目先の欲求を優先してやるべきことを先延ばしにしてしまう!?『現在志向バイアス』

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現在志向バイアス(現在バイアス)とは?

「先延ばしをしたがる心理」

現在志向バイアス(現在バイアス)とは、将来得られる利益よりも、現在得られる利益を優先する心理的傾向のことです。

多くの人間は、将来の大きな利益(遅延報酬)と、目の前の小さな利益(即時報酬)を天秤にかけると、後者を選択する傾向があります。
この心理傾向は「先延ばしをしたがる心理」とも言えます。

これは、未来の自分のために実行した方が良いと思っていても、現在の目先の欲求を優先してしまい、本当に必要な前者の事柄を後回しにしてしまう傾向と言い換えることができます。

提唱したのは?

ダニエル・カーネマン 氏が実証・提唱

この『現在志向バイアス(現在バイアス)』は、行動経済学の第一人者であるダニエル・カーネマン 氏が行動実験により実証・提唱されました。

自制できるかどうかが人生を左右することを明らかにした『マシュマロ実験』

有名な『マシュマロ実験』(マシュマロ・テスト)

スタンフォード大学の心理学者であるウォルター・ミシェル 氏が、1960年台後半~1970年台前半にかけて実施した『マシュマロ実験』(マシュマロ・テスト)が有名です。

部屋に入ってもらった被験者の4歳の子どもの目の前にマシュマロを1つ置きます。

そして「このマシュマロを食べてもよいけど、15分食べるのを我慢したらもう1つマシュマロをあげるよ」と告げて、部屋に子どもを一人にする。

つまり、被験者の子どもには次の選択をしてもらうわけです。

●今すぐマシュマロを1つもらう
●15分後にマシュマロを2つもらう

合理的に考えると、15分我慢してマシュマロを2つもらうのが得策と言えますが、この実験の結果は、約3分の2の子どもが我慢できずにマシュマロを食べてしまいました。

追跡調査も実施

この実験には続きがあり、十数年後に成長した被験者に追跡調査を行いました。

追跡調査では、当時我慢できずにマシュマロを食べてしまった子どもたちには、対人関係が上手くいかず、ストレスに弱く、自分に自信が持てない傾向が見られました。
一方、食べずに我慢できた子どもたちは、成績優秀でストレスに強く、自分に自信がある傾向があったとされています。

この実験結果から、人間の発達において自身の感情を抑えるという「自制心」が、人生の成功につながるカギであることが明らかになりました。
セルフコントロールや自制心の重要性を説く際、この実験は例え話(メタファー)としてよく用いられています。

発生するメカニズム

いろいろな観点から『現在志向バイアス(現在バイアス)』が発生するメカニズムが挙げられます。

行動経済学における『双曲割引』モデル

「遠い将来なら待てるが、近い将来ならば待てない」

●今すぐ10万円もらえる
●1週間後に10万1,000円もらえる

このような2つの選択肢がある場合、一定数「今すぐもらえる10万円」を選ぶ人はいますが、合理的に考えると「1週間後にもらえる10万1,000円」を選ぶ方が得策であり割合としては多くなる傾向があります。

●1年後に10万円もらえる
●1年1か月後に10万1,000円もらえる

しかし、追加して次の質問をしてみると「1年1か月後に10万1,000円もらえる」という選択肢を選ぶ割合が多くなります。

最初の質問の「今すぐ or 1週間後」の場合は1週間待つことを避けましたが、「1年後 or 1年1か月後」となると1年後であろうが、1年1か月後であろうが変わらないという思考になります。

この「遠い将来なら待てるが、近い将来ならば待てない」という現象を表した関数を行動経済学では『双曲割引』と呼んでいます。

「今すぐ得られる利益」と「1週間後に得られる利益」とでは大きな差を感じますが、「1年後に得られる利益」と「1年1か月後に得られる利益」ではほどんど差を感じなくなるというわけです。

目の前に迫った欲求の方が価値が高いと感じる

目先の欲求の方が重要性が大きく感じやすい

将来得られる利益のための活動よりも、目先の欲求に負ける・優先して「(将来得られる利益のための活動を)先延ばし」をしてしまうのは、目の前に迫った欲求の方が価値が高いように感じてしまうからです。

