転職市場で人気のあるマーケティング職
転職市場でも人気職種の1つである『マーケティング職』『マーケター』。
経済不況の影響を受けやすいこともあり、新型コロナウイルス感染拡大の影響でマーケティング部門などのスタッフが削減・求人数の低下が見られたものの、経済の回復とともに、マーケティング関連の求人も活況を取り戻しつつあり再び増加傾向です。
求人が増加傾向である大きな理由としては、いわゆる「デジタルマーケティング」分野に対する企業ニーズが拡大していることが挙げられます。
そのため、転職活動時にも、実務経験や『マーケティング』に関する基礎知識を得る・理解をしておくことが必要になります。
そもそもマーケティングとは?
企業によって異なる『マーケティング』の意味
「マーケティング」をどう定義するかは、人や部署、立場によって異なりがちです。
転職活動をする際には、まずその企業がマーケティングをどう定義しているのかを把握することが重要になります。
その企業での定義を把握しないと、定義によってマーケティング活動も変わるので、入社後に企業・ご自身の双方でミスマッチが発生することになってしまいます。
※企業によって『マーケティング』に対するイメージが異なりがちな理由については、こちらの記事をご覧ください。
事業会社によってマーケティングのイメージは異なります。他の職種にはブレが出にくいのになぜマーケティングにはいろいろなイメージを持たれてしまうのか。代表的なイメージ例をもとに分類し、定義しなければ起こってしまうリスクについて解説します。
『マーケティング』とは「売れる仕組み」を作る
一般的に『マーケティング』とは、「商品やサービスが『売れる仕組み』を構築する」こと、もしくは「売上を増加させ、利益増大に貢献する」ことと定義することができます。
そのために、根拠を持った戦略を立案し、その戦略に基づいた戦術(施策)を実行することになります。詳細については後述します。
※(BtoB)マーケティングの全体像については、こちらの記事をご覧ください。
BtoBマーケティングの手順・進め方の一例 BtoB領域の事業会社でマーケティングプランを立てる際、前年の方針や施策をベースに組み立てることが多いかと思いますが、しっかりと一定の根拠をもって戦略を立案し、それに基づいて戦 …
なぜ『マーケティング』が求められるようになったのか?
なぜ日本でマーケティングが必要になったかというと、戦後の「良い商品やサービスであれば売れる」時代から、経済や社会構造の変化によって「競合よりも優位性があると認識してもらわないと売れない」時代へと変化したからです。
さらに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によってビジネススタイルを強制的に変化せざるを得なくなったこともあり、そういった変化を捉えたビジネスを展開していくことをマーケティングには一層求められています。
※日本企業にマーケティングが必要になった理由の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
日本企業においてなぜマーケティングが必要なのか。戦後の歴史的流れを踏まえて解説しています。
転職先を探す際に理解しておきたい4つのポイント
上述の日本企業でのマーケティングの一般的な定義・ミッション、必要になった理由を踏まえつつ、マーケティング活動を決定づける転職先の企業属性についても、理解することが必要になります。
所属するのは『事業会社』?
まず『事業会社』に所属するのか、『支援会社』に所属するのか。
事業会社とは、自社で取り扱う商品やサービスを販売して売上を増加させることを目的とする会社です。
なので、事業会社に所属するということは、自社の商品やサービスを拡販するためにマーケティングするのがミッションとなります。
※事業会社のマーケティングについての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
転職市場で人気のある『マーケティング職』『マーケター』。事業会社に所属するマーケターの業務や特徴、メリット・デメリット、求められるスキルや思考について解説しています!
所属するのは『支援会社』?
一方、支援会社とは、事業会社をクライアントとして、マーケティングや関連するITサービスなどを提供する会社です。
そのため、クライアントである事業会社が抱えるマーケティングに関する課題を解決するために、自社内もしくは関連企業・パートナー連携会社とチームアップ、プロジェクトを編成し進めていくことがミッションとなります。
※支援会社のマーケティングについての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
転職市場で人気のある『マーケティング職』『マーケター』。支援会社に所属するマーケターの業務や特徴、メリット・デメリット、求められるスキルや思考について解説しています!
転職先企業のビジネスモデルは?
