自身の能力や実績を過小評価し認めることができない『インポスター症候群』。症状例や症状を起こす原因、マネジメントをする立場として緩和・克服させる方法、自身で緩和する・乗り越える方法などについて解説しています。
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「成功や実績を自認せず自己評価が低い」。そんな人いませんか?
「苦労してノルマを達成した部下を褒めても喜ばない」、「運が良かったから成功したと公言して自信を持てず、自己評価が低い」。
マネジメントをする際に、こんな部下はいませんか?
こういった部下が陥っている心理的傾向のことを『インポスター症候群』と呼びます。
『インポスター症候群』とは?
『インポスター症候群:Impostor Syndrome』とは、自身の能力や実績を過小評価し認めることができない心理的傾向のことです。
「インポスター」とは「詐欺師」「ペテン師」という意味で、「輝かしい業績に自分は見合わない」と考え、上司や周囲の人々を「自分は能力があると騙している」と思い込んでしまうことから、『詐欺師症候群』とも呼ばれています。
『インポスター症候群』に陥った人は自己評価が低いため、業務で挙げた成果を認められて昇格したとしても、あまり喜ぶことがありません。
そのため、人事評価をする上司などからは「意欲が無い」「期待外れ」と思われるケースもあります(とはいえモチベーションがないわけではありません)。
この『インポスター(詐欺師)症候群』は、『ブリリアントジャーク』と逆の心理現象と言えます。
※『ブリリアントジャーク』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
「優秀だが周囲に悪影響を与える人物」である『ブリリアントジャーク』。なってしまう原因と傾向や生じるデメリット、回避する方法・対処法や実際に同僚が『ブリリアントジャーク』だった・マネジメントすることになったケースなどについて解説しています。
この『インポスター症候群』は、特に社会的に成功したキャリアを有する女性に生じやすい傾向があると言われています。
『インポスター(詐欺師)症候群』に関連する症状は、職場などだけに留まらず、日常生活での不安感やストレス、自尊心の低さ、時には、うつ病や適応障害などの精神疾患を引き起こす原因にもなりかねません。
提唱・命名したのは?
この『インポスター(詐欺師)症候群』は、1978年に心理学者の ポーリン・R・クランス 氏と スザンヌ・アイムス 氏によって提唱されたと言われています。
インポスター症候群の症状例
『インポスター症候群』の主な症状は、以下の通りです。
他人と比較して自分を卑下してしまう
『インポスター症候群』に陥っている人は、自身に能力があることを示す実績があるにもかかわらず、偶然の産物や周囲のおかげであり、周囲を欺いていると考えてしまうため、他人よりも劣っていると自信を持てずに過小評価してしまう傾向があります。
失敗や批判を恐れて挑戦を避ける
『インポスター症候群』に陥っている人は、他人からの否定的な意見を恐れる傾向があり、さまざまな場面で「失敗」や「間違い」を極端に回避しようとします。
そのため、新しいことにチャレンジすることを自ら制限する傾向があります。
なぜ『インポスター症候群』に陥ってしまうのか?
『インポスター症候群』を発症する原因となる、心理的要因や社会的要因については、以下の通りです。
「抑うつ的自己意識」によってダメな部分に注目してしまう
『インポスター症候群』に陥ってしまう要因の一つとして、成功よりもダメな部分に注目してしまう「抑うつ的自己意識」によって、自己評価を下げて自信を失ってしまうことが挙げられます。
「現状維持バイアス」によって失敗を避ける
失敗や周囲からの過度の期待を恐れ回避するようになり、新しいことにチャレンジせず「現状維持」を目指すようになる『現状維持バイアス』も、『インポスター症候群』に陥ってしまう要因の一つと考えられます。
※『現状維持バイアス』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
何かを変化させれば現状がより良くなる可能性があるとしても、損失の可能性を考慮して現状を保持しようとする『現状維持バイアス』。発生する要因や発生例、予防策・克服方法について解説しています。
「成功回避欲求」によって現状維持に努める
失敗を恐れる『現状維持バイアス』とは逆に、成功することを恐れる「成功回避欲求」も、『インポスター症候群』に陥ってしまう要因の一つと考えられます。
成功することによって、多忙になり難易度の高い業務を担当することによってプライベートの時間が失われることを避ける・女性であれば出産時期を逃すリスクを回避する、また自身の評価が変化することを過度に恐れるため、「現状維持」に努めるようになりやすくなります。
「優秀」であるがゆえに・・・
また、一般的に「優秀」といわれる人ほど『インポスター症候群』に陥りやすいといわれています。
勤勉で能力の高い人は、自分が「ニセモノ」であると人から思われないよう熱心に働く傾向があるとともに、過度に「目立つ」ことを恐れるからです。
「出る杭」になってバッシングされたくない
欧米人と比較して、日本人は「出る杭」になるのを極端に嫌がる傾向があります。
「出る杭は打たれる」というように、新しいことに挑戦することにはリスクがあり、成功したとしてもねたまれるかもしれませんし、もし失敗すれば周囲から糾弾され、責任を追及されてしまいます。
「そういったリスクを負うくらいなら、目立つようなことはしない」方がマシだと思いやすいのです。
最近では過剰なほどの「バッシング」が起こりやすい傾向があるため、より慎重に保守的に言動を控えるという『没個性化現象』が生じやすいことも影響していると考えられます。
※『バッシングが起こるメカニズム』などについては、こちらのページをご覧ください。
インターネット上で特定の人物や団体に対して不特定多数の人間が批判・非難する『ネットバッシング(ネット炎上)』。なぜ起こるのか?2023年上期のトレンド・傾向、起こす人の傾向について解説しています。
※『没個性化現象』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
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幼少期の教育環境
幼少期の教育環境も『インポスター症候群』の原因の一つに挙げられます。
兄弟や姉妹がいる家庭において、常に「優劣」を比較されてきた場合や、「同調」を重視する教育方針のもとで育てられた場合には、両親や周囲の目を伺い過ぎるようになり、『インポスター症候群』に陥りやすいと考えられます。
価値観の植え付け~女性の社会進出・活躍という社会的要因も
さらに、「女性の社会進出・活躍」という社会的要因も、発症の要因として挙げられます。
幼少期に「女性は女性らしく」「女性は家庭的で控えめに」という価値観で育ってきたために、社会進出・活躍するタイミングで自分の能力や実力に自信を持つことができないことから、より顕著に『インポスター症候群』を発症するようになると考えられます。
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この続きでは、マネジメントをする立場として『インポスター症候群』を緩和・克服させる方法、
自身で緩和する・乗り越える方法などについて解説しています。
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