期限が遠くにある「将来」と目の前にある欲求を比較すると、目先の方が重要性が大きく感じやすくなってしまうというわけです。

コストと報酬に時間差がある

コストを積み重ねても報酬を得られるまで時間がかかる

さらに先延ばしの原因として「コストと報酬に時間差がある」ことも挙げられます。

例えば、1年後の合格に向けて受験勉強をする場合、「勉強」というコストを積み重ねても「合格」という報酬を得られるまでには1年かかり、しかも確定した報酬では(合格するかどうかは)ありません。

一方、「スマホゲームを楽しむ」という報酬は「スマホゲームをする」というコストだけで今すぐ・確実に得ることができます。なので、目の前の欲求や報酬に負けやすくなってしまいます。

不明瞭な未来と確実な今の違い

「今・現在」を大切にする思考

太古の人間は1年後に生きている保証はありませんでした。飢餓や野生生物に襲われるかもしれません。そのため「今・現在」を大切にするという思考は至極当たり前と言えます。

現代を生きる人間も本質的には同じです。1年後・5年後・10年後、自身が健やかな日常を過ごせるかどうかは誰にも保証することはできません。

といったことから、未来を変えるための長期的な目標は、目の前の短絡的な欲求に負けやすい傾向があるわけです。

現在志向バイアスと現状維持バイアスの違い

保守的か?欲求的か?

現在を「志向する」バイアスと現在を「維持する」バイアスということで、似ている印象のある2つのバイアスですが、それぞれ意味が異なります。

『現状維持バイアス』とは、何かを変化させれば現状がより良くなる可能性があるとしても、損失や失敗の可能性を恐れて現状を保持しようとする心理事象のこと。

『現状維持バイアス』の詳細は、こちらの記事をご覧ください。

一方、『現在志向バイアス』とは上述の通り、将来得られる利益よりも、現在得られる利益を優先する心理的傾向のことで、未来の自分のために実行した方が良いと思っていても、現在の目先の欲求を優先してしまい、本当に必要な前者の事柄を後回しにしてしまう傾向とも言えます。

将来発生するかもしれない損失やリスクを回避して、現状を維持しようとする『保守的な思考』である現状維持バイアスと、将来よりも今目の前にある報酬や衝動を渇望する『欲求的な思考』である現在志向バイアスとも言えます。

保守的か欲求的かというのが2つのバイアスの違いと言えそうです。

現在志向バイアス(現在バイアス)の発生例

どの発生例にも共通して言えるのは、行動してから成果(報酬)が出るまで時間がかかるという点です。

試験・受験勉強

発生例①:試験・受験勉強

試験勉強や受験勉強の場合、「勉強」というコストを積み重ねても「高得点・合格」といった報酬を得られるまでには時間がかかり、また勉強したとしても「高得点・合格」という報酬は確定していません。

そのため目の前にある欲求を優先してしまい、「今日できなかった分は明日やれば大丈夫」と先延ばしにして『現在志向バイアス』が発生しやすくなります。

ダイエット

発生例②:ダイエット

ダイエットのケースも、目標とする体重・体重の減少という成果はすぐには現れません。

そのため「3か月後までに〇キロ痩せる・〇キロになる」と目標を掲げても、長期的な目標であり遠い未来と感じることで「明日からやれば大丈夫」と、目の前にある欲求(=ラクすること)を優先してダイエットを先延ばしにしてしまいがちです。

金融投資

発生例③:金融投資

金融投資の目に見えるリターンも、多くは数年・数十年のスパンの期間がかかります。

そのため、いま楽しいことや使いたいことを優先してお金を使ってしまうということになりがちです。

依存症

発生例④:依存症

タバコ(ニコチン)依存やアルコール依存、ギャンブル依存などの依存症も、長期的な視点よりも短期的な視点を優先してしまうために発生すると言えます。

将来の健康のためにタバコやお酒を我慢したり、将来の生活資金を確保するためにギャンブルを控えるというのがハードルの高いものになりがちということです。

マーケティングへの応用例

「今すぐ」の行動を促すキャッチコピー

マーケティングへの応用例としては、『現在志向バイアス(現在バイアス)』を逆手にとって「今すぐ」の行動を促すキャッチコピーが挙げられます。

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現在志向バイアス(現在バイアス)の発生を防ぐには?

