「悪い情報」を伝えることを避けて隠したりする『MUM効果』という心理事象。
なぜ注目するのか、ビジネスシーンでの発生例や回避するための方法について解説しています。
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『MUM効果』とは?
『MUM効果(MUM effect:マム効果)』とは、相手にとって不快に感じる「悪い情報」を伝えることを避けて隠したりする心理的傾向のことです。
イメージしやすい発生例としては、部下が上司にネガティブな情報を伝えない(報告しない)というケースが挙げられます。
また、情報の発信側だけでなく「情報を与えられないことで不安を駆り立てられる」という、情報の受け取り側の心理傾向も含まれます。
※「ソーシャルメディア(SNS)やWebミーティングといったオンライン上のメッセージや投稿を無視したり見落としてしまう心理的傾向」という説もありますが、こちらでは割愛します。
由来・提唱したのは?
この『MUM効果』は、1970年にアメリカの心理学者である、S・ローゼン 氏とA・テッサー 氏によって提唱されました。
名称の由来は諸説あり、以下のような説が挙げられています。
- 「MUM(母親)」に悪い点のテスト結果を知られたくないという心理から。
- 「Mummer=パントマイム役者」の略語(スラング)で、言葉を発しないパントマイマーから「沈黙」「無言」「口をつぐむ」という説。
- 「Minimizing Unpleasant Message=不快なメッセージを最小限にする」という言葉の頭文字から。
発生するメカニズムとは?
誰しもそうだと思いますが、人間には成功例やうまくいったことというポジティブな情報と比べると、失敗談やミスというネガティブな情報は伝達を避ける心理的傾向があります。
つまり、「悪い知らせを相手は聞きたくないだろう」という暗黙の了解のもとで、この『MUM効果』が発生しやすくなるということです。
本来、ネガティブな情報ほど素早く対処したり、共有・報告することが求められます。
ですが、「ネガティブな情報を共有・報告すると(自分に非がなかったとしても)自身の評価が下がってしまうかも」という一種のバイアスが働くことによって、一層不都合な情報を隠すようになってしまいます。
ビジネスシーンでの発生例
ビジネスシーンの例:業務進捗を報告しない部下と上司
イメージしやすい発生例としては、部下が上司にネガティブな情報を伝えない(報告しない)というケース。
例えば、上司が部下に任せていたプロジェクトにトラブルが発生していた場合。
部下からすると、報告しづらい状況に陥っているため、少しでも状況が良く聞こえるようにあれこれと思案したり、自分には非がないことをどう伝えるかを考えたり、そもそも報告しないで済む方法を考えるかもしれません。
一方、上司からすると、「報告がない=問題がない」とは考えずに「何かネガティブな状況だから報告しないのでは」と考えてしまいます。
そんな中で、上司がしびれを切らして部下に進捗を聞いた際に部下の歯切れが悪ければ、「何か自分に隠しているのでは?」と不安になってしまいます。
このケースは『MUM効果』の典型的な発生例と言えます。
ビジネスシーンの例:セールスマンの案件状況
『MUM効果』は情報の受け手・社内だけに限りません。
例えば、自社の商品・サービスを提案した営業マンが、その商談した相手から何の音沙汰も無いと「失注したに違いない」と思い込むケースも該当します。
「商談相手が断り文句を考えているから返答に時間がかかっているのだ」と考えるようになり、時間が経過するほど悲観してしまいます。
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この続きでは、『MUM効果』の発生を回避する方法について解説しています。
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