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『デコイ効果(おとり効果)』とは?
『デコイ効果(おとり効果)』とは、特定の商品・サービスを販売したい場合、その商品・サービスを基準にして「上のランクの商品・サービス」と「下のランクの商品・サービス」を併せて用意する、もしくは2つの選択肢で迷っている場合に、あえて見劣りする第3の選択肢を『おとり』として提示することで、消費者の意思決定をより誘導(=デコイ)しやすくなる心理効果です。
この『おとり効果』(デコイ効果)』は行動経済学では別名、吸引効果や非対称優性効果、対称的支配とも呼ばれ、用いることで購入をより強く後押しすることができるようになります。
デコイ効果が実証された実験
エコノミスト誌の購読に関する実験
マサチューセッツ工科大学のダン・アリエリー博士が2009年に実施した、行動経済学者のダン・アリエリー 氏のベストセラー『予想通りに不合理』で紹介された実験例です。
エコノミスト誌の購読を促すサブスクリプション広告(※)の画面において、以下の3つの選択肢がありました。
※『サブスクリプション』についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
定期的に定額の利用料を支払うことでサービスが提供される『サブスクリプション』。利用者・消費者、サービス提供者・事業者それぞれのメリットとデメリット、定額制/月額制サービス、SaaSとの違いについて解説しています。
①Web版エコノミスト誌の定期購読
価格:59ドル、『Economist.com』の1年間の定期購読が可能、1997年以降のエコノミスト誌に掲載されたすべての記事へのオンラインアクセス権を含む。
②雑誌版エコノミスト誌の定期購読
価格:125ドル、雑誌版『エコノミスト』の1年間の定期購読が可能。
③雑誌版とWeb版両方のエコノミスト誌の定期購読
価格:125ドル、雑誌版『エコノミスト』の1年間の定期購読に加え、1997年以降のエコノミスト誌に掲載されたすべての記事へのオンラインアクセス権を含む。
この3つの選択肢を見てみると、②の「雑誌版エコノミスト誌の定期購読」と、③の「雑誌版とWeb版両方のエコノミスト誌の定期購読」が同額の125ドルなので、③の「雑誌版とWeb版両方のエコノミスト誌の定期購読」の方を契約した方が、オトクである、というのが陥りがちな「予想通りの不合理」な考え方と指摘しています。
学生に対してどの選択肢を選ぶかをインタビューしてみると、以下のような結果になりました。
①Web版エコノミスト誌の定期購読:16%
②雑誌版エコノミスト誌の定期購読:0%
③雑誌版とWeb版両方のエコノミスト誌の定期購読:84%
誰も②の「雑誌版エコノミスト誌の定期購読」を選ばなかったという結果となり、この選択肢の存在が無意味に思えますが、②の選択肢を排除してヒアリングした場合、以下のような結果になりました。
●Web版エコノミスト誌の定期購読:68%
●雑誌版とWeb版両方のエコノミスト誌の定期購読:32%
つまり、②の「雑誌版エコノミスト誌の定期購読」を含めた3つの選択肢を提示することで、学生が選択する確率を操作し、売上を伸ばせることを証明したという実験です。
『デコイ効果(おとり効果)』の基礎となる心理効果
ちなみに、デコイ効果(おとり効果)は、『ゴルディロックス効果(松竹梅の法則)』(※)を応用した心理手法として知られています。
『ゴルディロックス効果(松竹梅の法則)』とは、3段階の選択肢があるとき、人間は真ん中の選択肢を選びやすいという心理的傾向のことです。
日本では『松竹梅の法則』と呼ばれており、「松」「竹」「梅」の3つの選択肢がある場合、「竹」が選ばれやすいという傾向です。
※『ゴルディロックス効果(松竹梅の法則)』についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
3つの選択肢のなかで真ん中が選ばれやすいというゴルディロックス効果・松竹梅の法則。メカニズムや活用する際のポイントを解説しています。
ビジネスシーンでの活用例
スマホを販売する場合
スマホを販売する際、以下のような選択肢を提示するとします。
●スマホA:128GB、300ドル
●スマホB:512GB、500ドル
●スマホC:380GB、550ドル
スマホAは容量が1番低く価格も1番安い、スマホBは容量が1番高く価格は2番目に高い、スマホCは容量は2番目に高く価格は1番高い、という製品です。
この例の場合、当然ながら「スマホC(容量は2番目に高く価格は1番高い)」が選ばれることはありません。
