
科学的根拠が無かったとしても、さまざまな要因によって信じるようになってしまう『予言』。
予言を信じてしまうことで生じるリスク、予言を信じてしまうメカニズム、予言に惑わされないようにするための方法などについて解説しています。
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「2025年7月」に大災難がやってくる!?
2025年7月5日(もしくは2025年7月)に大災難がやってくる。この予言を耳にした人も多いのではないでしょうか。
これは、漫画家である たつき 諒 さんの著書『私が見た未来 完全版』(飛鳥新社:2021年)に掲載された「フィリピン海での大規模な噴火によって大津波が日本を襲う」という予知夢のことで、インターネットやSNSを中心に「社会現象」といえるほどに広まっています。
たつき 諒 さんが注目されるようになったのは、1999年に刊行された前著『私が見た未来』にて、「大災害は2011年3月」と東日本大震災を予知させる記述があったことがきっかけです。
気象庁もコメントする事態に
この大災難の『予言』の広がりを受けて、6月13日には気象庁の 野村 竜一 長官が「デマであり心配する必要はない」と公式に発表することになりました。
また、鹿児島県のトカラ列島近海で、6月21日から地震活動が頻発。震度1以上の地震が7月3日正午時点で1,000回を超え、群発地震といえる頻度で地震活動が活発になっています。
この地震の発生も相まって、たつき 諒 さんの著書に記された『予言』に注目が集まっています。
当記事では、人が「予言を信じてしまう心理」について、マーケティングの観点からまとめています。
1999年の『ノストラダムスの大予言』
記憶に新しいところでは、「1999年7月、空から恐怖の大王が降りてくる」で有名になった、ノストラダムスの大予言があります。
16世紀フランスの医師、占星術師、詩人である ミシェル・ノストラダムスの『予言』を、1973年に作家の 五島 勉 氏が「1999年7月に人類が滅亡する」という内容を強調し出版した『ノストラダムスの大予言』によって、広く知られるようになりました。
しかし、1999年7月になっても人類滅亡は起こらず、予言は外れました。
ですが、この予言騒ぎが、将来に対する不安を増幅させることになり、「終末論」や「オカルトブーム」などを広めることになりました。
『予言』を信じてしまうことによって生じるリスク
こういった『予言』を信じることで、日常の生活において悪影響となる事象が起こってしまうようになります。
- 過度な不安や恐怖
- 「買い占め」などの極端な行動を引き起こしてしまう
- 便乗した詐欺事件
- 「予言の自己成就」による経済的損失
過度な不安や恐怖
たつき 諒 さんの『予言』のように、不安や恐怖を煽る内容である場合、人によっては日常生活に支障を来たすほどの不安感や恐怖心を抱えるようになってしまうことも。
「買い占め」などの極端な行動を引き起こしてしまう
不安や恐怖を煽られることで、本来する必要の無い行動を起こしてしまう可能性が生じてしまいます。
例えば、予言を信じて会社を辞めてしまう(極端な例ですが)、ほかにもコロナ禍で起こったトイレットペーパーやマスクの「買い占め」などが挙げられます。
便乗した詐欺事件
不安や恐怖を煽る『予言』に便乗して、詐欺事件が発生しやすくなります。
「予言の自己成就」による経済的損失
ほかにも、人々が予言を信じて行動することで、実際にその予言通りになってしまう「予言の自己成就」に似た現象が生じてしまうリスクが挙げられます。
もちろん、予言を信じた人々の意識変容や行動によって「自然災害」を引き起こすとは考えられませんが、災害が発生したかのような経済損失が実際に生じています。
こういった現象は、ネガティブな『引き寄せの法則』と言い換えることができるかもしれません。
※『引き寄せの法則』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
磁石のように「思考や感情が現実を引き寄せる」という『引き寄せの法則』。発生シーンや引き寄せる方法、生じさせる5つの要因と4つの注意点について解説しています。
実際に、この たつき 諒 さんの『予言』の影響を受けて、日本への旅行客数が減少することが見込まれています。
特に香港や中国本土からの宿泊予約数が減少しており、航空会社も日本行きの運航を減便することを発表しています。
中国大使館も、「日本への旅行や留学、不動産の購入について慎重に判断することを推奨する」とホームページで呼びかける事態に。
香港や中国本土で、日本への渡航が危険視されるようになった要因の1つとして、香港の有名な風水師たちが「2025年に日本で大地震が起こる」と述べていることが、たつき 諒 さんの『予言』の信憑性を高めることにつながっていると見られています。
なぜ『予言』を信じてしまうのか?
