組織が『無能化』し機能不全を起こす恐れのある『ピーターの法則』。
どういったメカニズムなのか、どう回避できるのかなどを解説しています!
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『ピーターの法則』とは?

『ピーターの法則』とは、企業など組織集団における法則です。
イメージとしては、それまではプレイヤーとして優秀な成績を上げていた人が管理職に昇進したら、求められる活躍ができなくなってしまう。
そんなメンバーが組織内に増え続けてしまうことで、その組織全体が無能な集団になってしまう、というものです。
また、昇進し続けてステージが変わることで、活躍できなくなってしまった結果、「組織が無能化し機能不全を起こしてしまう」というのがピーターの法則です。
イメージとしては・・・

一般的に、組織に所属しその中で成果を出すと昇進します。昇進すると求められる役割・スキルも変わります。
上述の企業ビジネスに当てはめてみると以下のようになります。
- プレイヤーとして優秀な売上成績を上げる
- 成果が認められ管理職に昇進しても管理職としての成果が出せない
- とはいえ、組織としてはまだ限界に達していないメンバーによって機能する
- 次々とメンバーが限界に達した結果、組織が機能不全を起こす

いくらプレイヤーとして優秀でも、管理職でも同じようにパフォーマンスを発揮できるわけではありません。
そのため、このステップを踏んでしまうと、最終的には「企業組織の機能不全」を招いてしまうのです。
会社組織は、このピーターの法則が成立しないようにメカニズムを理解し、機能不全を起こさないよう対処しなければなりません。
なぜなら、組織の機能不全は、市場での競争力低下だけでなく、当人や関連メンバーなどのモチベーションの低下や退職による企業体力の減衰も招いてしまうからです。
『ピーターの法則』の由来

この『ピーターの法則』は、アメリカの南カリフォルニア大学の教授であるローレンス・J・ピーターと小説家のレイモンド・ハルの共著『ピーターの法則~創造的無能のすすめ~』で提唱されました。
この著書には、以下のような内容が記されています。
- 組織において人は自身の限界まで出世する。
- 無能な人はそのポジションに留まり続け、有能な人も限界まで出世したポジションで無能化してしまう。
- 組織活動は、まだ限界に達していない人たちによって機能する。
- 最終的に、組織は無能化してしまう。
『ピーターの法則』によるデメリット

『ピーターの法則』が企業組織に引き起こすデメリットとしては下記の通りです。
- 生産性の低下および業績の悪化
- 『創造的無能』によって人材流出のリスクが増加
- 人事評価制度が形骸化し組織力が低下
生産性の低下および業績の悪化

「プレイヤー」として優秀な成績を上げていた人が、「管理職」に昇進して適正に乏しかった場合には、生産性が低下し業績の悪化へとつながってしまいます。
『創造的無能』によって人材流出のリスクが増加

『ピーターの法則~創造的無能のすすめ~』では『創造的無能』という表現が用いられています。
『創造的無能』とは、現在の職位に留まるために「無能」と取り繕って昇進を固辞する振る舞いを指します。

この『創造的無能』に陥ってしまうことは、企業組織として望むべき状態ではないため、当人・企業の双方にとって大きな損失になります。
昇進を避けるために業務的活躍を抑えるわけですから、昇給にもポジティブな影響を及ぼさなくなるため、当人の頭の中には「モチベーションが下がって退職する」という選択肢が後々浮かぶことになってしまいます。
人事評価制度が形骸化し組織力が低下

『ピーターの法則』が引き起こされ続けると、いわゆる「無能な上司」という人材が組織内で増えてしまいます。
すると、部下に当たる人材への評価も、正当性や根拠が乏しいものとなり、「無能な役職者」をさらに増やすことにつながってしまうのです。
結果として、人事評価制度が本来望まれる機能を発揮しなくなり、組織機能が低下することになります。
『ピーターの法則』の回避策・対処法とは?

