「お金を儲ける=悪いこと」と考え、忌み嫌うようになる『嫌儲バイアス』。
発生するとどんな影響が生じるのか、発生理由や具体例、日本人に特に発生しやすい理由や対策方法などについて解説しています。
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確かに「お金持ち」や「成功者」には怪しい人も多いのですが・・・
普通に考えると「お金儲け」には罪はありません。「お金儲け」をしなければ企業は経営できませんし、生活することもできません。
ですが、世の中には「お金儲け(営利目的)」に対して拒否反応を示す人が一定数存在します。
そして、お金儲けをしている「成功者」をテレビやSNSなどで見かけると、クレームやバッシングなど批判的な態度をすることもしばしば見受けられます。
こういった批判的な行動の裏にあるのが『嫌儲バイアス』です。
『嫌儲バイアス』とは?
『嫌儲バイアス』とは、「お金を儲ける=悪いこと」と考え、忌み嫌うようになる心理現象です。
具体的には、お金持ちであったり成功者と呼ばれている人に接触すると、ネガティブなイメージを抱いて「色メガネ」で見るようになってしまうということです。
「嫌儲」は、「けんちょ」や「けんもう」「いやもう」など読み方はさまざまです。このバイアス(心理的偏り)は、特に日本人に発生しやすいと言われています。
発祥・由来とは?
この『嫌儲バイアス』は、学術的に立証された心理学用語ではなく、オンライン掲示板である「5ちゃんねる(当時の2ちゃんねる)」で、お金儲けをする人を忌み嫌った「嫌儲」というネットスラングが始まりと言われています。
『嫌儲バイアス』によって生じる影響とは?
例えば、慈善団体やNPO(非営利団体)が、必要経費を得るために募金・寄付を募っているケースがある時に、それを『嫌儲バイアス』に陥った人が見聞きすると「慈善事業だ、非営利の団体だと言っておきながら、他人からの募金や寄付で儲けて私腹を肥やしているに違いない」と考え、その団体がどんな目的で活動していて、本当に儲けているかがわからない中でバッシングするようになってしまうということが挙げられます。
確かに最近では、不透明なお金の流れが発生している団体・組織もあり、そのような状態を指す「公金チューチュー」という言葉が、『ガジェット通信ネット流行語大賞』2023上半期の4位を獲得するなど、注目を集めています。
つまり、『嫌儲バイアス』が生じることで、「お金儲け=悪」というイメージによりバッシングを受けやすくなり、結果的に経済活動や社会活動の停滞を招くことになります。
なぜ発生するのか?
「優位に立ちたい」という本能や認知的不協和、金銭忌避や同調圧力が『嫌儲バイアス』の発生要因と考えられます。
「他人よりも自分が優位に立ちたい」という人間の本能
人間には、本能的に「他人よりも自分が優位に立ちたい」と考える性質があります。
そのため、他人が儲かっているのを見聞きすると「不愉快なこと」と捉えやすくなります。
「本音」と「行動」間に生じる矛盾を正当化する『認知的不協和』
ほかにも『認知的不協和』(※)も、発生する要因の一つに挙げられます。
『認知的不協和』とは、自身の「本音」と実際の「行動」に矛盾が生じる時に感じる不快感やストレスのことで、この不快感やストレスを軽減させるために(過去もしくは新しい)認知や行動を変化させようとします。
具体的には、「タバコは体に悪い」と認知していながら「タバコを吸う」喫煙者がいる場合、この喫煙者が抱える「体に悪い」が「吸いたい」という矛盾を「タバコを吸うことでストレス解消になる」と考えて正当化するというものです。
つまり、本音は「お金儲けをして裕福になりたい」のに、実際は「お金儲けできていない」という矛盾が生じている際にお金儲けをしている人や世に言う「成功者」を見た時、「あの人は不正をしてお金儲けをしている」とでっち上げて、自身の状態を正当化しようとするということです。
※『認知的不協和』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
