻撃的」「感情的だ」と態度や口調に焦点を当てる。
  • 萎縮効果を促す:当事者の発言を「不適切」と見なすことで、異議の申し立てや発言自体を躊躇させる。
  • 力の不均衡:社会的・構造的に立場が強い側(マジョリティ)が、声を上げる弱い側(マイノリティ)の発言の機会や正当性を奪おうとする。

『トーンポリシング』の問題点

『トーンポリシング』がもたらす3つの悪影響

『トーンポリシング』は、相手を不快にさせたり傷つけるだけでなく、以下のようなネガティブな影響をもたらすことになります。

  • 議論の機会を損なわせて問題解決を妨げる
  • 言論や表現の自由を損なう
  • 「社会問題・社会課題」を常態化させてしまう

議論の機会を損なわせて問題解決を妨げる

①議論の「質」が低下し解決すべき問題を遠ざけてしまう

『トーンポリシング』は、論点をズラし「本筋」ではない議論が展開されるため、議論の質が低下してしまい、議論すべき問題の解決を妨げることにつながってしまいます。

言論や表現の自由を損なう

②大きく言えば「民主主義」を脅かす行為にもなってしまう

「伝え方(口調や論調)」に焦点を当てて非難する『トーンポリシング』によって、議論における意見の多様性を損ない、言論・表現の自由を脅かすことにもつながりかねません。

「社会問題・社会課題」を常態化させてしまう

③解決すべき問題や課題が維持されてしまう

『トーンポリシング』によって議論が停滞・本筋から逸れてしまうことから、社会問題や社会課題が解決へと向かうことなく「現状維持」につながってしまうリスクもあります。

この続きでは、『トーンポリシング』の具体例や発生する原因、『マイクロアグレッション』との関係性や発生を抑制する方法などについて解説しています。

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