攻めの経営・事業展開に求められる『ファーストペンギン』

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『ファーストペンギン』とは?

ベンチャー精神を持った企業や個人を指すファーストペンギン

集団で行動する習性のあるペンギン。その群れの中から、食糧(魚)を求めて外敵がいるかもしれない海へ最初に飛び込む1羽目のペンギンを『ファーストペンギン』と呼びます。

それが転じて、ビジネスシーンでリスクを恐れずに初めてのことに挑戦し、(ハイリスク・)ハイリターンを得ようとするベンチャー精神を持った企業や個人を指す言葉として使われています。

日本ではNHKの連続テレビ小説が広まるきっかけに

ちなみに日本において『ファーストペンギン』という言葉は、NHKの連続テレビ小説「あさが来た」で登場した女性実業家の主人公によって、広く知られるようになりました。

また、ファーストペンギンと類似した言葉に『パイオニア』がありますが、先駆けて物事を始める開拓者という意味なので、同じような意味合いだと考えられます。

なぜ『ペンギン』なのか?

特定のリーダーのいない集団生活をする習性が

集団行動をする動物として知られているペンギン。

ペンギンは気温の低い地域で生活することもあり食欲が旺盛で、魚などを1日に体重の10%以上も食べるそう。そのため、多くの天敵がいる海へ飛び込んで食糧を獲得しなければなりません。

そんなペンギンですが、群れを統率する特定のリーダーはいないそうです。強いボスが指示をしてそれに従うのではなく、安全な状態かを判断する or 危険を察知する最初の1羽目が動き出す。ほかのペンギンはその1羽目に追従するという習性で動いているとされています。

その先陣を切る1羽目のペンギンは、リスクもありますが群れに先んじて海に入る分、より多くの餌を捕食できる可能性があります。

勇気をもって行動する(ように見える)ファーストペンギン

人間からみると非常に勇気ある行動をしているように見える、この最初の1羽目。

人間社会のビジネスシーンも同様で、大きな利益やチャンスを掴むために、危険(リスク)を顧みず先駆けてアクションを起こす企業や個人の様子を『ファーストペンギン』と呼ぶわけです。

ファーストペンギンのメリット

3つのメリットとは?

先行者利益を得ることができる

新しいマーケットに最初に参入する、新商品・新サービスを業界初として販売することで得られる利益を指す「先行者利益」。

『ファーストペンギン』として市場に参入する場合、ライバル企業がいないため「先行してマーケットシェアや顧客を獲得できる」「(競合がいないので)価格競争を回避できる」「いち早く利益を得られる」などのメリットを享受できます。

マーケットの注目度が高まる

ほかにはない新商品や新サービスを展開することによって、業界内からの注目が集まり、大きな宣伝効果を生み出します。

さらに、マーケットに新商品や新サービスを展開する際には、知名度や認知度を高めるために広告費用やブランディングコストが発生しますが、『ファーストペンギン』の場合は低コストで注目を得ることができます。

先駆けてアクションを起こす経験がビジネスの糧に

『ファーストペンギン』としての経験は未知であることが多く、その経験自体がビジネスを進めるうえで大きな糧になります。

ファーストペンギンのデメリット

失敗のリスクが高く手腕が試される

過去の事例や実績といった経験値がないため失敗のリスク大

未開拓の分野・業界に挑戦する場合、過去の事例・実績を参考にリスク対策を実施することになりますが、『ファーストペンギン』は過去の経験値がありません。

そのため、自身で発生するリスクを事前に想定し、対策を講じつつ取り組むため、失敗のリスクが高くなりがちです。

事業者や経営者の手腕に左右される

未開拓の分野・業界に挑戦する場合、参考となる経験値がないため事業者や経営者の手腕に左右されます。

事業者や経営者自身がマーケットの見極めや都度都度の判断を行うため、負担の大きくなりがちです。

ビジネスシーンにおける『ファーストペンギン』とは?