自身の本音と実際の行動に矛盾が生じる時に不快感やストレスを感じるようになる『認知的不協和』。生じるメカニズムやビジネスシーンにおける発生例、マネジメントやマーケティングにおける活用例と抜け出す方法について解説しています。
「つつましい自分は正しい」という『金銭忌避』
ほかにも「お金儲けをしている人はきっと悪いことをしているが、自分はつつましく正しい」と思う心理も、要因の一つとして挙げられます。
これは、金融心理学者のブラッド・クロンツ 氏が考案した『マネースクリプト』を構成する4つの要素の一つである『金銭忌避』に当てはまります。
つまり、「つつましさは美徳」であり、対比して「お金持ちは悪」という思考ということです。
少数派の「お金儲けをしている人」に対する『同調圧力』
特に日本で顕著な要因と言えますが『同調圧力』(※)も、発生する要因の一つに挙げられます。
相対的にお金儲けに成功している人は少ないため、大多数と異なる人間を排除する『同調圧力』の発生しやすい日本では、少数派の「お金儲けをしている人」は妬み嫌われやすくなってしまいがちです。
※『同調圧力』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
多数派が少数派に価値観を暗黙的に強制する『同調圧力』。なぜ発生するのか、メリットやデメリット、日本でよく見受けられる理由やビジネスへの応用について解説しています。
『嫌儲バイアス』に関するさまざまな実験
オランダのエラスムス・ロッテルダム大学の論文において、7つの実験で「人間はお金儲けにどう反応するか」を明らかにしています。
『フォーチュン500(Fortune 500)』のランキング企業へのイメージ
代表的な実験の一つとして、アメリカ合衆国のフォーチュン誌が年1回編集・発行しているリストの1つである『フォーチュン500(Fortune 500)』を参加者に見せて、以下の2つの質問を投げかけました。
●リストアップされている企業は”儲かっている”と思うか?
●これらの企業に対する”イメージ”は?
この結果、「儲かっている」というイメージが強い企業ほど、「悪いことをしている」印象を持たれやすい傾向が見られました。
つまり、「儲かっていそうな企業にはネガティブな印象を持ちやすい」ということになります。
”営利目的”と”非営利目的”の違いによるイメージ
ほかにも、実験の参加者を2つのグループに分けて、ある会社に関する説明文をそれぞれ読んでもらい、印象をヒアリングしました。
●この企業は”営利目的”でコーヒーの販売をしています。
●この企業は”非営利目的”でコーヒーの販売をしています。
この結果、”営利目的”=”社会的に悪でありメリットは無い”イメージを持たれやすいということが明らかになりました。
これらの実験の結果として、『嫌儲バイアス』は「貧乏人のひがみ」によって生じるものではないということが判明しました。
『嫌儲バイアス』の具体例
ネットビジネスの成功者
『嫌儲バイアス』の対象は、インターネット上の話に限ったことではありませんが、インターネット上の情報は無料であることが多いことから、「ネットビジネスでお金儲けをする人」が特に嫌われやすい傾向があります。
例えば、メディアへの露出の多いYouTuberやインフルエンサー、アフィリエイターやいわゆる「情報商材屋」、若手起業家やスタートアップ企業の経営者などが嫌悪感を抱かれやすく、叩かれやすい傾向があります。
医療従事者や警察、消防や自衛隊
災害時に救助や救護に従事する医療関係者や警察、消防や自衛隊の方々も『嫌儲バイアス』の対象になりがちです。
本来、こういった業務に従事する方々ほど収入を高くすべきですが、『嫌儲バイアス』に囚われた人々からは「無償もしくは低額で奉仕しろ」「仕事に恵まれているのだから給与を減らして困っている人に回せ」と言われるケースがあります。
日本人が囚われやすいのはなぜ?
この『嫌儲バイアス』は、どの国でも発生するバイアスですが、特に日本人は「お金儲け」に対するネガティブなイメージを持っているせいか、嫌儲バイアスに囚われやすい人が多いように感じます。
どの国にも共通する人間の進化過程や、日本独自の歴史的・文化的背景から誕生の経緯を見てみます。
起源は原始時代?
