クリエイターでなくても知っておきたい『お問い合わせフォーム』
中途入社してWebサイトの運用・管理を担当することになった。事業を立ち上げてWebサイトを構築する。
そんな際にWeb上の問い合わせ窓口として必要になる『お問い合わせフォーム』。
BtoB(企業間取引)、BtoC(企業-個人間取引)どちらでも、Webサイトから情報を収集することが主流となっている現代では、顧客や見込み客との接点の一つとして重要になりますが、クリエイターではないマーケターなども理解してしっかりと運用をしなければ、気づかないうちに機会損失を招いてしまいます。
Webフォームの役割
ここではWebフォームを広義として『お問い合わせフォーム』と表現していますが、役割は多岐に渡ります。
- セミナーなどのイベントに参加予約する
- キャンペーンに応募する
- アンケート調査を実施する
- 資料請求をする
- メールマガジンなどの会員登録する
- Webサイトに掲載されている商品やサービスの購入や注文をする
- その他の問い合わせ
『お問い合わせフォーム』ページの仕組み
基本的な『お問い合わせフォーム』ページの仕組みは3ステップです。
(フォームの項目に入力してもらう)
・入力ページ
(入力した項目内容をチェックしてもらう)
・確認ページ
(お問い合わせが完了したと知らせる)
・完了ページ
「確認ページ」がないと入力ミスに気づかずに、間違った項目情報が届いてしまうので必要なページです。
また「完了ページ」が表示されず、「お問い合わせが完了しました」という旨のメールだけ届く仕組みで運用するケースもありますが、メールボックスに気づかずに、何度もフォーム入力してしまうことも考えられますので、表示するようにした方が親切なページとなります。
『お問い合わせフォーム』のメリット・デメリット
『お問い合わせフォーム』を設置することはメリットだけを生み出すわけではありません。
デメリットも併せて紹介します。
『お問い合わせフォーム』のメリット
心理的なハードルが低く、気軽に問い合わせできることがメリットとして挙げられます。
また、電話での口頭で伝えずに文字入力情報となるので、伝えたい情報を伝達しやすいというのも利点です。
『お問い合わせフォーム』のデメリット
フォームの入力項目に該当しない問い合わせをしたい場合にストレスを感じてしまう点、また、入力する側の顧客や見込み客が比較的高齢の場合や、トラブルなど急ぎでの対応を求めている場合には不向きなのがデメリットとして挙げられます。
さらに、ボットプログラムによるスパム被害を受ける可能性があるので、セキュリティ対策を講じる必要があります。
フォームの成果を最大化させる『入力フォーム最適化(EFO)』
Webサイトのページビュー(PV)は増えているのに、『お問い合わせフォーム』への問い合わせが来ない・・・。
そんな時には、入力する顧客や見込み客がストレスを感じることがないよう、フォームのユーザビリティを高めなければなりません。これを、『EFO:Entry Form Optimization:入力フォーム最適化』と言います。
最適化のポイントは以下の通りです。
記入例を入れる
選択形式ではなく入力形式の項目の場合、入力項目名だけ記載していると、どういった形式で入力すればよいのかわかりづらい可能性があります。
記入例を入れることで、意図している内容の入力を促すことにもなります。
入力の「必須」と「任意」をわかりやすく
どの項目が必ず入力するべきなのか、どの項目はどちらでもよいのか、をわかりやすいフォームページでないと、「確認ページ」のステップでエラーに気づいて、ページの離脱率が上がってしまいます。
入力エラー&エラーの解決方法がすぐわかる
フォームページでよくあるのが、「ハイフンの有無」や「全角・半角」入力ですが、特にこれらは入力項目を埋めて「確認ページ」に進んだ際に、どの入力項目がエラーかわかりにくいと面倒に感じて諦めてしまいます。
エラー箇所が赤字になるなど、解決方法がすぐにわかる仕様でなければなりません。
選択項目の数を絞る
選択形式の項目の場合、あまりにも選択項目が多いと把握するのが面倒に感じてしまいます。
選択して欲しい項目が増えてしまいがちですが、入力する側の立場に立ってできるだけ数を絞ることをオススメします。
「自由記入欄」をできるだけ「必須」にしない
入力する顧客・見込み客側が考えなければならない「自由記入欄」。
選択式よりも回答する負担が大きくなるため、離脱率が上がってしまいがちです。
入力フォームの形式によっては「自由記入欄」が必須となるケースも考えられますので、できるだけ「自由記入欄」の項目を増やさないようにすることが大切です。
スマホ対応にする
最近では、Webサイトの閲覧もスマートフォンやタブレットの比率が上がっています。
そのため、パソコン以外のデバイスで『お問い合わせフォーム』へ入力するケースも増えているので、サイトと併せてフォームページもレスポンシブ対応にすることでユーザビリティを高めることにつながります。
こういった『EFO(入力フォーム最適化』を実施することで、折角フォームページに来訪したのに離脱してしまうといったケースを減らすことができるようになります。
最適な『お問い合わせフォーム』の入力項目は?
