
団結力を高めるために「共通の敵」や「生贄」というレッテルを貼られ攻撃対象に仕立て上げられる『スケープゴート』。
発生例と存在することで生じる影響、生じる原因や対処法などについて解説しています。
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『スケープゴート』とは?
コロナ禍を経て機会が減ったと言われますが、(良くも悪くも)コミュニケーションの場の一つである「飲み会」では、会社の同僚などとお酒を酌み交わし、仕事やプライベートについて会話が弾むことがあるかと思います。
そんな場で、社内の特定の人を「やり玉」に挙げて、「アイツはダメだ」「あの人は仕事ができない」「この前、こんなミスしてたよ」と、盛り上がったり同調した経験があるかもしれません。
こういった現象に生じているのが、『スケープゴート』と呼ばれる存在です。
『スケープゴート(scapegoat)』とは、集団の団結力を高めるために「共通の敵」や「生贄」というレッテルを貼られ攻撃対象に仕立て上げられる「犠牲者」のことです。
責任を転嫁するため・不満などを逸らすための「身代わり」という意味でも使われます。
名称の由来
『スケープゴート』の「scape」は「逃れる」、「goat」は「山羊(ヤギ)」を意味しています。
この『スケープゴート』は、旧約聖書『レビ記』の16章に記された「贖罪の日に行われる儀式」で、人々の罪や苦難などを人々の代わりに受けさせるために野に放った山羊のことを指します。
『スケープゴート』の発生例
『スケープゴート理論』を展開する、アメリカの人類学者 ヘンリー・エドワード・ギブソン(Henry Edward Gibson)によると、集団の平和は「一人のスケープゴート(犠牲者)」によって成り立つ、とされています。
この集団内に生じてしまう「犠牲者」の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 「いじめ」
- 経営者の責任回避
- プロジェクトチームの団結力を強める
- 政治家が支持率を高めてまとまりを強める
「いじめ」
『スケープゴート』の代表例は「いじめ」です。
「いじめ」は、さまざまな要因によって攻撃性が高まった集団が、その攻撃性を『スケープゴート』へ矛先を向けることで起こります。
「いじめ」は攻撃性のあらわれであり、攻撃性には「本能的なもの」、「フラストレーションの結果生じるもの」、「攻撃的なモデルを観察することで学習し言動が生じるもの」の3つの要因があると考えられています。
- ①本能的な攻撃性
- ②フラストレーションが溜まる(例:人間関係、残業、ノルマ、減給など)
- ③攻撃的なモデルを模倣する
- ④高まった攻撃性を『スケープゴート』へ向ける
人間には「攻撃性」という本能的な側面があり、集団になることで強化されるという特徴があります。
群集心理によって「タガ」が外れやすくなり、一人ではできないような残酷な行為へエスカレートしてしまいます。
また、集団では『同調圧力』が働くため、不本意であっても攻撃性を露わにした人を模倣し「いじめ」に加担してしまいやすくなってしまう傾向があります。
※『同調圧力』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
多数派が少数派に価値観を暗黙的に強制する『同調圧力』。なぜ発生するのか、メリットやデメリット、日本でよく見受けられる理由やビジネスへの応用について解説しています。
心理学者の J.ダラード(John Dollard) と N.E.ミラー(Neal Elgar Miller) が提唱した『フラストレーション攻撃仮説』によると、人には欲求不満に陥ったり、緊張や葛藤が高まると攻撃行動をとる傾向があります。
つまり、ストレスが溜まると、その「はけ口」を求めるようになり、「いじめる」ことになるのです。
「いじめ」に見られるのが、「共通の敵」を作って自己保身を図る、という傾向です。
主体的にしろ不本意にしろ、いじめる側には「自分がいついじめられる側になるかわからない」という不安がつきまといます。
その不安を打ち消すために、「共通の敵」を明確にすることで団結力が増し、より「いじめ」がエスカレートするようになります。
学校だけでなく職場での「いじめ」も社会問題となっています。
職場で「共通の敵=スケープゴート」を作り出し、「いじめ」の一環として悪意のある噂話を吹聴したり悪口を繰り広げることで、「共通の敵(スケープゴート)」に対する集団の団結力が強まるようになります。
また、職場のように「序列」がある環境では、上司と部下、先輩と後輩といったような、上下関係に基づいた「いじめ・ハラスメント」が発生しやすくなります。