『ピーターの法則』によって「無力化した人材」の発生・増加を防ぐための対策としては下記の点が挙げられます。
- 「客観的な指標」のある評価制度
- 「ポジションごとの役割や要件」を定義する
- 「昇進する前に」ポジションに応じた能力を習得できる教育・研修制度
- 昇進ではなく「昇給」で評価しそのままのポジションに留める
- 「降格制度」を設ける
- 「1on1ミーティング」で相互理解を深める
「客観的な指標」のある評価制度

フィールドセールスの場合であれば、「成果=売上」と数値で明確に判断できるので「客観的」に定量評価ができますが、それ以外の職種の場合、特に中小規模の企業では評価の判断基準が曖昧なことが多く、その人材の有能さが「主観的」に判断されるケースもあります。
つまり、主観ではなく客観的な指標を用いた評価制度でなければ、『ピーターの法則』で発生した「無能な上司」に評価されやすい業務をする部下が増えてしまい、企業組織として期待する業績を上げることにはつながりません。

例えば、中小規模のBtoB事業会社に所属するマーケティング職の場合、比較的に「定量的評価」が採用されるケースが多いといえますが、評価・昇進制度が「長期的な視点」で構築されていない場合が多く、昇進が組織内で頭打ちになってしまうことが早い傾向があります。
そのため、基本的なBtoBビジネスの商文化(※)への理解とともに、自社ビジネスにおけるマーケティング職の立ち位置(ポジション)を明確にする必要があります。
※『BtoBマーケティングの商文化』に関しては、こちらのページをご覧ください。
BtoB(企業間取引)ビジネスならではの特性について理解が進んでいないと「マーケティング活動で成果が出ていない」と誤解されてしまうかもしれません。BtoB文化や商習慣などおさえておくべきポイントを解説します。
「ポジションごとの役割や要件」を定義する

「客観的な指標のある評価制度」と併せて、ポジションごとに求められる役割や要件を定義することが求められます。
役割や要件が明確になっていれば、当人自身もすでにクリアしている要件なのか、これからクリアすべきなのかが自覚できるようになります。
「昇進する前に」ポジションに応じた能力を習得できる教育・研修制度

昇進後の新たなポジションに求められる能力(スキル)を、昇進前に研修などで習得できれば「無能化」を回避することができます。
教育・研修制度とともに、新たなポジションですでに活躍している人材がフォローするなどの体制作りが重要となります。
昇進ではなく「昇給」で評価しそのままのポジションに留める

『ピーターの法則』を防ぐためには、「昇進させない」という選択肢もあり得ます。
とはいえ、一定の成果を出しているのにそれに見合う昇進がないと当人のモチベーションが低下してしまいます。
そこで、活躍し続けられるポジションに留まらせつつ、昇給などの報酬で評価する形をとるのも望ましい形と言えます。
「降格制度」を設ける

昇進後に「無能化」してしまった際、その対象者を「降格させる」という手段が社内の制度として確立していれば、有効な対策となります。
『ピーターの法則』が生じている状態は、当人にとっても能力が発揮できておらず、企業組織にとってもデメリットのある状況と言えます。
当人も成果を出していたポジションに戻ることでモチベーションを取り戻し、再び企業組織に有益な成果を上げてくれるようになることが見込まれます。

注意点としては、誰でもすぐに昇進した「新たなポジション」で成果を上げられるわけではありません。
そのため、「適正の有無を判断するための期間」を設けたうえで、その先の選択肢として「降格」も含めて人事判断をすることが求められます。
外資系企業とは異なり、年功序列システムが根付いている日本企業の場合は、明確に降格制度が定められていない・機能していないことが多く、『ピーターの法則』が発生しやすい環境なので、企業組織を運営する際には特に考慮すべき点と言えます。
「1on1ミーティング」で相互理解を深める

制度などを構築することも『ピーターの法則』を回避するためには大切なのですが、人材としての「理解を深める」こともマネジメント層には欠かせません。
なので、「この会社でどう成長していきたいのか」「目指すキャリアプラン」などを、『1on1』で定期的にヒアリングや意見交換をすることがポイントになります。
コロナ禍以降、リモートワーク環境下で何気ない会話機会が乏しいこともあるかもしれませんが、意識して「1か月に1度程度」は実施することをオススメします。
最後に

経営者や人事担当の立場からすると、企業組織側の要望を叶えつつ、従業員一人一人の希望・適正を「100%一致させる」人員配置は非常に難しいと言えます。
とはいえ、「すべてのホームランバッターがエースピッチャーになれるわけではない」という当たり前の事実を念頭に置き、従業員を「適材適所」で配置し、一人一人が成果を上げて業績を最大化できるよう、『ピーターの法則』のメカニズムを理解して回避策を状況に応じて講じていく姿勢が、経営陣や人事担当者、マネジメント層には求められます。
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