自分にとって好ましいことが起こる確率を過大評価し、好ましくないことが起こる確率を過小評価する『楽観性バイアス』。
具体例や不要なのか?類似した心理事象との違い、上手に付き合うための方法について解説しています。
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『楽観性バイアス』とは?
『楽観性バイアス』(Optimism Bias)とは、自分にとって好ましいことが起こる確率を過大評価し、好ましくないことが起こる確率を過小評価する心理的傾向(認識のゆがみ)のことです。
認知バイアスの一種で、『楽観主義バイアス』『オプティミズム・バイアス』とも呼ばれています。
具体的には、明確な根拠が無いにも関わらず、自分と同様の属性(性別、年代、居住地、職業など)を持った他人よりも、不幸な出来事(犯罪や病気、災害など)に自分が見舞われる可能性が低いと思考することです。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの認知神経科学の教授で神経科学者の ターリ・シャーロット 氏 は、80%の人が持つバイアスだと指摘しています。
この『楽観性バイアス』が生じることで、人間は「自分は大丈夫だ」と思って状況を楽観的に判断してしまい、危険を冒したり、用心を怠ったりするようになります。
日常生活における「心理的なストレス」を軽減するために、無意識に生じるバイアスと言われています。
世界中の著名人によるさまざまな講演会を開催・配信している非営利団体であるTED(Technology Entertainment Design)では、この『楽観性バイアス』について ターリ・シャーロット 氏 が動画で解説しています。
人間は生まれつき現実的ではなく楽観的なのでしょうか?ターリ・シャーロットは、新しい研究結果により、人間の脳が明るい面を見るように作られていることを示唆し、これが危険であると同時に利点でもあることを説明します。
『楽観性バイアス』の具体例
西洋社会の結婚観
上述の動画で解説している例の一つとして「結婚観」があります。
日本での離婚率は約35%と言われていますが、西洋社会ではそれよりも多く40%と言われています。
そんな状況ですが、新婚のカップルに「将来、離婚する確率は?」と聞くと「0%」と口を揃えて答えます(当たり前と言えば当たり前ですが)。
離婚率が高いと知っている離婚問題を取り扱う弁護士ですら、自分たちが離婚する確率を低く見積もっているようです。
そして、イギリス人の4人のうち3人は「家族の将来に対して楽観的に考えている」と答えているそうです。
これらの調査からわかる通り、人間は「自分のことについては楽観的」に考える傾向があります。
実際のところ、西洋社会では40%の離婚率ですが、その社会を構成する自分や自分の家族については、高い離婚率を無視しているのです。
老後の不安
老後の生活資金や医療、自身や配偶者の介護など、老後の不安が尽きることはありません。
これらの老後の不安が生じるのは、老後に向けたプランを立てていたとしても、そのプラン自体に『楽観性バイアス』がかかっているため、現実性のない(非現実な)ものになっていることが原因と一つとして考えられます。
「なんだかんだ自分は大丈夫」と楽観視してしまうことで、実際のプランと現実に乖離が生じてしまい、必要な生活資金を低く見積もってしまうのです。
災害発生時
災害発生時に「自分や自分の地域は大丈夫(安全)」と思い込むことも『楽観性バイアス』の典型例です。
2025年大阪・関西万博
イベントでは、国債博覧会条約に基づいて複数の国が参加する博覧会である、2025年大阪・関西万博の関連予算も『楽観性バイアス』が発生した例の一つと言えます。
2024年当初予算案に計上したのは836億円超で、2023年度に想定した見積もり予算の4倍超となっています。
こういったイベントやプロジェクトにかかる予算は想定当初において「過小評価」されがちで、「これぐらいで収まるだろう」という甘い見積もりが破綻し、開催が近づく中で詳細を詰めていくと予算が膨れ上がってしまう傾向があります。
論文を書き終える期間の見込み
ノーベル経済学賞を受賞した、認知心理学者の ダニエル・カーネマン 氏 は、楽観性バイアスが生じることを『計画錯誤』という言葉で表現しています。
『計画錯誤』とは、「時間や予算など計画完遂に必要な資源を常に『過小評価』し、遂行の容易さを『過大評価』する傾向」のことで、人間の思考の非合理性によって生じる予測エラーを指します。
この『計画錯誤』については『意志力の科学』(著:ロイ・バウマイスター、ジョン・ティアニー:インターシフト社)で取り上げられた、学生を対象にした実験で実証されています。
ある学者が学位論文を執筆している大学4年生の複数名に「いつごろ執筆し終わるか?」とアンケート調査し、最短の場合と最長の場合を予測させました。
その結果、学生たちが予想した最短日数の平均は27日で、最長日数は平均で49日でした。ところが、実際に執筆にかかった日数は平均で56日でした。
最短の場合の日数で執筆し終えた学生は少数で、最長の場合を予想した日数内で執筆し終えた学生は半数もおらず、過半数の学生は自分が予想した最長日数をかけても論文を完成させることができませんでした。
これは、楽観性バイアスによる『計画錯誤』に陥って、想定よりも時間がかかってしまったケースとして知られています。
『楽観性バイアス』は無くすべき?
上述のさまざまな発生例のように、『楽観性バイアス』による非現実的な楽観的思考は、危険な行動や無謀な計画につながってしまいます。
とはいえ、『楽観性バイアス』を無くせばよいかというと、そうではありません。
TEDで ターリ・シャーロット 氏 が解説している動画の中で、行動経済学者である ジョージ・ローウェンスタイン 氏 の研究結果を紹介しています。
セレブからキスをしてもらえるなら「どのタイミング」で「いくら」支払う?
行動経済学者である ジョージ・ローウェンスタイン 氏 は、大学生に「今すぐ」「3時間後」「24時間後」「3日後」「1年後」「10年後」のタイミングで、セレブから情熱的なキスをしてもらうのに、どれくらいのお金を支払うのか?アンケートをとりました。
最も高値がついたのは「今すぐ」ではなく「3日後」のキス、という結果となりました。
「今すぐ」キスされるよりも、キスされることを期待して待つ時間を得られる「3日後」を希望する学生が多かったというわけです。
人間は、未来に期待感を持つことで、人生を幸せにします。未来に期待を抱くには『楽観性バイアス』が必要になるわけです。
さらに楽観的な未来を展望すると、そのイメージした楽観的な未来に沿った行動を取るようになるので、結果として「期待通り」の未来を実現できるという可能性が生じることになります。
つまり、現実的ではない楽観的思考は危険な行動や無謀な計画につながってしまうリスクが生じますが、楽観的思考によって未来に期待を抱けるようにもなるため、一概に『楽観性バイアス』を無くせばよいという話にはならないということです。
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この続きでは、『正常性バイアス』『希望的観測』との違いや、『楽観性バイアス』と上手に付き合うための方法について解説しています。
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