この場合、部下や後輩への「指導」という理由付けがされることから、その言動には「正当性がある」と勘違いを生じさせやすいため、非常に厄介なケースと言えます。
最近では、暴言や中傷など精神的な嫌がらせをする「モラハラ」、部下や後輩などの職場内の序列が低い立場の人に嫌がらせをする「パワハラ」、性的な嫌がらせをする「セクハラ」など、いじめが多様化しています。
経営者の責任回避
強い権限や発言権を持つ経営者が、業績悪化の責任を問われた際、ほかの経営陣や従業員に責任を押し付けて「身代わり」としてクビにすることで、自身の正当化を図ろうとするケース。
経営者という地位を利用して、『スケープゴート(身代わり)』を作り出して責任をなすり付ける、ということです。
プロジェクトチームの団結力を強める
チーム一丸となってプロジェクトに挑む際、ライバル企業や社内のライバル関係にある部署に対して「共通の敵」というレッテルを貼って『スケープゴート』に仕立て上げ、「アイツらには負けられない!」とチームメンバーの士気を高めつつ、仲間意識も高めて団結力を強める、というケースも考えられます。
政治家が支持率を高めてまとまりを強める
学校やビジネスシーンに限らず、政治の世界でも『スケープゴート』は用いられています。
国民の不満や不安の矛先をかわすために、対立する政党や外国を「共通の敵」として『スケープゴート』に据えることで、自身の支持率を高めつつ、まとまりを強めようとするケース。
『スケープゴート』が存在することで生じる影響
集団の団結力を高めるために「共通の敵」や「生贄」というレッテルを貼られ、攻撃対象となる『スケープゴート』が存在することで生じる影響としては、以下が挙げられます。
- 仲間意識や団結力が高まる
- 集団内のメンバー間の距離が縮まる
仲間意識や団結力が高まる
集団にとっての「共通の敵」という『スケープゴート』がいると、対する集団の仲間意識が高まりやすくなり、団結力が強まります。
集団内のメンバー間の距離が縮まる
傲慢な上司や「使えない」部下を『スケープゴート』という「共通の敵」にして悪口や愚痴を言うことで、組織などの集団を構成するメンバー間の距離が縮まります。
また「必要悪」がいることで、『スケープゴート』を介して孤立を防ぐことにもつながります。
とはいえ、この結束力は「かりそめ」であることは言うまでもありません。
『スケープゴート』が生じてしまう要因
『スケープゴート』が発生する要因としては、環境的構造や「責任逃れ」しようとする心理などが挙げられます。
- 「ストレス」がかかる環境
- ネガティブな結果の責任を逃れるため
- 『黒い羊効果』
- 「ヒマ」な人
「ストレス」がかかる環境
「ストレス」がかかる環境にいると、『集団凝集性』が悪い方向に作用し、その環境に所属するメンバーの自尊心が下がりやすくなります。
その結果、安心感を得ようとして『スケープゴート(生贄)』が発生するようになってしまいます。
※『集団凝集性』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
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ネガティブな結果の責任を逃れるため
達成が難しい目標を掲げていたり、解決することが困難なミッションに取り組む中で、達成・解決できなかった場合、その原因を「自分ではない誰か」のせいにするようになります。
それが集団においては「共通の敵」を作り出し、「こんな結果になったのはあの人が原因だ」と責任を擦り付けるようになり、集団に疑似的な団結が生じることになるのです。
『黒い羊効果』
自身が所属する集団の中に「好ましくない存在」がいると、その人を低評価したり仲間外れしたりするようになる『黒い羊効果』。
その集団内の「黒い羊」が『スケープゴート』となり、「はけ口」として攻撃性の矛先を向けられるようになってしまいます。
※『黒い羊効果』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
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「ヒマ」な人
ほかにも、「ヒマ」な人も、悪意の有無に関わらず『スケープゴート』を作り出す要因になってしまいます。
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この続きでは、『スケープゴート』になってしまった時の対処法などについて解説しています。
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