一方、消費者の立場から考えると、現在志向バイアス(現在バイアス)の発生を防ぐ対策を講じる必要があります。

目の前の欲求から目をそらす

目先の欲求から目をそらす・遠ざける

現在志向バイアスを防ぐ最も簡単な方法は「(目の前の)欲求が目に入らないようにする」ことです。

上述の「マシュマロ実験」では、マシュマロを触ったり匂いを嗅いだりした子どもたちは我慢できない傾向がありました。
反対に、目をそらして見ないようにした子どもたちは我慢ができる傾向が見られました。

目の前の欲求から目をそらしたり、遠ざけることが大切になります。

現在志向バイアスを想定したうえで対策を講じておく

想定したうえで対策を練る

現在志向バイアスによって、目の前の欲求を重大に感じてしまうこと自体、避けることができません。

そのため、ダイエットのケースであれば、目の前の食べ物を食べたいと感じた際にはガムを嚙むといった形で、発生する前に対策を立てておくことが回避につながります。

未来の報酬と目先の報酬を比較する(天使と悪魔のメタファー)

どちらの報酬が得る価値があるかを比較

冷静に比較すれば、目の前の欲求から得られる報酬よりも、達成した際に得られる報酬の方が心理的な価値は高いはず。

なので、目の前の欲求に惑わされた際には比較して、どちらの報酬・喜びを得たいかを考えてみることで、回避する可能性が高まります。

例えば、現在の自分(短期的視点)と未来の自分(長期的視点)の関係を説明する際の例え話として「天使と悪魔」があります。天使を長期的視点(未来の自分)、悪魔を短期的視点(現在の自分)と考えることで、矛盾や葛藤を抱えやすくなる効果が見込めます。

目標達成のための行動を習慣化する

目標のための行動を習慣に

目標のための行動を習慣にしてしまえば、目先の欲求に囚われずに済む可能性が高まります。

ですが、新しい行動を習慣化するには平均66日かかるという研究結果があります。なので、習慣になるまでは「〇〇したら△△する」といったように、行動同士をリンクさせることで習慣化しやすくなります。

強制力を持たせる

自身の意志に関係なく強制する

意思決定の自由度が高ければ、その分目の前の欲求に振り回されてしまうリスクが高まります。

なので、金融投資のケースであれば、給料が振り込まれたらシステムで強制的に一定金額を回すようにするといった形にすることで、自身の意志に関係なくアクションを起こせるようになります。

ご褒美やインセンティブを設ける

ご褒美やインセンティブ

強制力や縛りを入れすぎると、それはそれで精神衛生上よくありません。かえって目の前の欲求を優先してしまうリスクもあります。

なので、「〇〇ができたら△△できる」といったように、(過度にならない程度の)ご褒美やインセンティブを設けるというアイデアもあります。

グループで行うようにする

仲間・集団で実施してピアプレッシャーを

一人で進めようとすると目先の欲求に惑わされることが多いかもしれませんが、同じ目標を持った人たちでグループを作って行動すると、継続効果が高まりやすくなります。

周りの人から見られていると継続力がアップする心理学でいう「ピアプレッシャー(仲間からの圧力)」を応用するというパターンと言えます。

ゲーム的な感覚で取り組めるようにする

ゲーム感覚で取り組む

ゲームには人間の欲求を刺激して、継続させる効果があります。

例えば、ダイエットであれば、スマートフォンやスマートウォッチと連動したアプリを用いることで、達成度合いを知らせてくれたり達成するとバッジをくれたりします。

承認欲求を満たす仕掛けを加える

意欲を高める承認欲求

例えば、運動したことをSNSに投稿して「いいね!」をもらうことで、さらに「いいね!」をもらえるように頑張ろうと意欲の高まりが期待できます。

欲求に打ち勝つ目標を定める

強い意志を持って目標に向けて取り組む

短期間で目に見える成果が出なくても良い、出なくても成し遂げたい目標を定めて、目の前の欲求に打ち勝つ意志を強める。最後はこういった強い意志が大事かもしれません。

最後に

目先の欲求にどう打ち勝つか!

未来の不確かな報酬よりも、目の前の確かな報酬を重大に感じる『現在志向バイアス』。

目先の欲求を優先してしまい、本当に必要な前者の事柄を後回しにしてしまうのは衝動なので、完全になくすことはできません。
ですが、いま楽しむこと・欲求を優先し続けると将来のリターンが生じなくなってしまいます。

『現在志向バイアス』を自覚したり対策を講じることで、目先の欲求に打ち勝てるかどうかが、目標達成できるかを左右することになります。

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