
購入などの決断をした際に「本当にこの決断をしてよかったのか?」「この判断は間違っていなかったか?」と
不安を抱いたり後悔するようになる『バイヤーズリモース』。引き起こす悪影響や発生するメカニズム、購入後の不安や後悔の払拭に有効な
『アフターマーケティング』、顧客・消費者自身が決断を能動的に正当化する現象などについて解説しています。
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『バイヤーズリモース』とは?
何か月もかけて打ち合わせを繰り返し、ようやく「受注」。営業マンにとって嬉しい瞬間です。
ところが翌朝、「契約の旨、ご連絡させていただきましたが、本件白紙とさせてください」というメールが。
こういった「契約合意後のキャンセル」は、一気に奈落の底に突き落とされた気分になり、精神的に堪えます。
事業会社のマーケターの立場としては、逆に「契約の方向で・・・」と先方に伝えていたものの、改めて検討した結果、見送ったという経験があるかもしれません。
こういった決断の裏にあるのが『バイヤーズリモース』という心理状態です。
商品やサービスの購入後に抱く「不安」や「後悔」する心理状態
『バイヤーズリモース(Buyer’s Remorse)』とは、人が大きな決断をした際に「本当にこの決断をしてよかったのか?」「この判断は間違っていなかったか?」と不安を抱いたり後悔する心理状態のことです。
マーケティング用語として使われる際には「高額な買い物や重要な決断をした後に、不安を抱いたり後悔を感じる心理状態」と意味します。
ちなみに、「Buyer=購入者」、「Remorse=良心の呵責や自責の念」、という意味です。
特に『バイヤーズリモース』が発生しやすいケース
『バイヤーズリモース』という心理状態が生じやすいケースとしては、以下が挙げられます。
- 高額な商品やサービスの購入・契約を決断した時
- 購入後に魅力的な別の商品やサービスを見つけた時
- 友人や知人が購入品とは異なる商品やサービスを愛用しているのを知った時
- 購入したものの使用頻度がそれほど高くなかった時
発生する特徴としては、購入する商品やサービスが高額であればあるほど、不安や後悔の感情が大きくなる傾向があります。
また、購入時点に満足度が最も高まっていますが、それ以降は徐々に気持ちが落ち着くため、購入後のタイミングで発生しやすいという特徴もあります。
『バイヤーズリモース』が引き起こす悪影響
商品やサービスの購入後に抱く「不安」や「後悔」による、代表的な悪影響としては、以下が挙げられます。
- ネガティブな口コミの拡散
- 返品率の上昇とそれに対応するコスト増
- ロイヤルティ形成の阻害やLTVの低下
ネガティブな口コミの拡散
販売側が『バイヤーズリモース』という「不安」や「後悔」を放置していると、購入者・消費者は購入商品や販売元企業に対して「強い不満」を抱きやすくなり、それをネガティブな口コミやレビューとして広めてしまうことで、ブランドイメージの低下、さらに新規顧客獲得の妨げになってしまいます。
返品率の上昇とそれに対応するコスト増
購入者・消費者が抱く「強い不満」が、契約解除や返品率の上昇につながるため、売上の損失や返品処理に発生するコストを被ることになってしまいます。
ロイヤルティ形成の阻害やLTVの低下
購入後に抱くネガティブな感情は、購入者・消費者とブランドとの長期的な信頼関係の構築を難しくしてしまいます。
そのため、LTV(顧客生涯価値)の低下につながってしまいます。
※『ロイヤルティ』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
カスタマーサクセスや経営陣だけでなく、マーケティング担当・マーケターも理解が求められ始めている『ロイヤルティ(Loyalty)』。なぜ注目されるようになったか、ロイヤルティの意味や種類、可視化する指標、高めるための方法について解説しています。
『バイヤーズリモース』を解消することによるメリット
購入者・消費者の『バイヤーズリモース』を解消することで、以下のようなメリットを享受できるようになります。
- 商品・サービスのリピート率が高まる
- 『ロイヤルティ』が高まる
商品・サービスのリピート率が高まる
『バイヤーズリモース』の発生を防ぐことで、商品やサービスをリピートしてくれる確率が高まるようになります。
『ロイヤルティ』が高まる
商品やサービスを継続的に購入してくれるようになれば、商品やサービス、販売する企業に「愛着」を感じてもらいやすくなるため、ロイヤルティが高まりやすくなります。
『ロイヤルカスタマー』になってくれることで、ビジネスの持続的な成長が見込めるようになります。
※余談ですが『ロイヤルティとロイヤリティの違い』については、こちらのページをご覧ください。
