購入の意思決定に大きな影響を及ぼす!?『ソーシャルプルーフ(社会的証明)』

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『ソーシャルプルーフ(社会的証明)』とは?

周囲の人々の意見や行動に自信の判断や行動が左右される心理的傾向

『ソーシャルプルーフ』とは、周囲の人々の意見や行動といった社会的評価に重き(信頼)を置いて、自分自身の判断や行動に妥当性を測ろうとする心理的傾向のことです。
心理学用語で「社会的証明」「社会的証明の原理」とも呼ばれています。

例えば、長い行列ができている店舗を見ると「あんなに行列ができているということは、きっと人気店なのだろう」となるケースが挙げられます。

由来・発祥

著書『影響力の武器』が有名

この『ソーシャルプルーフ』は、アメリカのアリゾナ州立大学の心理学・マーケティング教授である、ロバート・B・チャルディーニ 氏が、1984年の著書『影響力の武器(Influence:The Psychology of Persuasion)の中で提唱しました。

なぜ発生するのか?

一方的な「売り込み」は成果が出にくくなっている

現代では、多くの消費者がインターネットで膨大な情報を収集でき、またSNSなどを介して自身で情報発信ができます。
そんな環境下の市場(マーケット)では、商品やサービスを販売する側からの一方的なメッセージはこれまでよりも効果を成さなくなってきています。

顧客や消費者との信頼関係の構築がポイントにそのため、自社の商品やサービスを多くの消費者に届けるマーケティング活動においても、商品やサービスを購入した消費者からどれだけポジティブな評価を得られるか、またそういった評価の声に触れ購買意欲が高まっている見込み客にいかにアプローチし関係性を築いていくかが、ビジネスを進めるうえでより重要なポイントになってきています。

人間の習性が起因する心理的傾向

そもそも人間には、「周囲の人々が詳しく理解している」という前提の状況下において、その周囲の評価をもって自身の意見の妥当性を確認しようとする習性があります。

つまり、現代のマーケットの変化と人間に備わっている習性によって、影響力の強い「インフルエンサー」や多くの人の賛同に対して信頼性を感じ、自己の判断や行動を適合・同調させようとするわけです。

ビジネスシーンにおいて言えば「有名なあの人が良いと言っている」「たくさんの人から評価を受けている」ことが、購入の意思決定に大きな影響を及ぼすようになっているということです。

マーケティングへの7つの活用例

主に7つの活用例が

第三者の影響力を借りることで潜在顧客を導くパターンは以下の通りです。

業界大手企業や著名人に推薦してもらう

①権威がある人や企業のお墨付き

自社や自分で「良い商品・サービスです!」と謳っても、自画自賛感が拭えません。
なので、商品やサービスに関して、権威のある業界内の大手企業や著名人、専門家にお墨付きを得ることが活用例の一つとして挙げられます。

インフルエンサーも大きな影響を及ぼす

世に言う「インフルエンサー」からの推薦も、権威性が高まり消費者の行動に大きな影響をもたらします。

このインフルエンサー(マーケティング)においては、2022年12月27日(火)に発表した、消費者庁のステルスマーケティング(ステマ)広告に関する規制強化(※)に注意が必要です。

※消費者庁のステマ規制強化に対応!インフルエンサーへの「ギフティング・シーディング」「サンプリング」施策は大丈夫?

これらは、『権威バイアス(権威性の法則)』(※1)という心理バイアスが働く手法とも言えます。

※1:『権威バイアス(権威性の法則)』については、こちらのページをご覧ください。

メディアに取り上げてもらう

②メディアに露出する

知名度の高いメディアへの出演や媒体への掲載も『ソーシャルプルーフ』の効果を発揮させることが期待できます。
最近では、TU広告(記事広告)や書籍の自費出版、「人気ランキング」コンテンツといった形で、費用をかけるとメディアに露出しやすくなっていますが、「提灯記事」にならないように注意が必要です。

この手法は「こんな有名なメディアに掲載されている」「ランキングの上位なのだから」と『バンドワゴン効果』(※2)を働かせて、購入意思決定を後押しする効果が期待できます。

※2:『バンドワゴン効果』については、こちらのページをご覧ください。

また、この手法も『権威バイアス(権威性の法則)』(※1)が働くことが見込まれます。

口コミ・レビューを受ける

③レビュー評価

上述の業界大手企業や著名人からの推薦よりも客観的な口コミやユーザーからのレビュー

実際に商品やサービスを購入・導入した消費者から評価を受ける口コミやレビューは、BtoC(企業-消費者間取引)の飲食業や旅行業で一般的でしたが、フリマアプリの『メルカリ』などのCtoC(消費者-消費者間取引)ビジネス、最近では、BtoB(企業-企業間取引)でも広がりを見せています。