次におさえておきたいポイントは、転職を希望する企業のビジネスモデル(販売対象)です。
ビジネスモデルは、大きく『BtoB』と『BtoC』に分類することができます。
BtoBとは「Business to Business」の略称で、「企業 対 企業」で商品・サービスを取引すること、BtoCとは「Business to Consumer」の略称で、「企業 対 消費者」で商品・サービスを取引することです。
『BtoB』は企業が販売対象で、特徴としては「単価が高い/受注までの期間が長い/対象は限定的」、『BtoC』は一般消費者が販売対象で、BtoBと比較して「単価が低い/受注までの期間が短い/対象のボリュームが大きい」傾向があります。
※『BtoB』企業と『BtoC』企業の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
転職市場で人気のある『マーケティング職』『マーケター』。BtoCとBtoBの業務の違いややりがいについて解説しています。
BtoBの場合は『商文化』を理解することが重要
特に『BtoB』は企業が対象となることから、商文化という購買特性、「お作法」を理解して取り組むことが重要です。
具体的には、企業が購入することから、社内の関係部署や関係者の合意形成=稟議承認が必須となります(金額規模に応じて)。
そして、期初に予算を策定するケースが多いことから、必要性を強く認識してもらわないと「割り込む」ことが難しい点です。
※BtoBの商文化については、こちらの記事をご覧ください。
BtoB(企業間取引)ビジネスならではの特性について理解が進んでいないと「マーケティング活動で成果が出ていない」と誤解されてしまうかもしれません。BtoB文化や商習慣などおさえておくべきポイントを解説します。
転職先の企業の規模感は?
さらに、転職先企業の規模感も考慮すべきポイントの一つです。
具体的には大規模企業か、中堅・小規模企業か。
大規模企業であれば、使える予算が潤沢なケースが多く、インパクトのあるマーケティング施策を実行できる可能性が高いといえますが、年功序列の傾向が強いため、裁量権がなかなか得られない、昇格まで順番待ちといったケースが起こることも。
中堅・小規模企業であれば、社内にマーケティングに関する形式知が蓄積されていないこともあるため、挑戦的な戦略立案や戦術の実行がしやすく、短期間で裁量権を持つことができる、昇進・昇格がしやすい傾向がありますが、使える予算額に限りがあるため、実行できる施策のスケールインパクトが乏しく、そもそもキャリアパス自体が社内に存在しないことも多く見受けられます。
※転職の際の大規模企業と中小規模企業それぞれの特徴については、こちらの記事をご覧ください。
マーケティング担当・マーケターへの転職の際、大企業か中小企業のどちらを選択すべきか。それぞれのメリット・デメリットと共通して求められる対外的な思考やスキルについて解説しています。
※長野県や新潟県、富山県で正社員の転職や派遣求人をお探しの際には、ジョブズゴーをご覧ください。
実際にマーケターはどんな業務をするのか?
マーケターの場合、やるべきことは多岐に渡り、かつ企業によってミッションが異なるため、どの企業でも共通する業務内容をピックアップします。
戦略を策定して戦術を実行する
「商品やサービスが『売れる仕組み』を構築する」、もしくは「売上を増加させ、利益増大に貢献する」ために、まずは販売実績などを根拠として経営方針に根差した戦略を立案し、その戦略に基づいた戦術(施策)をリソースを駆使して実行することになります。
※『戦略』と『戦術』の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
「まず戦略を立てる」「戦術を実行する」。マーケティング界隈でよく耳にしますが、そもそも戦略・戦術とは何なのか、なぜ必要なのかを解説します。
見込み客(リード)を獲得する
マーケターにとって重要なミッションは『売上につながる見込み客(リード)を獲得する』こと。
獲得するためのアクションを『リードジェネレーション』と呼びます。
この見込み客を獲得する方法としては、大きく分けてWebサイトやソーシャルメディアといったオンライン経由、展示会やセミナーといったオフライン経由の二つのパターンがあります。
※『リードジェネレーション』の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
見込み客(=リード)とは? まず、見込み客(=リード)とは、自社の商品やサービスに興味を抱いた人の個人情報を指します。 ここで言う個人情報は、興味を持ってくれた方々にこちらからアプローチできる情報のことで、一般的には、氏 …
