好景気に沸いた戦後の日本経済期
拡大成長を続けていた戦後復興期の日本。1955年~1973年頃までの高度経済成長期と呼ばれる期間は、日本経済が飛躍的に成長を遂げた時期でした。
その後、1986年~1991年頃まで続いたバブル経済期でさらに好景気に沸き、バブルが崩壊して一旦落ち込むものの、1999年~2000年頃まで続いたITバブルによって、アメリカの恩恵を受けて日本経済は活況を迎えていました。
この好景気までは、日本国内のどこかには常に需要があったため、その引き合いを求めて営業活動をしていれば商品が売れた、『拡大対応型の引き合い営業スタイル』、つまり『商品の良さを伝え続けていれば売れていた』時代と言えます。
リーマンショックや東日本大震災、少子高齢化によって消費・需要マインド・行動が鈍化し始めた
ですが、2008年9月にアメリカの投資銀行であるリーマンブラザーズが破綻したことを契機に、世界的な株価の下落、金融不安、同時不況といった『リーマンショック』が発生し、2011年3月には東日本大震災が発生。これらの影響により税収の減少や財政支出が増加し、政府の債務残高のGDP比率が200%を超えることになりました。
さらに、日本では少子高齢化が進む中で社会保障支出の増加や産業が縮小することになり、消費・需要マインド・行動が鈍化し始めた一方で、国内のモノ作りや技術開発力は高まり続け、各企業が提供する商品やサービスに大きな差異が無くなり供給過多に。
そのうえ、官民ともにデジタル化が進んだことで、時間やコストの削減や『その場所でしか』という制約を受けるケースが減少し、競合他社とのシェアの奪い合いが加速することになりました。
競合他社との競争に勝つためには、自社商品が競合商品よりも優れている・優位性があると顧客や消費者に認識してもらう必要があります。
こういった日本経済・社会の変化の中で、継続してビジネスを成長させていくために、日本でもマーケティングが注目され必要性が高まっていくことになりました。
好景気の『商品の良さを伝え続けていれば売れていた』時代であれば、商談のテーブルに着いてからが契約に向けての勝負でしたが、競合他社も自社の競合に負けないようにセールスアプローチを拡大し、またデジタル化によってインターネットでの情報収集が容易となり、自社のWebサイトを公開していて閲覧する顧客や消費者にわかりやすくなければ、知らないうちに商談の機会を逃すことになりました。
コロナ禍により一層高まるマーケティングへの期待
消費マインド落ち込みのテコ入れ策として、外国人観光客の増加によるインバウンド需要に期待をかけていましたが、2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行することになり、日本だけでなく世界共通の自分事にすべき「社会問題」となりました。
感染拡大に伴う外出・移動の自粛によって、国外の観点では、海外との往来そのものがストップしてしまったことで、江戸時代以来の「鎖国」状態になってしまいました。
国内の観点では、ネット通販やデリバリー、キャッシュレス決済など、巣ごもり需要が活性化。
企業活動においては、リモートワークへの移行が増え、オフラインの接触からオンライン商談などへビジネススタイルも変化を続けています。
企業の予算投資も、IT/テクノロジー、デジタル化へシフトし、社会におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)が一気に加速し、デジタル起点の活動が成長を続けています。
マーケティングのコミュニケーション活動も大きな見直しの契機となりました。
リアルイベント、セミナーの中止や延期によって見込み客獲得機会の減少が頻発したため、非対面式の顧客接点として、ウェビナーやオンライン・バーチャル展示会、インターネット広告へのシフトが一気に進むことになりました。
このように、感染症拡大による生活習慣や社会習慣の強制的な変化は、マーケティング活動を含む経済活動の在り方を問うことになりました。
とはいえ、コロナ禍より前から始まっていたデジタル化が一層進むことになった中で、さらにマーケティングの活動が経営に与えるインパクトが大きくなっているのは事実です。
どんな状況にも対応するためにおさえておきたいポイント
このような歴史の流れの中で、マーケティングが経営にとって重要度の高いスキルとして日本企業内で認知されたのは、ごく最近のことです。
大切なことは、起こるかもしれない社会変化や環境変化に柔軟に対応できるように、事前に「パターンB」のシナリオを備えておくことです。
そのためには、社会変化や環境変化によって『顧客』にはどういった変化が起こっているのかを捉えて、経営やマーケティングを柔軟に変化させていくことが必要です。
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