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『ウィンザー効果』とは?
『ウィンザー効果』とは、商品やサービスの提供者・提供会社から提示される情報よりも、口コミやレビューといった第三者から間接的に得る情報の方が信憑性が増す、という心理作用のことです。
『ウィンザー効果』の由来
『ウィンザー効果』は、作家であるアーリーン・ロマノネスが1990年の『伯爵夫人はスパイ』という小説の中で、登場するウィンザー伯爵夫人が「第三者の誉め言葉が一番効果がある」と言ったことが由来となっています。
『ウィンザー効果』の原理・メカニズム
なぜ『ウィンザー効果』が発生するかというと、人間には利害関係のない人からの情報には信憑性がある、と考える傾向があるからです。
逆に言うと、利害関係のある人からの情報には「ウソが含まれるかもしれない」と思うからです。
例えば何かの商品やサービスを販売しようとする人は、「この商品・サービスはとても良いです」と、販売して利益を得るためにその商品やサービスの良さしか伝えない傾向があります。
ですが、そういった利害関係がない人から勧められる方が信用するようになるということです。
『ウィンザー効果』の身近な例
この『ウィンザー効果』は、日常生活でも利用することができます。
良好な人間関係を築く
『ウィンザー効果』を使って、相手を喜ばせる・良い印象を与える例としては、自分自身でない第三者から「自分が良く言っていた」「自分が褒めていた」と伝えてもらうというものです。
自分自身から「良く思っている」「褒める」と直接伝えるよりも、自身ではない第三者から伝えてもらえると信憑性が高まり、良好な関係を築くきっかけになります(もちろん直接伝えた方が良いこともありますが)。
『ウィンザー効果』のビジネス(マーケティング)での活用例
日常生活以外のビジネスシーン、マーケティング領域でも『ウィンザー効果』は有効に活用できます。
口コミマーケティング(口コミサイト)
BtoC(企業対一般消費者取引)の飲食業や旅行業で一般的な『口コミサイト』ですが、最近では、BtoB(企業間取引)でも広がりを見せています。
一例としては、『ITレビュー』が挙げられます。
『ITレビュー』は、ソフトバンクグループのSB C&S株式会社とアイティメディア株式会社の合弁会社で、BtoB向けのソフトウェアやクラウドサービスといったIT製品に関するレビュープラットフォームです。
BtoCと同様に、投稿される口コミ(レビュー)が、購買行動に影響を与える可能性が高まります。
ですが、BtoBの場合は一般消費者の購入とは異なる(※)ので、留意する必要があります。
※『BtoBの商文化』については、こちらのページをご覧ください。
BtoB(企業間取引)ビジネスならではの特性について理解が進んでいないと「マーケティング活動で成果が出ていない」と誤解されてしまうかもしれません。BtoB文化や商習慣などおさえておくべきポイントを解説します。
口コミマーケティング(口コミサイト)が『ウィンザー効果』を発揮する要因としては、ポジティブなコメントだけでなくネガティブなコメントも併せて掲載されるという点です。
良い評価だけだと信憑性に欠けるため、悪い評価も第三者が行うことで、良い評価が際立つという効果が見込まれます。
口コミマーケティング(インフルエンサーマーケティング)
『口コミサイト』に自社商品やサービスのレビューを掲載してもらうという方法もありますが、第三者に情報を発信してもらうことも口コミマーケティングとして有効です。
代表的な施策としては『インフルエンサーマーケティング』(※)と呼ばれる手法です。
SNSで多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーに依頼し、自社商品やサービスの使用感を伝えてもらったり宣伝してもらえれば、抱えるフォロワーを中心に多くの見込み客に自社商品やサービスを認知してもらえる可能性が高まります。
※インフルエンサーマーケティングにつながる心理効果として『バンドワゴン効果』も挙げられます。詳細については、こちらのページをご覧ください。
バンドワゴン効果とは? バンドワゴン効果とは、経済学者であるライベンシュタインが1950年の論文の中で提示した行動心理学の事象の1つです。 「バンドワゴン」とは行列の先頭を行く「楽隊車」を意味し、「みんなが持っているなら …
導入事例(ケーススタディ)コンテンツ
自社商品・サービスの紹介情報だけでなく、導入ユーザーの声を『導入事例(ケーススタディ)』などの形式で公開するのも有効な施策の一つです。
取り扱う企業側が商品やサービスの良さを訴求するよりも、実際に商品やサービスを導入しているユーザーに良さを語ってもらう方が『ウィンザー効果』が発揮され、その商品やサービスの信憑性が高まることになります。
ユーザーの声を得るための方法としてメジャーなのはインタビュー・取材形式のものですが、オンライン・オフラインでアンケートに回答してもらう、もしくは使用感などを理解してもらい、その声をコンテンツなどで広めるためにモニターを募集するなどの方法があります。
『ウィンザー効果』を活用する際の注意点
『ウィンザー効果』には購買意欲を駆り立てる効果が見込めますが、活用する際には注意するポイントがあります。
情報発信者が利害関係のない第三者であること
活用する際の注意点としては、「情報発信者が情報元と利害関係のない第三者」である、ということです。
商品やサービスに関する情報を発信する人に利害関係がないことで「信頼性のある情報だ」と認識してもらえるので、利害関係のある情報元の発信の場合、良さを伝えていたとしても恣意的な印象を持たれてしまうため、『ウィンザー効果』を発揮できなくなってしまいます。
そして、利害関係があると判断されてしまうと『ステルスマーケティング』と認識され、購買意欲よりも発信する情報に対して疑念を深めてしまうことになってしまいます。
また、2023年10月1日から、ステルスマーケティングは景品表示法違反となるので、消費者に誤認させないよう注意が必須となります。
まとめ
『ウィンザー効果』を活用すれば、日常生活ではコミュニケーションを円滑にする可能性が高まりますし、ビジネスシーンにおいては、良い印象を持たれ信頼感が増すことになり、購買意欲が駆り立てられる可能性が高まります。
情報発信者の出どころに注意して、「ステルスマーケティング」にならないよう効果を発揮させることが求められます。
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