「マーケティングとPRの違い」
「マーケティングとPRの違い」を改めて聞かれると、答えに窮してしまうこともあるのではないでしょうか?
このマーケティングとPRは『役割』の点で大きな違いがあります。
マーケティングとは?
マーケティングは、その企業の経営理念や方針によって定義が異なるため活動範囲も違いますが、「商品やサービスが『売れる仕組み』を構築すること」、もしくは「売上を増加させ、利益増大に貢献すること」と定義することができます。
『マーケティング』のイメージ
PRとは?
一方、パブリックリレーションズ(Public Relations:公衆との関わり)の略語であるPRとは、「関係性の構築・維持のマネジメント」を意味しています。
企業や行政組織といった社会組織がステークホルダー(利害関係者)と双方向のコミュニケーションを行い、組織内に得られた情報をフィードバックして自己修正を図りつつ、良い関係を構築し継続していくマネジメントと定義されています(※)。
『PR』のイメージ
※マーケティング、PRの詳細については、こちらの記事をご覧ください。
マーケティング、広告、PR、ブランディング、口コミそれぞれの役割・違いと、『イメージ』の伝え方・伝わり方の比較を図解で解説しています。
マーケティングとPRの違いは『役割』
『マーケティング』は、売上を上げるために、特定のターゲットに取り扱う商品やサービスを販売することが役割であることに対して、『PR』は、(もちろん企業活動なので売上を上げることが最終目標になりますが)ステークホルダー(利害関係者)が存在する『社会』と双方向のコミュニケーションをとり、自社や取り扱い商品やサービスの自己修正をしつつ、コミュニケーションをとる『社会に変化を与える』ことが役割となります。
- マーケティング=対象:見込み客、役割:取り扱う商品やサービスを販売する。
- PR=対象:ステークホルダー(利害関係者)が存在する『社会』、役割:自己修正しつつ社会に変化を与える。
『PR』の歴史の変遷
PRのはじまり
諸説ありますが、PRの発祥は19世紀のアメリカと言われています。
「Public Relations」という言葉を最初に使ったのは、アメリカ独立宣言の起草者の一人として知られている、第3代アメリカ合衆国大統領のトーマス・ジェファーソンだと言われています。
1807年の選挙活動で「Public」「Relations」という言葉を組み合わせて用いたとされています。
とはいえこの時点での『PR』は、上述の通り本来のPRの「双方向」のコミュニケーションではなく、権力者から民衆への「一方通行」であったようです。
その後、「NYタイムズ」といった新聞メディア、そして『PR誌』の普及により、PRは活発化していくことになります。
PR普及の一役を買ったのは『PR誌』
企業や行政組織といった社会組織や団体などが、ステークホルダーを含む社会との関係を作るために発行し情報を発信するのが『PR誌』。
有名なPR誌として有名なのが『ミシュランガイド』と『ギネスブック』です。
有名なPR誌①『ミシュランガイド』
自動車旅行が活発化したことによって発行元であるタイヤ事業を営んでいたミシュラン社は、パリ万国展覧会が開催された1900年、普及し始めていたドライブ文化をより楽しめるようにドライバー向けのガイドブックである『ミシュランガイド』をフランスで発行しました。
『ミシュランガイド』には、自動車の修理工場やガソリンスタンド、市街地図や郵便局、電話の設置場所などを掲載。
35,000部が無料で配布されました(その後有償での販売に変更)。
その後、1926年には評判の高い料理を提供するホテルに星で格付けする「ミシュランの星」がはじまり、3つ星方式が1931年に導入。
自動車旅行の中で、道中の観光スポットに立ち寄る、その地域の格付けの高いホテルで料理を楽しみ宿泊する、快適なドライブ文化の醸成につながりました。
有名なPR誌②『ギネスブック(ギネス世界記録)』
『ギネス世界記録』(当時の名称は『ギネスブック』)は、アイルランドのビール会社であるギネス醸造所の最高経営責任者だったヒュー・ビーバーが発行しました。
仲間と楽しんでいた狩猟の獲物の中で「ヨーロッパで最も速く飛べる鳥はどの鳥か?」という議論をパブでしていましたが結論が出ず、「一番を集めて掲載した本があれば評判になるのでは」と考え、町中のパブでその書籍をプロモーションしようと思いついたのが始まりとされています。
現在では、さまざまな「世界一」を収録する書籍として広く知られている『ギネス世界記録』ですが、発行当初はお酒を片手に話に花を咲かせる話題として、パブ文化の発展につながったと言えます。
最後に
最近では、施策の多くがオンライン・デジタル化へとシフトしていますが、『社会を変える』、大きく言えば『世の中の文化構造を変える』アクションであるPRを進める際に、上述の『文化を創造した』PR誌のようなオフライン・アナログのアプローチも刺さるケースがあるかもしれません。
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