マスメディア側が中立的な報道をしていたとしても、受け手側の考えと異なるだけで「偏向」と認知されてしまう『敵対的メディア認知』。
発生する要因や注目される理由、ビジネスへの影響や対処方法、本当にメディアが中立公正な報道をしているのか?の観点からも解説しています。
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『敵対的メディア認知』とは?
『敵対的メディア認知(Hostile Media Effect)』とは、マスメディアが中立的な報道をしていたとしても、視聴者・聴衆者・購読者の人々が自分の考えと異なるだけで「偏向」と認知する心理的傾向のことです。
また、自分に都合の悪い(思想とは異なる)報道ほど、他者は影響を受けやすいと思い込んでしまいます。
メディア論の分野での心理学用語であり、認知バイアスの一つとして知られています。
「メディアは自分の嫌悪する反対側の陣営にとって有利な報道をしている」と認知する傾向と言えます。
この『敵対的メディア認知』は「メディア不信」を助長するため、最近では注目されています。
確かに、このバイアスに陥ることによってリスクが生じますが、昨今のマスメディア(※)の報道姿勢にも疑問符が付くことが多いので、その点も含めて解説していきます。
※新聞、雑誌、ラジオ、テレビという『4大マスメディア』については、こちらのページをご覧ください。
『4大マスメディア』と呼ばれる、新聞、雑誌、テレビ、ラジオの媒体それぞれの最近の傾向と、現場のマーケターの目線で把握しておきたいポイント、「広告出稿して効果が出るのか」という視点を踏まえて解説しています。
裏付けになった実験
知られているのが、ロバート・ヴァローネらが行ったサブラー・シャティーラ事件に関する実験です。
1982年にレバノン(アラブ人の国)のサブラー・シャティーラのパレスチナ難民キャンプで、イスラエル系民兵組織による犠牲者3,000人を超える大規模な虐殺が発生し、世界に大きな衝撃を与えました。
この事件に関して「比較的中立な」報道を題材にした実験は、以下の通りです。
- 「比較的中立な」報道を、イスラエル寄りの人とアラブ寄りの人に見せて、どんな印象を持つかを調査。
- すると、同じニュースを見たにも関わらず、双方が「相手側にとって都合の良い報道内容だ」と主張した。
この実験結果のように、党派性(特定の主義主張への偏り)の強い人が、中立的・両輪併記的な報道に接すると「対立側に偏った内容だ」と判断するようになります。
また、この「認知の歪み」は、事件に詳しい人ほどより顕著に現れることも明らかになっています。
「認知の歪み」が生じる原因としては、以下の2つのメカニズムが作用しているからと言われています。
- 客観的かつ公平性が担保された報道が、自身が属する陣営に有利な内容を想定している。
- 報道された内容について、自分が属する陣営に対してネガティブな情報を優先的に知覚してしまう。
そのため、比較的中立性を保った報道であったとしても、受け手次第で『偏向報道』だと認識されてしまうということになってしまいます。
発生例
特にSNS上では、「あのテレビ局は左寄りだから・・・」などの意見が飛び交うシーンを実際に目にしたこともあるのではないでしょうか。
こういったケースでも、『敵対的メディア認知』によって、メディアの立場上「公正な」報道をしていたとしても、左派・右派といった受け手側の思想によって、それぞれから「偏向している」と批判されてしまいます。
とはいえ、メディアの一つであるテレビは、新聞社から派生して成り立っています。
そのため、どのテレビ局も少なからず関係性のある新聞社からの影響(政治的イデオロギー)を受けて放送・報道していると言えます。
そんなテレビメディアは、中立性を保っているとしていますが、実際のところは「左派・リベラル寄り」「右派・保守(パターナル)寄り」といった傾向が見受けられます(※)。
※新聞社・テレビ局の関係図は?考え方の傾向や違いも解説!プロトスター株式会社 様
新聞社とテレビ局の長い歴史による複雑な関係性をご存知ですか?また、良く聞く「右寄り」「左寄り」の傾向はどこからくるのでしょうか?この記事では、新聞社とテレビ局、球団や子会社の関係性や、右派・左派などの傾向をわかりやすく解説していきます。
例えば、2024年に行われた「自民党総裁選」。
NHKの世論調査では、多くの人々は「社会保障制度:35%」や「経済・財政政策:26%」に重きを置いているにも関わらず、既存のマスメディアは「選択的夫婦別姓:3%」ばかり取り上げていました。
また、「第50回衆議院選挙」に関するNHKの世論調査では、最も重視することは「景気・物価高対策:34%」「社会保障制度の見直し:17%」「「政治とカネ」への取り組み:13%」「外交・安全保障:11%」・・・の順になっていましたが、多くのマスメディアや一部野党では「与党批判」や「裏金批判」ばかりで、「どんな経済対策をするのか?」の発信はほぼありませんでした。
確かに「選択的夫婦別姓」や「政治とカネの問題」は議論すべき論点ですが、優先順位を間違えている・自身らの願望を優先した姿勢が見える選挙になりました。
※『政治や選挙に関する心理バイアス・テクニック』については、こちらのページをご覧ください。
政治や選挙で用いられている・発生する『マイノリティ・インフルエンス』や『ラリー・アラウンド・フラッグ現象』、『沈黙の螺旋理論』といった心理テクニック・心理バイアスについて解説しています。
『敵対的メディア認知』が発生する要因
ネガティブな情報の方が記憶に残りやすい
