「適度な刺激」がやる気を継続させる！？『ヤーキーズ・ドットソンの法則』

「適切な緊張状態」であると集中力が増し、パフォーマンスが高まる傾向があるとされている『ヤーキーズ・ドットソンの法則』。
実証した動物実験と日常生活・ビジネスシーンにおける活用・応用例について解説しています。

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『ヤーキーズ・ドットソンの法則』とは？

『ヤーキーズ・ドットソンの法則（yerkes-dodsons law）』とは、ストレス（緊張）という刺激とパフォーマンス（効率性）の関係性を表した法則です。

この法則によると、人間には、ストレスといった刺激が極端に強すぎる・弱すぎるとパフォーマンスは低下し、「適切な緊張状態」であると集中力が増し、パフォーマンスが高まる傾向があるとされています。

実証した動物実験

この『ヤーキーズ・ドットソンの法則』は、生理心理学の法則の1つで、1908年に心理学者のロバート・ヤーキーズ 氏とジョン・ディリンガム・ドットソン 氏によって提唱されました。

ネズミに「黒」と「白」の目印を区別できるように訓練し、ネズミが区別を間違えた時には電気ショックを流し、学習を促すという実験を行いました。

その結果、電気ショックの程度が強まると正答率が高まることが判明しました。

そして、その正答率が高まる電気ショックの強さを上回ると、正答率が低下することがわかりました。

この実験では、適度なストレス（緊張）を感じるとパフォーマンスは向上し、過剰になると逆にパフォーマンスが低下すると述べられています。

ストレス（緊張）の強弱によるパフォーマンスの違い

この『ヤーキーズ・ドットソンの法則』では、「適切な刺激（ストレス）」は取り組む「課題の難易度」によって異なる、とされています。

つまり、取り組む課題の難易度は、当人にとって「適度」であることが望ましく、難しすぎても・簡単すぎても、パフォーマンスは低下してしまうのです。

ストレス（緊張）が弱いと・・・

単純な計算問題や反復練習のように「簡単な課題」の場合、ストレス（緊張）が弱くなるため、やる気が出ずに無気力になる恐れがあります。

そのため、ミスをした際には厳しいペナルティを設けるなど、強い緊張状態やストレスを与える方が、パフォーマンスが維持できるようになります。

ストレス（緊張）が強すぎると・・・

一方、「難しく複雑な課題」の場合、課題に取り組むこと自体にストレス（緊張）が過剰にかかるため、思うような結果が出ずに自信を喪失したり、自責の念が強まってしまうがちです。

そのため、当人の状況・段階に見合った達成の可能性がある目標を設定するなど、心理的な援助を行いストレスを軽減することが求められます。

『ヤーキーズ・ドットソンの法則』の日常生活における活用例

日常における『ヤーキーズ・ドットソンの法則』の活用例としては、以下のようなケースがあります。

• テストの結果次第でお小遣いが増減する
• カフェや図書館の方が集中力が増す
• 資格試験や入試に合格するための「縛り」
• 野球選手の「ここでやらなければならない」という場面

テストの結果次第でお小遣いが増減する

親は子どもに能動的に勉強して欲しいと思うものですが、テストの結果の良し悪しに関係なくお小遣いをあげると、子どもは「テストで良い点をとらなくてもお小遣いをもらえる」「勉強しなくてもお小遣いがもらえる」と思うようになってしまい、勉強に対するモチベーションが無くなってしまいます。

そのため、「今度のテストの結果が良ければお小遣いを増やす」など、子どもに対して「適度な緊張状態」を作り出すことが、勉強に取り組むきっかけになります。

カフェや図書館の方が集中力が増す

自宅よりも、一目のあるカフェや図書館の方が勉強の効率が上がることがあります。

これは、人の目や他人が居ることで生じる音が、本人にとって「適度なストレス」がかかる状態になり、効率が上がっていると考えられます。

資格試験や入試に合格するための「縛り」

資格試験や入試に合格するために、「1日に18時間勉強する」「1年間休むことなく勉強し続ける」という極端に高過ぎる目標を立ててしまうと、モチベーションを維持できなくなってしまいます。

そのため、「1日10時間勉強し、1週間に1日は休養日を設ける」など、適度な緊張状態を作ることで集中力を持続することが可能になり、メンタルヘルスも良好な状態を保てるようになります。

野球選手の「ここでやらなければならない」という場面

例えば、野球選手が大事な局面でホームランを打つなど、「ここでやらなければならない」というシーンにおいては緊張度が高まるため、その緊張度が本人にとって「適度なレベル」であれば良い結果を出す確率が高まるようになります。

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この続きでは、『ヤーキーズ・ドットソンの法則』のビジネスシーンにおける応用例について解説しています。

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