不労所得や臨時収入といった突然手にしたお金は、自分で労して稼いだ収入と比べて大胆に浪費しやすくなる『ハウスマネー効果』。
発生するメカニズムや発生することによる弊害、実証した研究などについて解説しています。
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『ハウスマネー効果』とは?
『ハウスマネー効果(House Money Effect)』とは、不労所得や臨時収入といった突然手にしたお金は、自分で労して稼いだ収入と比べて大胆な使い方をしやすい傾向のことです。
「ハウス」とはカジノなどの賭博場の意味で、そのカジノで扱うお金やチップである「ハウスマネー」になぞらえて、カジノで得た利益はリスキーかつ大胆に浪費しやすいことに由来しています。
「カジノには行かないし、ギャンブルもしない」という人もいるとは思いますが、この心理的バイアスは無関係な話ではありません。
例えば、遺産相続や資産運用による売却益などで思いがけずに大金を得る機会であっても、この『ハウスマネー効果』が働きやすいからです。
つまり、労せず手に入れたお金≒「あぶく銭」なのだから、パッと使ってしまおうと思いやすくなる心理的傾向と言えます。
ハウスマネー効果が発生するメカニズム
なぜ、自分で労して稼いだ収入は大切に使い、突発的に得た収入ほど浪費しやすい=『ハウスマネー効果』が発生するのか。
その理由は、人間の『メンタル・アカウンティング』(※)に起因していると考えられています。
『メンタル・アカウンティング』とは『心の会計』とも呼ばれ、人間はお金に関して意思決定をする際、「これは生活費」「これは娯楽費」といったように、自分の心の中で無意識にカテゴリーごとに分類しています。
そのため、自分が分類するカテゴリーの範囲内で損得を判断することから、時に不合理な選択や心情的な判断をしやすくなり、同じ金銭であっても価値や扱い方が変わってきます。
この、金銭に関して合理性がなく心情的な判断をする『メンタル・アカウンティング』は、行動経済学の権威でノーベル賞を受賞したシカゴ大学のリチャード・セイラー 氏 が提唱しました。
※『メンタル・アカウンティング』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
お金に関して意思決定をする際、最終的な支出は変わらないにも関わらず、自分の心の中でカテゴリー・トピックごとに分類する『メンタル・アカウンティング』と、関連・派生する心理的傾向などについて解説しています。
浪費し損失が重なってしまうと・・・
浪費し損失が重なると、挽回しようとさらにハイリスクな投資をする結果、元々得た利益よりも損失は大きくなっていく・・・。
この「損失を取り戻そうとして、よりリスクを取る」心理状態は、行動経済学で『ブレークイーブン効果』(※)と呼ばれています。
※『ブレークイーブン効果』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
生じた損失分を取り戻そうとして、普段よりも積極的にリスクのある判断や行動をする『ブレークイーブン効果』。実証された実験と日常生活やビジネス、マーケティングでの発生例について解説しています。
本来、「損切り」する傾向がありますが・・・
本来、人間は得る価値よりも失う価値の方が心理的に負担が大きいため、損失を回避する心理的作用=『損失回避バイアス(損失回避の法則)』(※)が働きやすくなります。
ですが、思いがけず手に入れた不労取得や臨時収入を失う時のつらさは、自分が労して稼いだ利益よりも失うつらさが少ないため、損失を回避する・最小化する意識が薄れてしまうと考えられます。
類似する心理事象である『コンコルド効果』
ちなみに、この『ブレークイーブン効果』と類似した心理事象として『コンコルド効果』が挙げられます。
※『損失回避バイアス(損失回避の法則)』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
利得と損失を比較する際、損失の方をより重大だと感じやすく、損失を回避しようとする心理的傾向である『損失回避バイアス(損失回避の法則)』。なぜ発生するのか、ほかの8つの心理効果との関係性、具体例やビジネスシーンへの応用例などについて解説しています。
※『コンコルド効果』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
多数派が少数派に価値観を暗黙的に強制する『同調圧力』。なぜ発生するのか、メリットやデメリット、日本でよく見受けられる理由やビジネスへの応用について解説しています。
ハウスマネー効果を実証した研究結果
研究結果①競馬
『メンタル・アカウンティング』を提唱したリチャード・セイラー 氏 の研究結果によると、競馬の最終レースは大穴馬のオッズが下がる傾向があるとのことです。
これは、多くの人が不人気馬、つまり勝ちそうにない馬が最終レースでは勝つと予想するということです。
本来であれば、馬の状態や戦績を優先して予想するはずですが、大穴馬が勝てば最後に収益が逆転するという期待感から心情的に予想するようになる、と考えられます。
研究結果②先物取引
シカゴの国債先物取引において、午前中の収益状況と午後からの取引の傾向を調査したところ、午前中の収益が芳しくなかったトレーダーは、午後ではリスキーな取引をする傾向が強まるようになりました。
研究結果③ギャンブル性のあるゲーム
リチャード・セイラー 氏 とマーケティング学者のエリック・ジョンソン 氏 が行った、ギャンブラーの心の動きを観察した実験では、実験の参加者にいくつかの問いを投げかけました。
問題1:今、あなたは30ドル勝ちました。以下の①②のどちらの賭けを選びますか?
