無意識のうちに自ら「成功」を避けてしまう心理的傾向である『成功恐怖』。
発生要因とメカニズム、発生例と克服するためのアプローチなどについて解説しています。
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『成功恐怖』とは?

無意識のうちに自ら「成功」を避けてしまう心理現象を意味する『成功恐怖(成功不安・成功回避・成功恐怖症)』。
心理学者のホーナーが「成功恐怖理論」の中で指摘した現象で、「成功したら周囲から妬まれてしまうのではないか」「成功すると新たに責任が生じたり環境的変化が生じるのでは」など、さまざまな心理的要因が背景にあると言われています。
この『成功恐怖(fear of success)』は、「成功するのは良くない」と自分に対して発生するだけではなく、「勝たせ過ぎはよくない」と他者に対しても生じる現象と考えられます。
特に日本人に生じやすい心理的傾向?

日本人は、欧米人と比較して「成功する・・・出る杭」になることを極端に避ける傾向があります。
「出る杭は打たれる」と言われるように、新しいことに挑戦する際には「リスク」が伴います。
成功すればよいのですが、もし失敗してしまえば周囲から糾弾され、責任を追及されることになるため、「挑戦しようとする自分」を自分で邪魔(セルフハンディキャップ)してしまう、というわけです。
特に最近の日本では、ミスやトラブルを招いてしまったり不祥事を起こすことを過剰なまでにバッシングする傾向が強いため、慎重に物事を進めなければならなくなっていることも影響しています。
※『セルフハンディキャップ(セルフ・ハンディキャッピング)』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
事前に自分自身へ不利になる条件を課すことで、失敗した時の言い訳を用意して自尊心や自己評価を守ろうとする『セルフ・ハンディキャッピング』。発生することで生じるデメリットとメリット、発生するメカニズムや克服する方法、ビジネスシーンにおける対応策などについて解説しています。
主な『成功恐怖』が発生する要因とメカニズム

「成功への欲求」を抑制し、そのための行動を止めてしまう『成功恐怖』には、以下のような心理的背景や特徴が挙げられます。
- 「失敗」を恐れる
- 「周囲からの嫉妬や批判」への恐れ
- 「期待が高まる」ことへの恐れ
- 「変化する」ことへの抵抗
- 成功に伴う「責任とプレッシャー」
- 低い「自己評価」
- 「成功体験」が無い
「失敗」を恐れる

成功を求めて挑戦し失敗してしまったら、自分の非力さと向き合わなければならなくなり、傷つくことになるので回避してしまうのです。
「周囲からの嫉妬や批判」への恐れ

成功すると目立ってしまうので、他人から妬まれてしまったり、周囲との軋轢が生じてしまうことを無意識に恐れることも、『成功恐怖』の背景にあります。
「期待が高まる」ことへの恐れ

成功を望むほど、「失敗したらどうしよう」「周囲の期待に応えられないかも」という不安や恐怖感が増してきて、それが心理的ブレーキとなってしまうことも。
「変化する」ことへの抵抗

人間に備わっている『現状維持バイアス』も、『成功恐怖』を生じさせる要因の一つに挙げられます。
現状が良くなる可能性があるとしても、損失のリスクを考慮して現状を保持しようとする『現状維持バイアス』。
「成功によって生じる変化」に抵抗して「現状維持」を望むようになる、というわけです。
※『現状維持バイアス』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
何かを変化させれば現状がより良くなる可能性があるとしても、損失の可能性を考慮して現状を保持しようとする『現状維持バイアス』。発生する要因や発生例、予防策・克服方法について解説しています。
成功に伴う「責任とプレッシャー」

成功に伴う責任や、地位を維持し続けなければならないという重圧も、『成功恐怖』を生じさせる要因の一つと言えます。
低い「自己評価」

多くの実績や高い能力があるにも関わらず、成功を回避しようとする背景には、自身を過小評価し能力を肯定できない『インポスター症候群』が起因していることも考えられます。
過去の経験・トラウマがあり、こういった思考に陥っているケースがあります。
※『インポスター症候群』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
自身の能力や実績を過小評価し認めることができない『インポスター症候群』。症状例や症状を起こす原因、マネジメントをする立場として緩和・克服させる方法、自身で緩和する・乗り越える方法などについて解説しています。
「成功体験」が無い

これまで「成功体験」が無かった場合、「成功する」ことに慣れていないために不安が強くなり、慣れている状況へ戻ろうとするのも、『成功恐怖』が発生する要因と言えます。
『成功恐怖』の発生例

『成功恐怖』が発生する例としては、以下が挙げられます。
- マリッジブルー
- 起業を躊躇する
- ブラック企業に居続ける
- 事前調査で優勢な政党への投票を避ける
マリッジブルー

『成功恐怖』の有名な例として挙げられるのが「マリッジブルー」。
「マリッジブルー」とは、結婚前後に生じる一時的な不安や気分の落ち込みを指します。
「結婚して幸せになることへの恐怖」が背景にあり、幸せを失うことへの恐れや、結婚することで生じる新たな責任を負うことへのプレッシャーから、無意識に結婚から逃避したくなる、というわけです。
起業を躊躇する

起業することを躊躇うのも、『成功恐怖』の例と言えます。
「失敗への恐れ」や「成功した後の自分を取り巻く環境の変化に対する不安」などによって陥ってしまう、というわけです。
ブラック企業に居続ける

ブラック企業を辞められないのも、『成功恐怖』の例の一つ。
ブラック企業ながらも順応できてしまうと、「転職して新しい環境でやっていけるのか?」「もっとひどい職場環境かもしれない」と、変化への恐れを抱くことで、留まり続けてしまうのです。
事前調査で優勢な政党への投票を避ける

ほかにも、選挙の際に、事前調査で「特定の政党が優勢」との情報に接触すると、「優勢なあの政党が勝ち過ぎるのはよくない」「圧勝してしまうと大きな変化が起こるだろう」という心理になって、その政党への投票を回避しようとするのも『成功恐怖』の例と捉えることができます。
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この続きでは、『成功恐怖』を克服するための6つのアプローチなどについて解説しています。
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