BtoBビジネスでよく起こるボタンの掛け違い
「売り上げが足らないから、見込み客を獲得しよう」「見込み客を獲得するために〇〇をしよう」といった形で、マーケティング業務を日々進めていらっしゃるかと思います。
ですがまず、『集客と販売の違い』を理解しておかないと、「予算と社内人員を投下して〇〇したけれど、獲得したリードが売り上げになってないじゃないか!」と他部署や経営層から糾弾されることもしばしば。
理解すべき『集客の場』と『販売の場』の違い
マーケティング以外の部署や経営層も共通して理解しておくべき点として、『集客の場』と『販売の場』は別であるということです。
BtoBのビジネスの場合、購買プロセスの段階を経て購入=収益となります。
BtoCの場合であれば、一足飛びで「知ってすぐに購入」というケースも起こり得ますが、BtoBの場合はそういきません(※)。
そのため、まだ自社や商品・サービスを知らない人に、集客目的ではなく販売を目的にしたアプローチをいくらしても、ニーズやタイミングが合致する・稟議の不要な価格帯でない限り、BtoBの場合は特に嫌がられてしまい、今後の商談機会を失うことになってしまいます。
※BtoBの購買特性については、こちらの記事をご覧ください。
BtoB(企業間取引)ビジネスならではの特性について理解が進んでいないと「マーケティング活動で成果が出ていない」と誤解されてしまうかもしれません。BtoB文化や商習慣などおさえておくべきポイントを解説します。
『集客』『販売』のそれぞれの意味とは?
では、そもそも集客と販売それぞれの意味とは何なのでしょうか。
『集客』とは?
『集客』とは、自社が販売したい商品 or サービスに関する情報を提供して、興味を持ってくれそうな人(=見込み客)を集めること、を指します。
あくまで「集める」ことが目的なので、集客のこの段階では「販売する」という要素は含まれていません。
『販売』とは?
『販売』とは、言わずもがなですが、自社の商品やサービスを売ることです。
つまり、『集客』とは見込み客を集める段階であり、『販売』とはその見込み客に売り込む行為を指しています。
そのため、『販売』の前段階として『集客』が必要になります。
購買プロセスを可視化できるフレームワーク『AIDMA』
上述の通り、まだ自社や商品・サービスを知らない相手にいきなり売り込みをしてしまうと、相手には「押し売り」と受け取られ、信頼・信用を得られず購入までには至らないことになり、せっかくのリード(見込み客)が、アプローチ不可の個人情報となってしまいます。
そのため、アプローチする対象がどういった意識段階なのかを把握して施策に取り組む必要があります。
この「対象の意識段階」、『集客』と『販売』の違いを理解する際に有用なフレームワークが『AIDMA』(※)です。
『AIDMA』を用いれば、アプローチ対象が商品やサービスを認知してから購買に至るまでの心理プロセスを5段階で表わすことができます。
※『AIDMA』に関する詳細については、こちらの記事をご覧ください。
刺さる施策や効率的なアクションをするためには、顧客の心理プロセスを把握することが必要です。そんな時に有効な考え方である『AIDMA』『AISAS』に関して解説します。
この『AIDMA』で見ると、アプローチする対象が『集客』に当てはまるのが、「Attention(注意)」、「Interest(関心)」、「Desire(欲求)」、「Memory(記憶)」までの意識ステージの方々、『販売』に当てはまるのが「Action(行動)」の意識ステージにいる方々となります。
展示会施策を例に見てみると・・・
リード獲得のメジャーな施策である「展示会へのブース出展」
BtoBマーケティングで見込み客(リード)を獲得するメジャーな施策に「展示会へのブース出展」があります。
コロナ禍の影響を受けつつも、リアルイベントである展示会が開催されており、主に3日間の開催で多くの来場者が来ることから、短期間で多くのリードを獲得できる点がメリットとして挙げられます。
ですが「展示会でのリード獲得」施策にも、注意点があります。
展示会に来場する方々の主な目的
展示会にブースを出展する側からすると「見込み客との出会い」が目的になりますが、来場される方々の主な目的は「情報収集」です。つまり、展示会の場で即購入というケースはほぼない、ということです。
この来場者の目的をしっかりと出展側は注意して認識する必要があります。
そのため、展示会の出展ブースで初めて名刺交換する方々に対しては『集客の場』となります。
上述の『AIDMA』に当てはめると、「Attention(注意)」、「Interest(関心)」、「Desire(欲求)」、「Memory(記憶)」までの意識ステージの方々となり、「自社・商品 or サービスを知ってもらい、興味を持ってもらい、欲しいと思ってもらう、記憶してもらう」ことを出展社側の目的にするのが理想です。
とはいえ、例えばすでに接触のある(自社や商品・サービスの価値を認識してもらっている)見込み客(リード)にメールなどで出展告知連絡をして来場してもらえれば、その見込み客に対しては展示会の場は『販売(促進)の場』となるので、「Action(行動)」つまり購入に向けたアクションに適していると言えます。
購買ステップを踏んでもらうために
ごくごく当たり前ですが、「まず知ってもらうこと」がビジネスの最初の一歩です。
展示会を契機に「知ってもらい」、例えばその後セミナーを開催し参加してもらうことで、見込み客(リード)に購買プロセスのステップを踏んでもらい、購買意欲を高めるよう、適切にフォローすることが必要です。
まとめ
下記の記事で、音楽のサブスク事例をもとに「期待する成果と得られる成果のミスマッチ」を起こすケース(※)を紹介していますが、アプローチする見込み客を理解し、購買へのステップを着実に踏んでもらえるよう適切にフォローできれば、失注リスクを回避しつつ実施する施策と広告宣伝費が効率的になる可能性が高まります。
※「~「サブスク音楽配信サービス」から見る~『期待する成果』と『得られる成果』のミスマッチを起こさない方法とは!?」
定期的に定額の利用料を支払うことでサービスが提供される『サブスクリプション』。利用者・消費者、サービス提供者・事業者それぞれのメリットとデメリット、定額制/月額制サービス、SaaSとの違いについて解説しています。
『集客の場』と『販売の場』の違いを前提とした見込み客獲得アクションをご希望の際には、ぜひ当社にご相談ください。
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