日本語訳と英単語表記・発音がよく似ているため混同しやすい『ロイヤリティ』と『ロイヤルティ』。それぞれの意味と違いについて解説しています。
『バイヤーズリモース』が発生するメカニズム
購入などの決断をした際に「本当にこの決断をしてよかったのか?」「この判断は間違っていなかったか?」と不安を抱いたり後悔するようになる『バイヤーズリモース』が生じる背景には、以下のようなメカニズムが作用しています。
- 認知的不協和
- 期待不一致モデル
- 損失回避バイアス(損失回避の法則)
- 社会的比較
- 強い「コミットメント」
認知的不協和
人間には、自身が下した「購入する」という決断と、その決断に対して僅かでも疑念を持つようになると「矛盾」が生まれ、心理的な不快感=『認知的不協和』が生じるようになります。
こういった不快感を解消するために、「購入の決断は間違っていたのではないか?」と根拠づけようとするわけです。
※『認知的不協和』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
自身の本音と実際の行動に矛盾が生じる時に不快感やストレスを感じるようになる『認知的不協和』。生じるメカニズムやビジネスシーンにおける発生例、マネジメントやマーケティングにおける活用例と抜け出す方法について解説しています。
期待不一致モデル
商品やサービスの購入前に抱いていた「期待値」と、実際に購入・利用して得られた「体験(パフォーマンス)」との比較によって顧客満足度が決まることを示した『期待不一致モデル(Expectation-Disconfirmation Model)』。
このモデルが示しているように、「事前の期待」と「実際のパフォーマンス」に大きなギャップがあると「期待を裏切られた」と感じ、失望や後悔が生じやすくなり『バイヤーズリモース』が発生するようになってしまいます。
損失回避バイアス(損失回避の法則)
「ある商品を購入する」ということは、「それ以外の商品を購入する機会や別のことに費やす機会を損失した」と解釈することができます。
この「機会を損失したことは重大だ」と認識する『損失回避バイアス(損失回避の法則)』が後悔などの感情へとつながり、『バイヤーズリモース』の発生原因となります。
※『損失回避バイアス(損失回避の法則)』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
利得と損失を比較する際、損失の方をより重大だと感じやすく、損失を回避しようとする心理的傾向である『損失回避バイアス(損失回避の法則)』。なぜ発生するのか、ほかの8つの心理効果との関係性、具体例やビジネスシーンへの応用例などについて解説しています。
社会的比較
『社会的比較』と呼ばれる、購入後に他人が持っているものや、SNSなどで目にする情報と比較して「自分の選択は劣っているのではないか?」と感じてしまう心の作用も、『バイヤーズリモース』の発生原因の1つと考えられます。
強い「コミットメント」
仮に、購入・契約すると変更が簡単にできない、もしくは多額のキャンセル料が発生するといった、強い「コミットメント(拘束)」がある場合、「自分の決定・決断は正しかったのか?」という不安感情が高まりやすくなってしまいます。
BtoBにおいては・・・
ちなみに、BtoB(企業間取引)における「契約合意後のキャンセル」の原因としては、『バイヤーズリモース』も考えられますが、社内の稟議承認を得る前に担当者の「イケるだろう」という判断で早合点してしまうことが挙げられます。
購入後の不安や後悔の払拭に有効な『アフターマーケティング』
『バイヤーズリモース』の発生は、完全に防ぐことはできません。
そのため、購入者・消費者の「購入の決断は間違っていたのではないか?」という不安や後悔を、払拭する・安心してもらえるよう働きかけることが、商品の返品や契約のキャンセルを防ぐポイントになります。
そこで有効になるのが『アフターマーケティング』です。
購入後の顧客の心理状態を理解し、接点を増やして継続的に関係性を築く手法を意味する『アフターマーケティング』。
顧客の満足度が高まるとともに、『バイヤーズリモース』の軽減・解消、そして持続的なビジネスの成長にもつながります。
具体的なアクションとしては、以下の方法が挙げられます。
- 「サンクスレター」を送付する
- 「お客様の声」を伝える
- 「アンケート」を実施する
- 「ユーザーコミュニティ」を運営する
- 「購入特典」をプレゼント
「サンクスレター」を送付する
購入後の顧客に「サンクスレター(サンキューレター)」を送付することが、アフターケアにつながります。
具体的には、顧客の要望・ニーズに応じて郵送やメールで送付し、一度だけでなく定期的に実施することが効果的です。
