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理屈が通る話をしているのにボタンの掛け違いが起こってしまう・・・
部下に対して業務の指示をする、ミーティングの場で自身の提案を説明する時、疑問を持たれないようにロジカルに伝えても、なかなか指示が徹底されない、相手が納得せずコミュニケーションギャップが生じてしまう。。そんなことが起こることがありませんでしょうか?
特にビジネスの場では論理的なコミュニケーションスキルが重視されるため、ロジカルシンキングやロジカルなコミュニケーションを身に付けるための人事研修がよく行われます。
ですが、それらの研修で得られる「論理的に物事を考える」ことが苦手な人が一定数存在します。
とはいえ、そういった物事を論理的に受け止めることを苦手とする人たちとも意思疎通をしていかないと、実際のビジネスをうまく進めることはできません。
「男性脳」と「女性脳」
よく「男性脳」「女性脳」と表現される、男性と女性という性別の違いで思考が異なると言われています。
作家であり男女の関係における心理カウンセラーとして知られている、アメリカのジョングレイ 氏が男女の思考の違いを以下のような言葉で表現しています。
「男は金星から、女は火星からやってきた」
このジョングレイ 氏は著書の中で、男性と女性の脳の構造の違いを指摘し、お互いを完全に理解し合うことはおよそ不可能である、と述べています。
違い①:遺伝子情報
男性の脳は「論理性」を重要視し、女性の脳は「感情」に重きを置く傾向があります。つまり男性は「目的」に志向性を持ち、女性は「共感」が大きなモチベーションになるということです。
これは、人類が狩猟生活をしていた時代から続く遺伝子情報の影響とされています。
男性が担っていた狩猟活動は命がけであったため、最も効率的に獲物を捕らえることが優先事項でした。そのため、目的志向の脳が発達したと言われています。
一方、女性は外敵からいつ襲われるかわからないため、常に周囲と頻繁に会話をしてお互いの存在を確認し合っていました。そのため、女性にとってはコミュニケーション自体が目的としていました。
また、自分たちの住処の周辺で食料の採集を行う・衣服を作る・料理をする・子どもの世話をする役割を担っていたため、自分が居るコミュニティ内での協調性が大切でした。
会話にも起こる男女の違い
この男女の遺伝子情報の違いは「会話」にも表れます。
男性は会話にも「目的」を持って行います。そのため、会話の中に要点がしっかりあり、相手にその内容を伝えるという明確な「目的」があります。
それに対して女性は、話すこと自体が「親密さの象徴」であるため、会話に目的や明確に伝えたいことが必ずあるわけではありません。
そのため、脈絡無く会話が飛び火したり迂回するため、男性にとっては「要点は何なのか」を掴めずにストレスを感じる、という状況が生じてしまいがちです。
つまり、女性が会話をする際は「自分の話に感情移入してもらい共感して欲しい」と考える傾向があります。
なので、会話をする相手が男性の場合「目的」を持って話すので、何かアドバイスをしようとしますが、女性側は「ただ話したい」「共感してもらいたい」という欲求のもとで会話をしていることから、男女間ですれ違いが生じてしまいがちです。
違い②:脳の構造
男女間の違いとして遺伝子情報のほかにも「脳の構造自体」にも違いがあることが確認されています。
一般的に言われている「男性脳」と「女性脳」の違いとしては、男性は空間認識に優れ、物事を論理的に思考したり分析することに優れていると言われています。
一方、女性は言語能力が高く、周囲との協調を図りながら円滑なコミュニケーションを構築することが向いていると言われています。
この違いの理由としては、左脳と右脳の連絡回路である脳梁が、女性の方が男性よりも50倍も太いためです。
つまり、女性は言語や計算処理を司る左脳と、感情や直感、感覚を司る右脳との間を連絡する情報が男性と比較して圧倒的に多いため、右脳で生じる感覚や感情を、左脳が司る言語としてアウトプットすることが上手ということです。
そのため、例えば女性は、会話の中で過去の記憶を引き合いに出すということがしやすい傾向があります。
ロジック(理屈)が通じない理由とは?
