「優秀な人」ほど不採用になる or 退職してしまう!?『オーバークオリフィケーション』

保有するスキルや経験、学歴などが、応募する職務 or 担当している業務よりも大幅に上回っている状態を意味する『オーバークオリフィケーション』
「高いスキルを有する人材」を活かしきれていない日本の状況や、なぜ『オーバークオリフィケーション』が発生してしまうのか。
生じることによるリスクや悪影響、打開策などについて解説しています。

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「優秀過ぎる」ゆえに不採用にする?退職してしまう?

必要とする「優秀な人材」がなぜすぐ離職したり不採用にしてしまうのか?

スペックが高すぎるが故に採用を見送ってしまう、優秀な人材を採用したのにすぐに辞めてしまった。。

人材不足が叫ばれる昨今、特に中小企業やスタートアップでは「優秀な人材」を求めるにもかかわらず、「優秀過ぎる」がゆえに不採用にしてしまったり、採用してもすぐに退職してしまう

そんな事象が起こる背景には『オーバークオリフィケーション』という「罠」が潜んでいるかもしれません。

ハイスペック人材なのに入社に至らない・定着しない・・・

保有するスキルや経験、学歴などが、応募する職務 or 担当している業務よりも大幅に上回っている状態を意味する『オーバークオリフィケーション(Overqualification)』

求人に応募する段階でこの状態に陥ってしまうと「素晴らしい人材だが、募集している求人要件では満足してもらえないだろう」と不採用にしてしまう。

また、担当している仕事の要求水準を大きく上回っていると「この職場ではもう学べることがない」と早期退職してしまったりモチベーションを大きく低下してしまう現象を指します。

国際的な調査結果からみる「日本の実状」

OECDが実施した「国際成人力調査」によると・・・

パリに本部を置く、世界38の先進国が加盟する国際機関である、経済協力開発機構(OECD)

このOECDでは、世界24か国・地域の16歳~65歳を対象に「読解力」「数的思考力」「状況の変化に応じた問題解決能力」などの社会生活スキルを測る、「国際成人力調査(PIAAC:ピアック)」を2013年に実施。

その調査結果によると、「読解力」「数的思考力」で世界1位の数値となりましたが、『オーバークオリフィケーション』を示す「就業者における学歴ミスマッチとスキルミスマッチ」の割合も世界1位でした。

日本においては、成人の読解力と数的思考力が秀でているにも関わらず、企業がその高い能力を活かしきれていない現状が浮き彫りになりました。

なぜ「ミスマッチ」が起きてしまうのか?

「優秀な人材を採用するかどうか」の悩み

成人の高い能力のほかにも、2024年度の大学進学率は過去最高の59.1%に達し、10年連続で増加傾向にある日本。

社会人大学院や専門職大学院も全国各地で広がっており、修士や博士、MBA(経営学修士)取得者や専門領域のエキスパートが、企業に応募する時代になっています。

そんな状況にありながら、採用する企業側は「高い能力を有する人を採用したとしても、十分に活かせる仕事が無いかもしれない」「スキルを有する人にとって、期待外れになってしまうのではないか」という不安を抱えることも。

こういった背景から、高い能力を有する人の採用が慎重になり、結果として「不採用」という判断を下してしまうことが起こってしまうのです。

日本の「新卒採用」文化と「メンバーシップ型」の雇用慣行

①「新卒採用の文化」の弊害

『オーバークオリフィケーション』が発生し、優秀な人材であるにも関わらず採用を見送ってしまう原因としては、日本の「新卒採用」文化や「メンバーシップ型」という雇用慣行が大きく影響していると考えられます。

多くの日本企業では「新卒採用」の文化が根付いています。

新卒者を採用選考する際には、業務実績が無いため「メンバーシップ型雇用」という「ポテンシャル」で採用 or 不採用の判断をせざるを得ないため、「学歴」が判断の大きなウエイトを占める指標になってしまいます。

その結果、『オーバークオリフィケーション』が生じて、優秀な学歴の人材を敬遠してしまうケースが起こってしまうのです。

優秀な人材に適した職務設計が不十分

②「優秀さ」を発揮できない仕事に嫌気がさす

とはいえ、「箔をつける」ために背伸びをして、高学歴な学生を採用する企業も中には存在します。

すると、入社後に『オーバークオリフィケーション』が生じやすくなってしまうのです。

例として挙げられるのが、学歴が高かったり高度なスキルを有する人材が、単純作業やルーチンワークを日々繰り返しているケース

こういった状況下にいると、「自分の能力が活かせていない」「この仕事は自分でなくてもよいのではないか」といった感情が芽生えるようになります。

すると次第に、「この職場ではもう学べることはない」「時間をムダにしている」と考えるようになり、モチベーションの低下や退職にまで至ってしまうのです。

こういった、優秀な人材と担当する業務レベルの「ミスマッチ」は、人材に応じた職務設計を組織側ができていないことが大きな要因と言えます。

『オーバークオリフィケーション』が生じることによる企業への影響

離職率と育成コストの増加

企業側の『オーバークオリフィケーション』によって生じる悪影響としては、以下の点が挙げられます。

  • 「(採用しても)すぐに辞めるだろう」「(入社しても)不満を持つだろう」と、優秀な人材の採用を見送ってしまう
  • 企業組織にとって「過剰な能力を持つ従業員」は、より適した仕事を見つけようと早期に退職する可能性が生じ、離職率が上昇してしまう
  • 頻繁に離職者が発生することで、採用やトレーニング・研修に関するコストが増加してしまう

『オーバークオリフィケーション』が生じることによる人材への影響

採用機会の減少や仕事に対するモチベーションが低下

一方、『オーバークオリフィケーション』による人材側への悪影響としては、以下の点が挙げられます。

  • 企業側が早期退職を懸念して、採用を躊躇してしまう
  • 入社しても、自身の実力を発揮できず、職務満足度やエンゲージメントが低下してしまう

当人だけでなく職場全体にも悪影響が波及してしまうことに

優秀過ぎる従業員に『オーバークオリフィケーション』が生じてしまうと、当人だけでなく職場全体にも悪影響を及ぼすことになってしまいます。

例えば、自分の提案が受け入れられない状況に直面すると、「この職場では自分の能力を発揮して貢献することができない」と感じやすくなります。

ほかにも、優秀過ぎる従業員の周辺の同僚が、その人のスキルの高さに「引け目」を感じてしまったり、優秀過ぎる従業員と距離を取るようになってしまうことも。

こういったことが起こると、『オーバークオリフィケーション』が生じた優秀過ぎる従業員だけでなく、同僚にも「職場への一体感」や「帰属意識」が低下して離職リスクが高まってしまうのです。

この続きでは、『オーバークオリフィケーション』の8つの回避策について解説しています。

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