一例としては、ソフトバンクグループのSB C&S株式会社とアイティメディア株式会社の合弁会社であるアイティクラウド株式会社が運営する『ITレビュー』が挙げられます。

ですが、BtoBの場合は一般消費者の購入とは異なる(※3)ので、その点については留意する必要があります。

※3:『BtoBの商文化』については、こちらのページをご覧ください。

ポジティブなコメントだけでなくネガティブなコメントも併せて掲載されるこの手法は、『ウィンザー効果』(※4)という心理事象を発揮させる例とも言えます。

※4:『ウィンザー効果』については、こちらのページをご覧ください。

ケーススタディ(導入事例)

④ケーススタディ

ケーススタディ(導入事例)も、『ソーシャルプルーフ』を発揮される例として挙げられます。

大手企業や知名度・認知度の高い団体の事例であれば、「あの企業・団体も導入しているなら」と信頼性と権威性が高まることになり『権威バイアス(権威性の法則)』(※1)を発揮させることにもなります。

受賞歴をアピールする

⑤受賞歴

「〇〇賞を受賞!」「国内シェア1位!」などの社会的な評価を受けているとアピールすることで、『ソーシャルプルーフ』が働き、自社にも導入しよう・自分も購入してみようと思ってもらう効果が見込まれます。

また、この手法も、権威性が高まることから『権威バイアス(権威性の法則)』が発揮することにもなります。

SNSで拡散し「いいね!」や「シェア」を受ける

⑥SNS

上述の「業界大手企業や著名人に推薦してもらう」「口コミ・レビューを受ける」際には、SNS(ソーシャルメディア)を使って拡散することで『ソーシャルプルーフ』の価値を高めることが見込まれます。

SNS上で顧客からの声を広めることで「いいね!」や「シェア」「フォロワー」を増やし、商品・サービスブランドだけに限らず自社の評価を高めることにつながります。

販売実績や導入数をアピールする

⑦実績

すでに多くの販売実績や導入数を有しているのであれば、これらを広めることで「こんなに多くの人々 or 企業が評価している」と認識されやすくなります。

ソーシャルプルーフを獲得するための方法とは?

まだ『ソーシャルプルーフ』が無い場合は?

課題となるのは、ビジネスを開始したばかりのスタートアップや、これから新商品・新サービスをローンチ(販売開始)するという、まだ『ソーシャルプルーフ』が得られていないタイミング

『ソーシャルプルーフ』が無ければ売れない、売れなければ『ソーシャルプルーフ』が得られない、という「ニワトリが先か、タマゴが先か」状態になってしまいます。

ニワトリが先か、タマゴが先か

『ソーシャルプルーフ』を記載しない

『(まだ)無い』事実を伝える

いっそのこと、『ソーシャルプルーフ』が無いことを認め、コンテンツに記載しない・まだ無いことを商談時に伝える

確かに『ソーシャルプルーフ』がある方が訴求力や購買意欲を高める可能性は高まりますが、かといって偽の情報を記載したり伝えると、嘘の上塗りを重ねることになりがちなので「まだ受注はありませんが、〇〇といった方々からお問い合わせをいただいております」など、事実を伝えるのが無難かもしれません。

無償提供してフィードバックをもらう

費用をもらわず提供してレビューしてもらう

商品やサービスを無料で提供してフィードバックをもらい、それをレビューにするというパターン。

『声』を集めるプラットフォームを用意する

お客様の『声』を集める

Webサイト上で販売するのであれば、そこに使用感や感想などのレビューを書き込める場所(フォーム機能など)があると、お客様の『声』を集めやすくなります。

最後に

得るのは大変&時間がかかりますがその分メリットは大きい『ソーシャルプルーフ』

周囲の人の意見や行動といった社会的評価に重き(信頼)を置いて、自分自身の判断や行動に妥当性を持たせようとする『ソーシャルプルーフ』。

一長一短で得られるモノではありませんし、良い意見・感想だけでなく販売側にとって耳の痛い意見や感想もあるはずです。
ですが『ソーシャルプルーフ』を得て施策に活用すればビジネスを加速させる可能性が高まるので、まずは消費者や顧客と関係を築いていく姿勢が必要です。

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