なぜ「どうでもいい仕事」は無くならないのか!?『ブルシット・ジョブ』

働いている本人さえ「必要ない」と感じている、世の中や社会に何も貢献していない仕事を意味する『ブルシット・ジョブ』
『計画のグレシャムの法則』との違いや主な特徴、生じる5つの要因や増えてしまう原因、対抗策などについて解説しています。

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『ブルシット・ジョブ』とは?

「やる意味ある?」と思いながらも取り組み続ける仕事

働いている本人さえ「必要ない」と感じている、世の中や社会に何も貢献していない仕事を意味する『ブルシット・ジョブ(Bullshit Jobs)』

「ブルシット」には「不必要なもの」や「出鱈目」「ほら吹き」といった意味合いがあります。

『ブルシット・ジョブ』が無くなっても何も影響がないにも関わらず、従事している当人は「その仕事の存在を正当化しなければならない」と感じてしまうという、現代社会の矛盾を指摘するものとなっています。

従事者の精神的苦痛や組織の生産性を著しく低下させる原因となるため、人事やマネジメント層は『ブルシット・ジョブ』という存在を認識し、対策を講じる必要があります。

日本で広まったタイミング

日本ではコロナ禍に突入したタイミングで広まった概念

この『ブルシット・ジョブ』は、人類学者の デヴィッド・グレーバー が2013年に提唱した概念で、2020年に翻訳出版された『ブルシット・ジョブークソどうでもいい仕事の理論』によって日本で広まりました。

ちなみに、混同されがちな概念として『シット・ジョブ(Shit Jobs)』があります。

『ブルシット・ジョブ』が給料は良くても「無意味な仕事」を意味するのに対して、社会貢献性はあっても「きつい・汚い・危険」な低賃金・劣悪な環境の仕事のことを『シット・ジョブ』は意味しています。

『ブルシット・ジョブ』の例

「ムダな業務」の象徴ともいえる会議(ミーティング)

『ブルシット・ジョブ』の典型的な例として、「ムダな会議」が挙げられます。

株式会社パーソル総合研究所と立教大学の中原 淳 教授の調査によると、社内の会議・ミーティングだけで年間で150時間~400時間以上も費やしており、メンバー層で23.3%、上司層で27.5%の割合の人が会議を「ムダ」だと感じています。

ムダな会議に費やしている年間総人件費の推計結果:株式会社パーソル総合研究所

その「ムダ」に感じている会議時間をオカネに換算すると、1,500人規模の企業だと年間で約2億円、10,000人規模の企業の場合だと年間で約15億もの規模になります。

この調査から、参加している当人たちでさえ会議を「ムダ」だと認識しているものの、「ムダだからやめましょう」とは言わずに参加し続けているだけでなく、「会議を実施する意義」を無理やり捻り出して正当性しているのが多くの実状と言えるのです。

『計画のグレシャムの法則』との違い

ルーティンワーク(悪貨)に創造性の高い仕事(良貨)が駆逐されてしまう

「コレってやる意味ある?」と思う仕事はさまざまあります。

例えば、「前任者からやっていることだから・・・」「創業当初からずっと行っていることだから・・・」と、実施する目的を見失って「ルーティン化している業務」が挙げられます。

こういったルーティンワークが優先されて創造性の高い仕事が後回しになってしまうのは、『計画のグレシャムの法則(Gresham’s Law of Planning)』が原因と言われています。

『グレシャムの法則』を企業組織に適用させた概念

この『計画のグレシャムの法則』は、ノーベル経済学賞を受賞した ハーバート・サイモン というアメリカの学者が提唱しました。

ハーバート・サイモンは、「悪貨は良貨を駆逐する」という『グレシャムの法則』を企業組織に適用させて、「ルーティン化した業務は創造性を駆逐する」と述べました。

企業組織において「業務のルーティン化」は、効率性を高めるために重要になりますが、そのルーティンワーク(悪貨)に追われてしまうと、戦略を立てるなどの長期的には重要な創造的な仕事(良貨)が後回しにされて、いつまで経っても着手できない事態に陥ってしまうことも

時間的・質的な問題と仕事そのものの無意味さ

『ブルシット・ジョブ』が増えてしまうと、その「無意味な仕事」に取り組むために忙しくなり、結果として『計画のグレシャムの法則』が発生しやすくなる、という相乗的な悪循環に陥るケースがあります。

どちらも組織内での業務の非効率性や無意味性を指摘できる概念ですが、仕事の「優先順位」に関する時間的・質的な問題を指すのが『計画のグレシャムの法則』であるのに対し、『ブルシット・ジョブ』は仕事そのものの「存在意義」に関する本質的な無意味さを指す点が違いと言えます。

『計画のグレシャムの法則』の詳細や、抜け出すための方法などについては、こちらのページをご覧ください。

『ブルシット・ジョブ』の特徴

主な4つの特徴

主な『ブルシット・ジョブ』の特徴としては、以下の点が挙げられます。

  • 仕事をしている本人が、価値を見出せておらず「不要」だと感じる。
  • 企業組織の生産性を下げるだけでなく、社会的な貢献性もない。
  • 組織内の誰もが「どうでもいい仕事」だと認識しているが、それを口には出せない。
  • 無意味な労働によって、従事する人が「無力感」や「燃え尽き症候群」に陥るリスクも。


この続きでは、『ブルシット・ジョブ』が生じる5つの要因や増えてしまう原因、対抗策などについて解説しています。

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