獲得したリードの検討確度・購入意欲をアップさせる
BtoBの場合、購買特性によって受注までに時間を要するケースがほとんどです。
商品・サービスの規模によっては数か月かかることもあれば、1年、それ以上かかることもあります。
そのため、自社の商品やサービスを必要だと認識してもらい、社内で承認フローを上げてくれる・導入を検討してくれるように継続的に情報を発信し、購入に至るまでのステップを踏んでもらい、商品やサービスの特徴・有用性の理解を深めてもらう必要があります。
その活動が『リードナーチャリング』です。
主な方法は「メール配信」となり、メール配信システムやMA(Marketing Automation)ツールを導入して進めることになります。
※『リードナーチャリング』の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
リードナーチャリングとは?なぜ必要? 『リードナーチャリング(Lead Nurturing)』の意味とは、リードジェネレーション(※)で獲得した見込み客(リード)に対して、興味関心度・購買意欲を高めていく方法を指します。 …
業務を進めるうえで欠かせないのが『マーケティングとセールスの連携』
さらに、受注ステップの前工程を担うBtoBマーケティングには、後工程を担うセールスとの連携がとても重要になります。
通常、前工程のマーケティングが「リードジェネレーション」で見込み客を獲得し、「リードナーチャリング」やインサイドセールスによって検討確度を上げ、その見込み客を後工程のセールスにパスし、商談、受注という流れとなります。
そのため、マーケティングとセールスの連携が重要になりますが、それぞれのミッションが異なるため、衝突や軋轢が生じることも。
マーケティングとセールスそれぞれがお互いの役割、ミッションを理解したうえで進めなければ、受注確度を高めにくくなってしまいます。
※マーケティング・セールスそれぞれの役割、連携についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
前工程を担うマーケティングと後工程を担うセールスが連携して収益を上げるのが一般的ですが、それぞれの役割・関係性を理解しておかないと余計な軋轢を生んでしまいます。あるべき姿を解説します。
マーケティング職に求められるスキル&思考テクニック
転職を希望する企業が事業会社なのか、支援会社なのか。販売対象が企業のBtoBなのか、一般消費者のBtoCなのか。企業規模が大規模なのか、中堅・小規模なのか。
BtoBであれば、商文化(購買特性)、さらにマーケティングの基本である戦略と戦術、見込み客の獲得、見込み客の検討確度をアップさせる施策について理解することが必要になります。
そのうえで、実際のマーケティング業務をする際に必要になる『社内向け』『社外向け』のスキルや思考テクニックを取得できるよう日々努めていれば、転職活動の選考時に大きなアピールポイントとなります。
社内向けであれば、物事を言語化するスキル、他者・他部門との調整力(ディレクション力)や折衝力、営業への理解(理想は営業経験)、そして日々の時事ネタを自分事と捉えて「仮説検証」する・実業務に当てはめてみる。
社外向けであれば、マーケティング業務をハンドリングするための『入口』の知識はもちろん、基本的な分析手法や商文化への理解、購買プロセスや顧客や消費者の心理・行動メカニズムなど。
これらを身に付けるよう日々意識して取り組んでいれば、ほかの選考者と大きな差別化が図れ、入社前にイメージトレーニングをしていることになるので、スムーズに実業務に入れる可能性が高まります。
※BtoB事業会社のマーケターに求められる『社外向け』のスキル&テクニックについては、こちらの記事をご覧ください。
事業会社のマーケティング担当・マーケターへ転職する際に求められる対外的なスキルやテクニックについて解説しています。
※BtoB事業会社のマーケターに求められる『社内向け』の思考やスキル&テクニックについては、こちらの記事をご覧ください。
事業会社のマーケティング担当・マーケターへ転職する際に求められる社内向けのスキルやテクニックについて解説しています。
最後に
マーケターの多くは日々やるべきことに追われ、忙殺されがちです。
やることを探せば探すほど出てくるような、さまざまな業務をパラレルにかつ同時進行で担うことになります。
そのため、心身ともに耐久力が求められるケースが多いですが、その分、成果が出た時の達成感はひとしおで、やりがいのあるものです。
ぜひ、これらのことを理解して、やりがいのあるマーケティング職・マーケターへの転職を成功させてください!
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