人はなぜ「科学的根拠のない予言」を信じてしまうのでしょうか。
信じる理由は人それぞれですが、以下のような心理的要因が引き金になっていると考えられます。
- 『回顧性予言』
- 『オルポートの公式(流言の拡散の公式)』
- 『選択的記憶』と『フィルダーバブル』
- 「自己肯定感」の維持
- 『セルフハンディキャッピング』
- 『確証バイアス』
- 『権威バイアス』や『ハロー効果』
- 『希望的観測』
- 『同調圧力』
- 『不安マーケティング』
『回顧性予言』
予言や占いで用いられるテクニックの1つに『回顧性予言』があります。
これは、予言や占いの表現が「曖昧」である場合、事象が起きた後に都合よく当てはめて解釈してしまう現象のことです。
直近では、鹿児島県のトカラ列島近海で地震が頻発しており、もし7月5日・7月中に大きな地震が起きれば「予言が的中した!」と、感情的に捉えてしまう可能性があります。
『オルポートの公式(流言の拡散の公式)』
予言や噂話、デマといった根拠が乏しい情報は、「重要性」と「曖昧さ」の2つの要素が高ければ広まりやすい、という傾向があります。
この傾向のことを『オルポートの公式(流言の拡散の公式)』と呼びますが、この公式も予言を信じる要因の1つになりえます。
つまり、人々の関心が高い生命に関わる大災難という情報の「重要性」と、根拠が「曖昧」であることで、憶測を呼んで流布されやすくなる、ということです。
『選択的記憶』と『フィルダーバブル』
自分自身のニーズや信念、興味や価値観に合致する情報を記憶する傾向を意味する『選択的記憶』。
自分にとって都合の良いことや、考えに沿う情報だけを覚えるようになる現象と言い換えることができますが、もし7月5日・7月中に日本のどこかで大きな地震が起きれば、『選択的記憶』によって「(厳密には予言と合致しないが)予言が的中した!」と、事象を過大評価してしまうようになってしまいます。
さらに、インターネット・SNSでは「アルゴリズム」によって、検索履歴や閲覧情報をもとに個人の興味関心に合わせてパーソナライズ(最適化)されたコンテンツが表示されるようになります。
そのため、『予言』に興味を持てば、裏付けるような情報ばかりが表示されるようになる『フィルダーバブル』が生じるようになるため、反証する言説に接触する機会が減少し、結果としてより信じるようになってしまいます。
※『フィルダーバブル』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
インターネット上で自分の思想や価値観に合わせた情報のみが作為的に表示されることで、異なる意見が目に入りにくくなり、受動的に「泡(バブル)」に包まれたように孤立してしまう『フィルターバブル』。発生する仕組みや発生例、メリットとデメリット、対策方法について解説しています。
「自己肯定感」の維持
「自己肯定感を高めよう」とすることも、『予言』を信じる要因となります。
「大災難が起きる」という『予言』が当たれば、自身の判断力や洞察力を認める・認められるようになり、それが自信につながるからです。
『セルフハンディキャッピング』
『セルフハンディキャッピング』も、『予言』を信じる要因の1つになります。
あらかじめ、自分自身へ不利になる条件を故意に付与することで、責任転嫁できるよう「予防線」を張り、失敗したり間違った際には「わかっていた」と自尊心や自己評価を守ろうとする『セルフハンディキャッピング』。
いつ起こるかわからない不安(大災難)に対して具体的な日時(2025年7月・7月5日)を特定し、それを多くの人と共有することで、自身が抱える不安を「正当化」し、安心しようとする、というわけです。
※『セルフハンディキャッピング』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
事前に自分自身へ不利になる条件を課すことで、失敗した時の言い訳を用意して自尊心や自己評価を守ろうとする『セルフ・ハンディキャッピング』。発生することで生じるデメリットとメリット、発生するメカニズムや克服する方法、ビジネスシーンにおける対応策などについて解説しています。
『確証バイアス』
自身にとって都合の良い情報だけを取得し、逆に不都合な情報は避けるようになる『確証バイアス』。
この『確証バイアス』が働くことによって、『選択的記憶』や『フィルターバブル』のように、少しでも『予言』を信じてしまうと、無意識のうちに「予言が当たる」という裏付ける情報ばかり集めるようになり、反証する言説は無視するようになる、というわけです。
※『確証バイアス』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