①50%の確率で9ドル得るか、50%の確率で9ドルを失う。(選んだ割合:70%)
②何ももらえないが、何も失わない。(選んだ割合:30%)
※②を賭けというには違和感があるかもしれませんが、「確率100%で0ドルが得られる」という意味では賭けの形式を満たしているとこの場では考えます。
この問題1の回答には『ハウスマネー効果』が働いています。
上述の通り、人間は通常、リスク(損失)を回避する傾向があるため、本来であれば「当たれば9ドル得られて外れれば9ドル失う」ギャンブルを選ぶ可能性は低いと考えられます。
ですが、すでに「30ドル勝った」状態であることから、もし負けたとしても21ドルは手元に残ることから、①のギャンブルを選択する割合が多かったと言えます。
問題2:今、あなたは30ドル負けました。以下の①②のどちらの賭けを選びますか?
①50%の確率で9ドル得るか、50%の確率で9ドルを失う。(選んだ割合:40%)
②何ももらえないが、何も失わない。(選んだ割合:60%)
問題1と同様の問題ですが、前提条件として「30ドル負けている」状況というのが異なる点です。
問題2では、60%の人が「②何ももらえないが、何も失わない」、つまり賭けに挑戦しない結果となりました。
賭けに勝ったとしても、30ドルの負けを取り戻すことはできません。そのため、負けて39ドルの損失になるリスクよりも「何も起きない」選択肢を選んだと考えられます。
問題3:今、あなたは30ドル負けました。以下の③④のどちらの賭けを選びますか?
③33%の確率で30ドル得るか、67%の確率で何も得られない。(選んだ割合:60%)
④確実に10ドルを得ることができる。(選んだ割合:40%)
この問題3では、60%の人がリスキーな③を選択することになりました。
賭けに勝てばマイナス30ドルが帳消し(収支ゼロ)になり、負けたとしてもそれ以上悪化しないことになります。
④を選べば、確実に10ドルを得られるため、30ドルのマイナスが減少することになりますが、結果としては③の「賭けの結果で収支ゼロ」に望みをつなぐという『ブレークイーブン効果』が働きやすくなっているのが伺えます。
これはつまり、30ドルの損失を挽回できるチャンス(③)を与えられると、実験参加者の過半数がギャンブルを選択する傾向が強まるということです。
最後に
不労所得や臨時収入といった突然手にしたお金は、自分で労して稼いだ収入と比べて大胆な使い方をしやすくなる『ハウスマネー効果』。
そもそも労働所得であれ、不労所得であれ、同じ所得であるにも関わらず、不労所得は簡単に浪費してしまいやすい傾向があります。
『ハウスマネー効果』は、毎月の収入にばらつきのある人や副業をしている人にとっても無関係な話ではありません。
そして、『ブレークイーブン効果』含め、ビジネスシーンでの意思決定でも見られる傾向です。
大切なのは、自身が「これらの心理的傾向に陥って心情的に判断していないか」を冷静に振り返る姿勢と言えます。
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