人間には、生物学的にネガティブな情報をより強く記憶する傾向があります。
生存していく上で、ネガティブな事象を察知し、素早く対応しなければならなかったからです。
フレーミング効果
前提として、マスメディアが「中立な」情報を発信していたとしても、伝え方や表現によって受け手それぞれの印象は変わります。
この心理事象は『フレーミング効果』と呼ばれています。
同じ事象でも伝え方や表現を変えることで相手に与える印象を変え、意思決定にも影響を及ぼすことができる『フレーミング効果』。メカニズムやビジネスシーンでの活用例について解説しています。
マスメディア側で情報を「加工」する
マスメディアは情報を発信する上で、発信する時間や情報量は限られています。
そのため、得た情報すべてを取り上げることはできず、編集して情報を「加工」する必要があります。
これが『敵対的メディア認知』を引き起こすきっかけとなるケースがあります。
メディア側のバイアス
情報を発信するマスメディア側に、特定の政治的・社会的・経済的なバイアスが生じることがあります。
このバイアスを視聴者や購読者が感知することで、『敵対的メディア認知』を引き起こす要因になります。
フィルターバブル・・・サイバーカスケード
人間には、自身の主義主張を補強するために、同じような見解のメディアを選好したり他者を求める傾向があります。
特に、マスメディアの情報をきっかけに、SNSで自身の意向に類似した情報に接触しやすくなる(意向と異なる情報に接触しづらくなる)『フィルターバブル』に陥り、さらに主義主張が先鋭化していき、対立する意見を排除・断絶するようになる『サイバーカスケード』が発生することで、『敵対的メディア認知』に傾倒しやすくなります。
インターネット上で自分の思想や価値観に合わせた情報のみが作為的に表示されることで、異なる意見が目に入りにくくなり、受動的に「泡(バブル)」に包まれたように孤立してしまう『フィルターバブル』。発生する仕組みや発生例、メリットとデメリット、対策方法について解説しています。
同じ思想や主義を持っている他者とインターネット上で結びつきを強め先鋭化することで、異なる考えや主張を排除が進み、閉鎖的かつ過激なコミュニティを形成する『サイバーカスケード』。なぜ発生するのか、発生することによって生じる問題点、発生例や発生を回避する方法などについて解説しています。
「情報感度が高い」と自認する
上述の「サブラー・シャティーラ事件に関する実験」でも明らかになったように、「情報感度が高い」と自認すると『敵対的メディア認知』を引き起こしやすくなる傾向があります。
『敵対的メディア認知』が注目される理由
「メディア不信」を助長する『敵対的メディア認知』
この『敵対的メディア認知』は「メディア不信」を助長するため、最近では注目されています。
「マスメディアの報道を鵜呑みにするのは危険!」とバッシングしたり、「マスゴミ」と蔑むようになります。
こういった考えが強まると、「マスメディアの偏向報道にはウラがある」と『マスコミ陰謀論』へ傾倒していくことになってしまいます。
また、マスメディアへの敵視が生じるのは、『第三者効果』との2つのバイアスによって引き起こされるようになります。
メディアなどが発信する情報に接触する際「自分自身は影響を受けないが、世間の人たちは大きな影響を受けてしまう」と考える『第三者効果』。発生することによる影響や発生例、どんな人が陥りやすいのか、マーケティングへの応用や克服・回避する方法について解説しています。
社会の分断や時の権力者に迎合したメディアに
さらに『敵対的メディア認知』によってマスメディアへの批判が高まることで、社会の分断を助長するようになってしまいます。
また、マスメディアへの批判が「規制」を求める声となり強まることで、権力者がメディアを掌握する可能性も生じることになります。
そこまでいかないまでも、メディアがその時々の政権に迎合するような報道をしたり、政権の「御用聞き」になってしまいやすくなります。
人々とメディアとの関係性が変化したことで・・・
この『敵対的メディア認知』が提唱されたのは1980年代ですが、それ以降、マスメディアは発展し、SNSも広く普及が進んだという変化が起こっています。
さらに日本では人口減少でそもそもの視聴者や購読者数が減少し、メディアが発信する情報のレベル・質が低下していることも重なり『メディア離れ』も起こっています。
そもそも『4大マスメディア』はメディアが情報を発信し、それを視聴者・購読者が受け取るという「一方通行」の特性を有していますが、SNSは受け手自身も発信できる「双方向」のコミュニケーションが可能なメディアです。
そのため、マスメディアから発信された情報をただ「受け取る」だけでなく、自身の意見をSNSで「発信」することも容易になっています。
結果、一方的に情報を受け取っていた人々がメディアの報道に対する意見を発信できるようになったことで、「メディア不信」の声が可視化されやすくなりました。
このように、人々とメディアとの関係性が変化したことにより、提唱された頃よりも『敵対的メディア認知』が顕著に起こるようになったのです。
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この続きでは、『敵対的メディア認知』のビジネスへの影響や対処方法、
本当にメディアが中立公正な報道をしているのか?の観点からも解説しています。
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