著名な3人のファーストペンギン

スティーブ・ジョブズ

①スティーブ・ジョブズ

『ファーストペンギン』として知られている人物として、まず挙げられるのが、Apple社の共同創業者の一人であるスティーブ・ジョブズ 氏。

アメリカのコンピュータ企業であるNeXTや、ピクサー・アニメーション・スタジオの創業者であり、ウォルト・ディズニー・カンパニーなどの役員を歴任しました。

「Mac」によってパーソナルコンピュータ(パソコン)の概念を広め、「iPod」や「iTunes」「iTunes Store」によって音楽業界に変革をもたらし、「iPhone」や「iPad」を世に送り出したと評されています。

ちなみに、新商品のプレゼンが有名だったスティーブ・ジョブズ 氏ですが、「オノマトペの魔術師」と呼ばれていて、特に注目して欲しい際に「ブン」「ボン」などのオノマトペ(※)を用いて、聞き手に想像力を膨らませて惹きつけるプレゼンを行っていました。

『オノマトペ効果』については、こちらの記事をご覧ください。

マーク・ザッカーバーグ

②マーク・ザッカーバーグ

アメリカの実業家でプログラマであるマーク・ザッカーバーグ 氏。

ハーバード大学在籍中にソーシャル・ネットワーキング・サービスサイト「Facebook(Facebook, Inc.)」(現:Meta Platforms, Inc.)を立ち上げ、世界最大規模のSNSとして普及させました。

また、「Instagram」を買収・拡大展開し、2023年7月5日にはSNSアプリ「Threads」を新たにリリースし、登録者数がサービス開始から2時間で200万人を突破したと発表しています。

イーロン・マスク

③イーロン・マスク

アメリカの起業家であるイーロン・マスク 氏。

航空宇宙メーカーであるスペースXや電動輸送機器およびクリーンエネルギー関連企業であるテスラ、X Corp.(旧:Twitter)などの事業を展開しています。

ファーストペンギンになるために必要なコトとは?

ファーストペンギンにはさまざまなコトが必要に

ベンチマークを設定する

目標とする人物をベンチマーク(指標や基準に)することで、その人物と自身を比較させて課題の発見・改善に取り組めるようになります。

アートシンキングを身に付ける

『ファーストペンギン』になるためには、過去の前例や慣習に捉われず、新しい世界を作り上げていく力が求められます。

そのためには、社会動向やトレンドを敏感にキャッチし、既存の概念にとらわれない「直感的な感性」や「アーティスト的な思考」が必要になります。

この、効率や成果を重視した既存のビジネス思考から脱却した独創的な思考である「アートシンキング」を身に付けることが重要になります。

STEAM教育を取り入れる

STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた教育概念のことです。

新しいマーケットや分野に挑戦するファーストペンギンには、「理論」と「感性」の両方を取り入れる必要があります。

最新技術やスキルの理解・習得

独創的な思考が必要になるファーストペンギンですが、とはいえ最新の(既存)技術やサービス、スキルの理解・習得は必要になります。

『セカンドペンギン』とは?

ファーストペンギンの後を追う2羽目のペンギン

ファーストペンギンの後を追うセカンドペンギン

ファーストペンギンに対して『セカンドペンギン』という言葉もあります。

ファーストペンギンが危険があるかもしれない海へ最初に飛び込む1羽目のペンギンであるのに対し、セカンドペンギンは危険・リスクがないとわかったら『ファーストペンギン』の後を追う「2羽目のペンギン」を指します。

つまり、未開の新分野・マーケットを最初に挑戦する企業や個人を指すファーストペンギン、リスクが小さいことを確認してから参入する企業や個人のことを『セカンドペンギン』と呼びます。

セカンドペンギンは必要!

もしファーストペンギンしかいなければ、市場が活性化・成熟せず、市場という場の継続性が保てなくなってしまいます。

ファーストペンギンの後を追うセカンドペンギンがいるからこそ、市場が拡大、成長していくわけです。

メリット①:広告宣伝費を削減できる

市場の中で商品カテゴリやサービスカテゴリに関する知名度や認知度は、すでに先駆者であるファーストペンギンが広めてくれています。

そのため、自社商品やサービスに対する知名度や認知度を高めることだけに重点を置けばよいので、広告宣伝費を低く抑えることが可能になります。

メリット②:ファーストペンギンを参考にすることができる

セカンドペンギンは、先行するファーストペンギンの成功・失敗事例から学習できるため、参入時のリスクを回避・低減できることがメリットです。

先行企業の施策を分析できるので、リスクを把握できる無駄な投資を回避できるため、効率的に施策の実行や、確度の高い事業展開ができるようになります。

最後に

ビジネスでは時に果敢に攻める『ファーストペンギン』になることも必要!?

ハイリスク・ハイリターンの初めての環境に挑戦するベンチャー精神を持った企業や個人を指す『ファーストペンギン』。

ある程度リスクを許容できる経営状態であれば『ファーストペンギン』を選べますし、効率的に事業展開したければ先行企業を参考にできる『セカンドペンギン』を選ぶのも手です。

どちらを選択するにしても、自社の状況とマーケットの動向を見定めて適宜判断をしていくことが必要になります。

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