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『プルースト効果』とは?
『プルースト効果』とは、特定の香りや匂いを嗅ぐことで、それに結びつく過去の記憶や感情を呼び起こす現象のことを指します。
ふいに香りを嗅いだときに、昔の懐かしい出来事や当時の感情を思い出して、懐かしい気持ちになったことがあるかと思います。
この「過去を想起させる」効果は、日常シーンはもちろん、ビジネスシーンでも活用されています。
このプルースト効果は『無意識的記憶』とも呼ばれています。
プルースト効果の由来
このプルースト効果は、20世紀のフランスの作家、マルセル・プルースト氏の『失われた時を求めて』という小説の中で、主人公が紅茶に浸したマドレーヌの香りを嗅いだ時に、幼少の記憶を思い出す描写から名づけられました。
プルースト効果の発生原理・メカニズム
香り・匂いが記憶を呼び起こすプルースト効果が発生するのは、脳の仕組みが関係しているとされています。
人間の脳は、大きく理性を司る「大脳新皮質」と本能や喜怒哀楽などの感情を司る「大脳辺縁系」の2つの部位に分かれています。
視覚や味覚、聴覚や触覚から得る情報は「大脳新皮質」を経由して海馬という器官に送られ処理されます。
一方、香りや匂いという「嗅覚」から得られる情報は、大脳新皮質・海馬を経由せず「大脳辺縁系」に届けられるという特徴があります。
この大脳辺縁系には記憶を格納する部位があり、香りや匂いから得た情報はこの箇所に直接伝わるため、過去の記憶や感情を思い起こすという現象と密接な関係になっています。
ビジネスシーンでの活用例
プルースト効果の活用例としては、主に接客を伴う店舗運営をする業界が挙げられます。
宿泊業
例えば、客室にルームミストなどを利用して、宿泊時の思い出をより記憶に留めてもらいやすくなります。
アパレル業
アパレルショップ店内で香りを用いることで、「用いる香り」=「このアパレルショップ」というイメージを持たれやすくもなります。
展示会やショールーム
接客という点では、展示会などのイベントやショールームも当てはまります。
出展するブースやショールームで演出の一環として香りを用いることで、その香りがもたらすイメージが展示品や会社に対する印象につながりやすくなります。
「過去を想起させる」効果はほかにも
マーケティング活動で重要なのが、販売したい商品やサービスを「認知→想起してもらう」こと。
商品やサービスを認知してもらい、マーケティング活動などをきっかけにして「思い出して」もらう(想起してもらう)。
なので、想起してもらうきっかけをどう作るかがポイントとなります。
「嗅覚」に訴えかける『プルースト効果』のほかにも、想起してもらうための心理効果があります。
直前に見聞きした広告が影響して思わず購入してしまう!?『リーセンシー効果』
消費者が直前に見たり聞いたりした広告が、購買行動に影響を与える『リーセンシー効果』。
例えば、「テレビCMで見た商品を出掛け先で見かけて思わず買ってしまった」というようなケースが挙げられます。
購買の直前に接触した広告が消費者心理に与える影響を意味する『リーセンシー効果』。由来や発祥から、「リーセンシー」の意味、活用例や類似する心理事象について解説しています。
言うなれば、出掛け先の店舗などで実際の商品やサービスを見かけることで「過去を想起」させて、購買行動を促すという心理効果となります。
あらかじめ得ていた情報によって、その後の判断や行動に影響を及ぼす『プライミング効果』
あらかじめ受けた刺激(情報)によって、その後の判断や行動が無意識に影響される心理的効果である『プライミング効果』。
例えば、「テレビ番組でビールを飲んでいるタレントを見ていたら、ビールが飲みたくなった」というようなケースが挙げられます。
あらかじめ受けた刺激によって、その後の判断や行動が無意識に影響される心理的効果であるプライミング効果。メカニズムと活用例、注意点やアンカリング効果との違いについて解説しています。
あらかじめ先行して受ける刺激(プライマー)がきっかけになり、脳の中で情報が連想・ネットワークされて、判断や行動に無自覚の中で影響を及ぼす、ということです。
これは、テレビ番組でビールを飲んでいるタレントをきっかけに「過去を想起」して、(おいしい)ビールを飲みたいと思うと言い換えることができます。
最後に
特定の香りや匂いを嗅ぐことで、それに結びつく過去の記憶や感情を呼び起こす『プルースト効果』。
効果的に用いることで、ブランディングや購買意欲を高めるきっかけにもなります。
また、『プルースト効果』のように「嗅覚」に訴えかけるのは活用としては限定的になりますが、「想起してもらう」ために、ほかの心理効果も活用することで、マーケティング活動を加速させることができます。
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