確たる根拠が無い「思い込み」や「予測」を信じて行動すれば、最終的にその通りの現実が引き起こされるという『自己成就的予言』。
発生例と成果を左右する「他者からの期待」と「自分自身への期待」、『自己成就的予言』の注意点について解説しています。
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「期待に沿う行動」を取れば「期待通りの結果」がもたらされる?

確たる根拠が無い「思い込み」や「予測」であったとしても、それを信じて行動することで、最終的にその通りの現実が引き起こされるという心理的・社会的現象を意味する『自己成就的予言』。
「~になりそう」と思って行動した結果、その「予言」が現実のものとして成就する、という現象のことです。
この『自己成就的予言』(予言の自己成就、自己成就予言)は、良いことだけでなく悪いことでも生じる事象として知られています。

例えば、血液型占いで「A型の人は几帳面」と言われ続けたA型の人が、実際に「几帳面」になっていくのも、この『自己成就的予言』によるものと考えられています。
この『自己成就的予言』は、アメリカの社会学者である ロバート・K・マートン 氏が提唱したとされています。
『自己成就的予言』の発生例

主な『自己成就的予言』の発生例としては、以下のケースが挙げられます。
- 「人前で話すのが苦手」と思っているとますます苦手になってしまう
- 「不況になりそう」と思うと景気が悪化してしまう
- 褒められ続けることで能力を発揮する
- 期待されなければ、成果が出せなくなってしまう
- 不信感を持った部下の振る舞いが上司を攻撃的にしてしまうことも
「人前で話すのが苦手」と思っているとますます苦手になってしまう

「人前で話すのが苦手」と思っていると、実際の場面で緊張してしまう。
緊張するのでうまく喋れなくなってしまい、人前で話すのがますます苦手になってしまう、という現象も『自己成就的予言』の例の一つです。
「不況になりそう」と思うと景気が悪化してしまう

「経済的不況」も、『自己成就的予言』の発生例の一つと言えます。
例えば、「日本経済の右肩上がりの時代が終わった」というエコノミストの指摘を、経営者や消費者が見聞きすることで、設備投資や新規雇用を控えたり購買意欲が低下し「買い控え」が生じて、実際に経済が収縮してしまう。
この緊縮マインドが広まることで、物価の下落(デフレ)の悪循環が止まらなくなり、「デフレスパイラル」に陥ってしまうことも考えられます。
褒められ続けることで能力を発揮する

企業におけるマネジメントシーンにおいても、『自己成就的予言』は発生します。
例えば、上司が部下に対して、「電話対応が上手だね」「昨日のプレゼン、よくまとまっていてわかりやすかったよ」と、意図的に褒め続けることで、部下は自信を持つようになり、期待に応えようと努力し能力を発揮できるようになるというケース。
期待されなければ、成果が出せなくなってしまう

逆に、『自己成就的予言』がネガティブに作用することもあります。
上司が「どうせできない」と部下に期待しなければ、部下も諦めて実行意欲が低下したり、萎縮してミスをしてしまいやすくなってしまいます。
不信感を持った部下の振る舞いが上司を攻撃的にしてしまうことも

例えば、部下が周囲に対する疑念や根拠の無い不信感が強まった状態である『パラノイア』に陥ってしまうと、上司からの指示に過剰に反応したり、不必要に警戒的な態度を取るようになってしまい、上司の苛立ちや不信感を招きやすくなってしまいます。
すると、そういった部下の振る舞いを受けて上司が実際に厳しく接するようになるという「悪循環」が生じてしまうことがあります。
※『パラノイア』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
周囲に対する疑念や根拠の無い不信感が強まった精神状態を意味する『パラノイア』。深刻なケースの場合、組織崩壊などの悪影響を及ぼすようになるため、管理職(マネジメント層)や人事には迅速な対応が求められます。この『パラノイア』の特徴や陥ってしまう要因、解消するための方法などについて解説しています。
成果を左右する「他者からの期待」と「自分自身への期待」

「思い込み」や「予測」を信じて行動することで、最終的にその通りの結果が生じる『自己成就的予言』は、プラスにもマイナスにも作用します。
『自己成就的予言』と関連する心理的現象を含めてまとめると、以下のようになります。
- 「他者からの期待」によって成果が高まる・・・『ピグマリオン効果』(『自己成就的予言』)
- 「自分自身の期待」によって成果が高まる・・・『ガラティア効果』
- 「他者からのネガティブな扱い」によってパフォーマンスが低下する・・・『ゴーレム効果』
「他者からの期待」によって成果が高まる・・・『ピグマリオン効果』

「他者から期待を受けることによって、学習や業務の成果が高まる」という心理現象を意味する『ピグマリオン効果』 。
『教師期待効果』とも呼ばれ、学校の先生や上司などの「他者からの期待」によって成果が向上するのがポイントです。
期待されたり、褒められることでモチベーションが高まる」という点では、『自己成就的予言』と同様と言えます。
※『ピグマリオン効果』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
期待を受けることによって、学習や業務の成果が高まる『ピグマリオン効果』。ビジネスシーンでの活用例と混同されやすい心理効果、注意すべきポイントについて解説しています。
「自分自身の期待」によって成果が高まる・・・『ガラティア効果』

一方、「自分自身への期待(自己効力感)」によって、プラスに作用する心理的現象を『ガラティア効果』と呼ばれています。
ちなみに「ガラティア」とは、ギリシャ神話に登場するピグマリオンが恋をした「彫像」の名前が由来になっています。
「他者からのネガティブな扱い」によってパフォーマンスが低下する・・・『ゴーレム効果』

周囲の人が「あなたはダメだ」など期待をかけずにネガティブな態度で接することで、その通りのネガティブな思考・人間になってしまう心理作用を『ゴーレム効果』と呼びます。
ちなみに「ゴーレム」とは、泥人形のことです。
※『ゴーレム効果』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
期待されないことによってパフォーマンスが低下し成果が出づらくなってしまう『ゴーレム効果』。発生するメカニズムとデメリット、抑制するための方法について解説しています。
「やる気」を左右する2種類の「動機付け」

「やる気」を高める・低める要因として、「内発的動機付け」と「外発的動機付け」の2種類があります。
- 内発的動機付け・・・好奇心や興味、達成感など自分自身の「内側」から湧き出るものが「モチベーション」を左右する。
- 外発的動機付け・・・褒める、発破をかけられる、叱るなど「外側」からの働きかけによって「モチベーション」を左右する。
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この続きでは、『自己成就的予言』の注意点について解説しています。
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