また日本の商文化として、高額な商品やサービスであるほど「人」を介して購入・契約するケースが多いので、実際に購入や契約を担当したセールス担当の名義で、お礼状やお礼メールを送ることで、顧客との関係性が築きやすくなります。
「お客様の声」を伝える
購入や契約の感謝とともに、ほかの購入者・契約者の感想や評判(レビュー)といった「お客様の声」も伝えることも効果的です。
第三者目線の感想を知ることで、『バイヤーズリモース』に陥りそうになっていた顧客が「やはり購入・契約して良かった」という確信を深めやすくなります。
「アンケート」を実施する
「サンクスレター(サンキューレター)」のほかにも、「アンケート」を送付して顧客に購入理由をヒアリングすることで、商品やサービス購入の「理由付け」になり、顧客の中で購入が正当化されやすくなります。
また、購入後の感想もヒアリングし、今後の商品・サービス開発につなげることができれば、より顧客の満足度が高まるようになります。
「ユーザーコミュニティ」を運営する
ほかにも、「ユーザー会」といったコミュニティを運営することも、『バイヤーズリモース』の解消につながります。
実際に集まる・デジタル上でコミュニケーションがとれる「場」を介して、購入者・ユーザー同士が、使用感の疑問点の解消やアドバイスをし合えることが、プラスに作用するようになります。
「購入特典」をプレゼント
顧客に購入後の「満足感」や「おトク感」を提供するために、「購入特典」をプレゼントすることも、商品やサービスの購入・契約を「正当化」する一助となるため有効です。
ほかにも、「リピーター特典」や「次回利用できるクーポン」をレターに盛り込むことで、リピート率を高める効果も期待できます。
『現状維持バイアス』を誘発させる
何かを変化させることで、現状がより良くなる可能性があるとしても、損失の可能性を考慮して「現状を保持しよう」とする『現状維持バイアス』。
『アフターマーケティング』の施策を実施することで、「せっかく購入・契約したのだから、返品・契約をキャンセルするのは面倒だ」といった心理作用を促すことにつながり、結果として『バイヤーズリモース』に陥ることを防げるようになります。
とはいえ、返品や契約のキャンセルをするために、複雑な手続きを要するのでは逆効果になってしまうので、「顧客目線」を忘れないよう注意が必要になります。
※『現状維持バイアス』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
何かを変化させれば現状がより良くなる可能性があるとしても、損失の可能性を考慮して現状を保持しようとする『現状維持バイアス』。発生する要因や発生例、予防策・克服方法について解説しています。
『アフターマーケティング』を実施する際の注意点
以下の注意点を踏まえなければ、せっかくの『アフターマーケティング』も逆効果になってしまいます。
- 「顧客に合わせた発信」をする
- 「タイミング」を考慮する
- 顧客の「期待を超える」
「顧客に合わせた発信」をする
すべての顧客に対して画一的な発信をしても、響かないどころか敬遠される恐れがあります。
購入頻度やパーソナルな属性情報(性別や住所、年齢など)をもとにカスタマイズし、顧客ごとにレターを送るなどの工夫が求められます。
「タイミング」を考慮する
コミュニケーションの「タイミング」も重要です。
購入後の1週間後に1回目、1か月後には特典を送るなど、アプローチのタイミングにも気を配り、コミュニケーションをとることも求められます。
顧客の「期待を超える」
これは、商品やサービスの開発部門も関わることですが、購入後・契約後の商品やサービスの使用感、アフターフォローにおいて、顧客の期待を上回るようなアクションを行うことができれば、『バイヤーズリモース』の解消につながります。
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- ロイヤルカスタマー
- ロイヤルティ
- 引き起こす悪影響
- 損失回避バイアス
- 新規顧客獲得の妨げ
- 早合点
- 期待不一致モデル
- 株式会社SBSマーケティング
- 注意点
- 現状維持バイアス
- 発生しやすいケース
- 発生するメカニズム
- 社会的比較
- 解消することによるメリット
- 認知的不協和
- 購入後の合理化
- 購入特典
- 返品率の上昇
- 重大な決断の後に押し寄せる不安や後悔
- 顧客に合わせた発信
- 顧客の期待を上回る
マーケティングは試行錯誤を重ねる必要がありますが、リソースの制約などによって思うように時間をかけることはできません。
現状や課題、求める成果をお聞きしてマーケティングの確度を上げるために併走させていただきます。