自身にとって都合の良い情報ばかりを集める心理傾向である『確証バイアス』。ネガティブな影響とポジティブな活用例について解説しています。
『権威バイアス』や『ハロー効果』
「権威がある地位や肩書き」によって、それらを有する人物の言動に対する評価が高く歪められてしまう『権威バイアス』。
予言者を「権威がある存在」と認識してしまうことで、その予言者の言動を盲目的に信じてしまう、というケースも考えられます。
※『権威バイアス』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
権威がある地位や肩書きによって、その人物や言動に対する評価が高く歪められてしまう『権威バイアス』『権威性の法則』。なぜ効果が発揮するのか、ビジネスシーンでの活用例などについて解説しています。
特定の特徴に影響を受けて、対象の評価全体が歪められてしまう『ハロー効果』も、『予言』を信じる要因の1つになります。
※『ハロー効果』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
ある特定の特徴に影響を受けてしまい対象全体の評価を歪めてしまう『ハロー効果』。ビジネスでの発揮例や注意点、活用する際のポイントを解説しています!
『希望的観測』
根拠や証拠に乏しいことであったとしても、自分にとって好ましい結果になってほしいと考える『希望的観測』。
例えば「破滅願望」を持っている人が『希望的観測』によって、根拠に乏しい『予言』であっても「(予言が当たって)大災害が起こって欲しい」という心理状態に陥ることで、信じるようになるケースも考えられます。
※『希望的観測』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
根拠や証拠が無いが自分にとって好ましい結果・期待通りに物事が進行しようと考える『希望的観測』。発生例や生じるデメリット、陥らないための対策や自身が陥った際の注意点などについて解説しています。
『同調圧力』
多くの人に『予言』が信じられている状況である場合、周囲の人々に「同調する」ことで、疎外感を避けつつ安心感を得ようとする心理が働くようになります。
この『同調圧力』が作用することによって、『予言』を信じるようになりやすくなります。
※『同調圧力(同調バイアス)』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
多数派が少数派に価値観を暗黙的に強制する『同調圧力』。なぜ発生するのか、メリットやデメリット、日本でよく見受けられる理由やビジネスへの応用について解説しています。
『不安マーケティング』
不安や恐怖という人間の本能に訴えかけ、その不安や恐怖を解消したいと思わせることで利益を得ようとする『不安マーケティング』によって、より『予言』を信じやすくなる可能性が高まります。
※『不安マーケティング』の詳細については、こちらのページをご覧ください。※「不安マーケティング」は造語で学術的な用語ではありません。
人間の持つ「不安」や「恐怖」への本能を利用して、不安や恐怖を煽りその不安や恐怖を解消したいと思わせることで、特定の商品やサービスの購買につなげるよう誘導する『不安マーケティング』。なぜ起こるのか、発生を加速させる要因や発生例・活用例などについて解説しています。
「2025年7月の大災難」の予言を拡散する大きな要因になったのが、いわゆる「都市伝説系ユーチューバー」の方々の動画投稿です。
その界隈で有名なユーチューバーが「2025年7月5日には大災難が起きる!?」と動画コンテンツで発信することで、受け手である視聴者が『権威バイアス』も相まって「このユーチューバーの人が発信しているのだから、あながちウソではないのでは?」と信じるようになっていったわけです。
YouTubeでの収益を得るために、「2025年7月の大災難」という不安や恐怖を煽り続けたわけですが、実際に「7月5日」が近づくと、「予言は当たりません」「必要以上に不安がらないでください」「実は2025年7月5日ではない?」など、責任を回避するための「予防線」を張り出しているのを見かけます。
さんざん不安や恐怖を煽って「再生数稼ぎ」のために騒ぎ立てて、間近になると「あくまでエンタメです」と言い出したり「注目が集まっていますね」と素知らぬ顔をするのは無責任な気がしますが。
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この続きでは、真偽不明な『予言』に惑わされないようにするための方法について解説しています。
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