人類が狩猟・採集生活をしていた原始時代が、『嫌儲バイアス』の起源と言われています。
原始時代では生き延びるうえで食料や居住地の確保が重要だったため、それらを独り占めしようとすることは群れの全滅を招く危険な行為でした。
そのため、群れの中で独り占めしようとする人間を締め出す必要があったことから人間に『嫌儲バイアス』が備わるようになった、というのが進化論の観点からの起源と言われています。
江戸時代の「つつましさは美徳」「貧乏は善」という風潮
264年続いた徳川家による江戸幕府の政策によって、日本人に「お金儲けは卑しい」という価値観を持たせるようになったと言われています。
江戸幕府は、各地に配置した大名を厳しく統制し、身分の違いを明確にすることで、武士を主軸とした長期政権体制を確立しました。
日本国民すべてが財力を持ち豊かになると、幕府に対する反乱のリスクが生じてしまうため、大名行列で定期的に費用を捻出させたり、「士農工商」という身分制度の中で武士に高い身分を与えて、幕府の権力維持をしていました。
そういった流れを作る中で、身分の低い農民や町民の心理に「つつましさが美徳である」という価値観が植え付けられて、「貧乏は善」という風潮が生まれることになりました。
つまり、徳川家による江戸幕府の政策によって、「お金を稼ぐ=悪」という価値観を植え付け「質素倹約は美である」と考えさせることで、国をコントロールし長期政権を築くことになったというわけです。
戦時下に植え付けられた「貯蓄は善」「投資から貯蓄へ」という価値観
1930年代、日中戦争から太平洋戦争にかけて日本は物資や労働力が不足し、戦費調達に苦慮するようになりました。
そこで、当時の大蔵省は苦肉の策として、昭和13年(1938年)に「国民貯蓄奨励局」を設立。「家は焼けても、貯金は焼けぬ」「勝つために国民貯蓄」といったスローガンとともに、国を挙げての貯蓄奨励キャンペーンを展開しました。
戦争に勝つために日本国民全員に貯金をさせることを促し、”貯金しない非国民”というレッテルを貼られることを恐れた国民の多くは、手持ちの現金を金融機関に貯金するようになりました。
金融機関に集められたお金は国債の引き受けに回され、軍需産業へ無担保で融資されました。そして国は国債の売却金で軍人に給料を支払い、武器を購入し、さらに国債の償還にも充てるようになりました。
その後、戦争が長期化するとさらに資金が必要になり、昭和16年(1941年)には「国民貯蓄組合法」という法律まで作って、全国民に貯金を強制するように。
これを境に、日本は「貯蓄は善」「投資から貯蓄へ」という価値観の強い国へ変わることになりました。
国民の財産をすべて投入しましたが結果は敗戦に終わり、大量に発行した国債は紙くずになり日本国は無一文になって破綻に陥ります。
戦後復興の大きなポイントになった「郵便局」
さらに、日本国政府は戦時下に用いた「集金の仕組み」を、戦後の復興時にも使うようになります。
早急に国を建て直すために目を付けたのが「郵便局」。
全国津々浦々に張り巡らされた郵便局のネットワークは、国営の「集金マシーン」としてお金をかき集めるようになります。
その資金によって日本国は公共事業を後押しすることで、焼け野原だった日本はインフラが整備され産業も再開し、戦後の復興を遂げることになります。
こういった戦時下からの歴史的な流れの中で、日本国民の心理には「お金は金融機関へ預けるもの」という習性が染みつくことになりました。
現在では「貯蓄から投資へ」と政府はスローガンを掲げて促していますが、上述の歴史的経緯によって投資への意識が低く「貯金することは善」という習性は色濃く残っているため、なかなかすぐに変わるのは難しいのではないでしょうか。
余談になりますが、戦後の日本を建て直すために役立った「郵便局(郵便事業)」は、平成19年(2007年)に日本郵政株式会社と4つの事業会社に分かれ、民営化することになりました。
当時の小泉 純一郎 首相が注目を集めた「郵政解散」「郵政民営化」の裏には「アメリカからの圧力」があったのではないか、と言われています。
「貯金は善」という植え付けられた価値観によって日本国民が貯蓄し続けた郵便貯金は、国営事業であるため海外資本が手をつけることができなかったため、自国の利益を拡張しようとしていたアメリカがプレッシャーをかけて民営化させたという疑念です。
当時沸きに沸いた「郵政民営化」ですが、その成果を振り返ってみると、消費者や利用者にとってそれほど革新的なサービスが創出され利便性が向上したわけではなく、アメリカの保険商品が取り扱われるようになり、上述の日本の郵便貯金が海外資本へ流れただけなのではないか?と指摘する専門家もいます。
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この続きでは、『嫌儲バイアス』への4つの対策方法について解説しています。
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