ですがこの「スマホC」という選択肢を加えることにより、「スマホB」の魅力を高めることになります。
つまり「スマホC」が「スマホB」を選びやすくする「おとり」「引き立て役」として機能し、消費者の意思決定を変化させる可能性が高まります。
お弁当を販売する場合
例えば、販売している¥400のお弁当と¥700のお弁当の2種類のうち、¥700のお弁当の方をより多く売りたいと考えていたとします。
安価でコスパを重視する人は¥400のお弁当、お財布に余裕があって満足感の高いものを食べたい人は¥700のお弁当を選ぶと想定されます。
そこで、¥700のお弁当よりも高い¥1,000のお弁当を販売します。すると、これまで¥400の1番安価なお弁当の売上が高かったのが、¥700のお弁当の売上が伸びるということがあります。
理由としては、「3つ」の選択肢があることで、安すぎるのは不安、高すぎるのはちょっと手が出せない、と考えて中間の価格帯である¥700のお弁当を選ぶ人が増えるからです。
この例は、あえて「¥1,000のお弁当」をおとり(当て馬)としてラインナップに加えることで、より販売したい「¥700のお弁当」へ購買者の意識を誘導するというケースです。
プレゼンシーンの場合
社内・もしくは商談先でプレゼンテーションを行う場合、1つの提案では不満があると決まるケースは稀です。
ですが、2つの提案でもいずれが良いのか悩んでしまい、結論をなかなか出してもらえないことも。
そこで、あえて「捨て案」を併せて提示することで、勧めたいプランが通りやすくなる可能性が高まります。
『デコイ効果(おとり効果)』を活用する際の注意点
選択肢を増やし過ぎない
選択肢が多すぎると、『選択回避の法則(ジャムの法則)』(※)という心理効果が働くリスクが高まってしまいます。
提示するプランや商品・サービスが多すぎると、比較すべきことや考えるべきことが増えてしまうため、選択することが面倒になってしまうためです。
そのため、「後で考えよう」「今のところは決めずに保留にしよう」と、その場での決定を回避するようになってしまいます。
選択肢は最大でも「5つ」程度に留めるなど、多くし過ぎないように注意することが必要になります。
※『選択回避の法則(ジャムの法則)』についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
選択肢が多すぎると決定することを避けてしまう心理現象『選択回避の法則』。法則のメカニズムと最適な選択肢について解説しています。
選択肢のうち「中間価格」にする
価格設定にも注意が必要です。
人間の心理として、低価格・中間価格・高価格の3種類がある場合、『ゴルディロックス効果(松竹梅の法則)』の心理作用が働くこともあって、中間価格を選ぶ人が増える傾向があります。
そのため、販売したい推奨商品・サービスがある場合は、それが「中間価格」となるように「おとり」を用意することがポイントとなります。
価格の割合イメージとしては、「プレミアムプラン・価格(5):★スタンダードプラン・価格(3):お買い得プラン・価格(2)」が理想と言われています。
(当たり前ですが)消費者やユーザーに無理強いしない
何かを購入する・導入しようとする際、人間には「損をしたくない」という『損失回避バイアス(損失回避の法則)』(※)が働きやすくなります。
そのため、『デコイ効果(おとり効果)』を活用して無理を強いて購入・導入してもらうと、その商品・サービス、もしくは自社のブランドを毀損するリスクが高まってしまいます。
なので、『デコイ効果(おとり効果)』を用いて商品やサービスの販売展開する際には、消費者・ユーザーにとって最適な価格提示と有益な価値を提供できるようにすることが求められます。
※『損失回避バイアス(損失回避の法則)』についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
利得と損失を比較する際、損失の方をより重大だと感じやすく、損失を回避しようとする心理的傾向である『損失回避バイアス(損失回避の法則)』。なぜ発生するのか、ほかの8つの心理効果との関係性、具体例やビジネスシーンへの応用例などについて解説しています。
最後に
あえて見劣りする第3の選択肢を『おとり』として提示することで、消費者の意思決定をより誘導しやすくなる『デコイ効果(おとり効果)』。
二者択一では迷いがちな消費者でも、あえて見劣りする「おとり」「噛ませ犬」とも言える3つ目の選択肢を提示することで、自社・自身が推奨したい商品やサービスへデコイ(誘導)できる可能性が高まります。
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