もちろん、販売したい商品やサービス、事業によって必要になる項目情報は異なります。
ですが、『EFO』の観点からも、入力する側の負担も考慮しなければなりません。
基本的な項目情報は『リード情報』
「リード(Lead)」とは「見込み客」を意味するマーケティング用語です。
見込み客とは、企業の商品やサービスに興味を持ち、購入してくれる可能性がある方の個人情報のこと(※)です。
主に、氏名、所属する会社名、部署名、役職名、電話番号、メールアドレス、住所を指します。
基本的には、これらの項目を入力してもらうようにすることが理想ですが、最低でもBtoBの場合、「氏・名」「会社名」(ドコの誰なのか)「メールアドレス」(連絡先)は必須項目に設定するべきです。
※BtoBで使われる「リード」の意味については、下記の記事をご覧ください。
「リード」とは? 「リード(Lead)」とは「見込み客」を意味するマーケティング用語です。 見込み客とは、企業の商品やサービスに興味を持ち、購入してくれる可能性がある方の個人情報のことです。 主に、氏名、所属する会社名、 …
欲を言えば『BANT情報』も
BANT(バント)情報とは、確度(見込み度合い)を判断するための条件(※)のことで、「Budget(予算)」「Authority(決裁権・権限)」「Needs(必要性)」「Timeframe(導入時期)」の4つの頭文字の略語です。
予算、決裁権・権限、必要性、導入時期の4つの情報を得ることで、案件の見込み度を精度高く測定できることから、BtoB(企業間取引)領域の営業活動を効率的に進めるために重要なポイントです。
入力フォームに反映させる場合には、下記の内容を選択形式を設けて選んでもらう方がハードルが下がります。
『Budget(予算)』
商品やサービスを導入するための予算を確保できる可能性があるのか。
『Authority(決裁権・権限)』
お問い合わせフォームに入力してくれる方が稟議申請・承認においてどのポジションにいるのか。
『Needs(必要性)』
必要性を感じてくれているのは現場担当者だけか、部門としてか、会社としてか。
『Timeframe(導入時期)』
希望・想定している導入時期はいつ頃なのか。
入力してもらう側からすれば、ノドから手が出るほど欲しい『BANT情報』ですが、まだ軽い気持ちで問い合わせしたい方からすれば、そのタイミングでこういった踏み込んだ質問を投げかけられると面倒に感じるケースも多いはずなので、「必須」項目にせず、入力できる人だけに向けた項目設定にするのが無難な運用と言えます。
※マーケターも把握しておきたい『BANT情報』については、下記の記事をご覧ください。
BANT情報とは? BANT(バント)情報とは、確度(見込み度合い)を判断するための条件のことで、「Budget(予算)」「Authority(決裁権・権限)」「Needs(必要性)」「Timeframe(導入時期)」の …
入力項目を決める際のポイント
・入力項目はできるだけ少なくする
入力項目が多いと自然とフォームページの離脱率は上がります。
運用する側も手間やコストも増えます。聞きたい気持ちをグッと抑えて、入力する側の立場で項目数を決めることが大切です。
・パーソナルな情報の入力項目を減らす
BtoBとBtoCのビジネスによっても変わりますが、個人的な趣味嗜好や保有する金融口座情報など、パーソナルな情報はできるだけ減らすこともポイントです。
・理想はターゲットによってフォームも分けるのも
「既存顧客向けのフォーム」「見込み客向けのフォーム」を用意するのが望ましいのですが、なかなか運用面でハードルが高いと思われますので、できるだけ『EFO』の視点でフォームを運用することが求められます。
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