男性と女性とでは思考パターンや脳構造が異なることから会話に対する意味合いも異なることを上述しましたが、男女問わずロジカルや理屈が正しいにも関わらず通じない場合、もどかしい思いに駆られることがあるかと思います。
ですが逆に、自分自身も「相手の言うことは正しいと理解できるけど受け入れたくない」「指摘が当たっているからこそ納得できない」ということもあるはずです。
相手との関係性によって変わる
例えば、会議の場で自分が提案した内容に対して「それを進めるのはリスクが大きいのでは?」と疑問を提起された際、自分も「そうかもしれない」と思ったとします。
その疑問を提起した人が自分との関係性が良ければ、自分の思慮が浅かったことを認めて譲歩するような発言をするかもしれません。
ですが、日頃から反発を感じている人であった場合、素直に引き下がる気になれず、相手の言い分に対して反論するためのロジックを展開しようとするのではないでしょうか。
もしくは、上司から指示を受けた業務量が多かったり難易度が高すぎると感じたとしても、上司との関係性が良好な場合はヤル気を出して自分を奮い立たせるかもしれません。
ですが、上司との関係性が良くない場合は、最初から無理と決めてかかって取り組むため、結果として期限までに終わらないといった事態に陥る可能性が高いでしょう。
忘れてはならないのが『感情』『気持ち』
上述のように自分に置き換えて考えてみるとわかりやすいのですが、相手の指摘や理屈を受け入れるかどうかは、その相手との「関係性」や相手に対する「気持ち」によるところが大きいと言えます。
理屈で判断し行動することももちろんあるかと思いますが、『感情』や『気持ち』で動くのが人間というものです。
そこで大切になるのが、『情緒的コミュニケーション』です。
3種類の対人コミュニケーション
『情緒的コミュニケーション』を含めて、3つの手法が挙げられます。
道具的コミュニケーション
道具的コミュニケーション(機能的コミュニケーション)とは、自身の目的を達成するために、相手に情報を伝達するためのコミュニケーションを指します。
上司の部下への業務指示、「報連相(報告、連絡、相談)」などが該当します。
仮にこの道具的コミュニケーションに偏ってしまうと、良好な人間関係を築くことはできません。
自己充足的コミュニケーション
「自己充足」とは、自分の中だけで物事を終わらせて満足する、という意味です。
自己充足的コミュニケーションとは、相手に対して何かをお願いするのではなく、コミュニケーションすること自体が目的のコミュニケーションを指します。
特徴としては、自分自身を満足させる・相手からのコメントやレスポンスは必要ではなく、伝えてしまえばそれで良いというものです。
例えば、職場での同僚への挨拶や独りよがりな愚痴を言う、雑談などが該当します。
仕事に直接的に関係はしませんが、人間関係の構築や緊張緩和といった役割を果たす手法です。
仮にこの自己充足的コミュニケーションに偏ってしまうと、重要な業務指示などが曖昧になってしまったり、時間を取られて業務が進まない、また内容や相手によってハラスメントになるケースも。
情緒的コミュニケーション
『情緒的コミュニケーション』とは、感情や気持ちを交換・共有するコミュニケーションを指します。
双方向に意見を交わす雑談や、困りごとを相談する、呑み会などで交流するといった例が挙げられます。
この情緒的コミュニケーションによって、仲間意識や企業組織への帰属意識の醸成、集団の良好な風土の形成といった効果が期待できるようになります。
仮にこの情緒的コミュニケーションに偏ってしまうと、集合知的な発想になり合意形成に重きを置く思考が強まることから、物事がスピーディに決まらないケースが増えてしまいます。
特に中小規模の企業組織では、時に「即断即決」が求められるケースがあるため、使い方に注意が必要です。
3つのコミュニケーションの違い
●道具的コミュニケーション=情報を伝達するための手法
●自己充足的コミュニケーション=自分の欲求を満たすための手法(とはいえ、人間関係の構築や緊張緩和といった効果も)
●情緒的コミュニケーション=気持ちのやり取りをするための手法
『ボタンの掛け違い』を解消するために必要なこととは?
以前よりも「アフターファイブの呑みニケーション」というものが少なくなっています。そういった傾向もあってか、道具的コミュニケーションが色濃くなり、仕事に徹する時間が増えているかもしれません。
確かに業務効率が上がるというメリットを期待できますが、職場という集団では自己充足的コミュニケーションのような、ちょっとした言葉を交わす機会も必要になります。
さらに、コロナ禍の影響もあり、割合が減ってきているもののリモートワーク・出社と在宅のハイブリッドワークの機会が増えているため、特に若年層のコミュニケーション量が不足してしまうのはメンタルヘルスの観点からも危惧すべき点です。
なので、『情緒的コミュニケーション』や道具的コミュニケーション、自己充足的コミュニケーションをバランスよく使い分けて、気持ちが触れ合う時間を意識的に設けることが必要になります。
そうすることで、仕事をしながらも心身を安定させて、心理的安全性(※)を高め、コミュニケーションギャップによる『ボタンの掛け違い』を防ぐことで、円滑なコミュニケーションと効率的なビジネスを進めることができやすくなるのはないでしょうか。
※『心理的安全性』の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
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