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『スノッブ効果』とは?
『スノッブ効果』とは、多くの人が所有していない特別なモノに対して価値を感じて、「他人とは違うモノが欲しい」という購買意欲が働く心理作用のことです。
この『スノッブ効果』が働く背景としては、類似した商品やサービスが普及するとそれとは異なるモノが欲しいと感じるようになり、簡単に入手できないモノほど需要が増して、限定性や希少性に価値が生じて魅力を感じるようになって購買意欲が増すことになります。
『スノッブ効果』の由来
『スノッブ効果』は、アメリカの経済学・社会学者のソースティン・ヴェブレンに由来しています。
1899年に著書である『有閑階級の理論』で、「有閑階級(≒裕福な階級に属する人々)は、自身の顕示欲を満たす・周囲から羨望を得るために高額な商品を購入する」現象という消費者の行動における特徴を発見し、それをアメリカの経済学者であるハーヴェイ・ライベンシュタインが1950年に『消費者需要理論におけるバンドワゴン効果、スノッブ効果、及びヴェブレン効果』という論文で「顕示的消費」と用いたことから広まったとされています。
ここで言う「スノッブ(snob)」とは、他人に対して自身の地位の高さなどを自慢する人を意味しており、これが転じて『スノッブ効果』と呼称するようになったとされています。
『スノッブ効果』の原理・メカニズム
「同じ洋服を着ている人を多く見て、着るのをやめてしまった」「自分と同じバックを持っていたり靴を履いている人を見て、使う・履くのを控えてしまった」という経験は無いでしょうか。
この「自分と同じモノを他人も持っている」と認識した際に、そのモノの使用を控えたくなる心理が『スノッブ効果』に当てはまります。
これは、人間の「他人と差別化したい」という願望・心理が関係しています。
多くの人間には「他者とは異なる個性を有していたい」という欲求を持っていて、同じモノを所有することに抵抗を感じることがあります。
そのため、『スノッブ効果』が発揮され、他人が所有していないモノ、世の中にあまり出回っていないモノに対する購入意欲が高くなります。希少性の高い商品やサービスに対する購買欲求も『スノッブ効果』によるものといえます。
マーケテイングでの『スノッブ効果』の活用例
この『スノッブ効果』は、マーケティングで活用される心理事象として知られています。
活用例は以下の通りです。
『地域限定』『期間限定』=限定性を高める
「この地域だけで限定販売している〇〇」「明日までの特別販売」と目にすると、購買意欲が高くなる傾向があります。
これは、販売地域、販売期間が限定されていることで、限定性が高まることが起因しています。
『数量限定』=希少性を高める
「世界で1つだけのオリジナル〇〇」「世界で〇個の限定生産」「在庫限り」という打ち出しも目にしたことがあるかと思います。
これは、販売する数量を限定することで希少性を高められるので『スノッブ効果』が期待でき、宣伝効果が見込まれます。
3つの行動心理効果の違いと『スノッブ効果』との組み合わせによる相乗効果
スノッブ効果とバンドワゴン効果、ヴェブレン効果の3つの行動心理事象の違い
『スノッブ効果』は、1950年にアメリカの経済学者であるハーヴェイ・ライベンシュタインが論文で述べたことから認知されるようになりましたが、この論文の中で取り上げられた、スノッブ効果、バンドワゴン効果、ヴェブレン効果の3つは意味を混同しやすい傾向があります。
違いをまとめると下記のようになります。
■スノップ効果=「みんなとは違うモノが欲しい」という、他者と差別化したいという願望によって行動が促される心理事象。
■バンドワゴン効果(※)=「みんなと同じモノが欲しい」という、他者と同質化したいという願望によって行動が促される心理事象。
■ヴェブレン効果(※)=「みんなとは違うモノが欲しい」「周囲に見せびらかしたい・自己顕示欲を満たしたい」という他者との差別化と顕示欲求によって行動が促される心理事象。
※『バンドワゴン効果』については、こちらの記事をご覧ください。
バンドワゴン効果とは? バンドワゴン効果とは、経済学者であるライベンシュタインが1950年の論文の中で提示した行動心理学の事象の1つです。 「バンドワゴン」とは行列の先頭を行く「楽隊車」を意味し、「みんなが持っているなら …
※『ヴェブレン効果』については、こちらの記事をご覧ください。
商品価格が高く希少性が高いほど購買ニーズが高まる『ヴェブレン効果』。発揮させるための条件やマーケティングでの活用について解説しています!
『スノッブ効果』との組み合わせによる相乗効果
『スノップ効果』に、バンドワゴン効果やヴェブレン効果を組み合わせることで、相乗効果を期待することができます。
スノッブ効果とバンドワゴン効果の組み合わせ
他者と差別化したいという願望が起因する『スノッブ効果』と、他者と同質化したいという願望が起因する『バンドワゴン効果』は、正反対の対照的な心理が作用していますが、この2つの行動心理効果を組み合わせることが可能です。
例:「人気商品」を「地域限定・期間限定、数量限定」で販売する。
・「人気商品」=他者と同質化したい=『バンドワゴン効果』
・「地域限定・期間限定、数量限定」=他者と差別化したい=『スノッブ効果』
スノッブ効果とヴェブレン効果の組み合わせ
他者と差別化したいという願望が起因する『スノッブ効果』と、他者との差別化と顕示欲求が起因する『ヴェブレン効果』も組み合わせることで相乗効果が期待できます。
例:「高級な商品」を「数量限定」で販売する。
・「高級な商品」=他者との差別化と顕示したい=『ヴェブレン効果』
・「数量限定」=他者と差別化したい=『スノッブ効果』
スノップ効果、バンドワゴン効果、ヴェブレン効果の3つの組み合わせ
例:「人気」の「高級な商品」を「期間限定」で再販売する。
・「人気(商品)」=他者と同質化したい=『バンドワゴン効果』
・「高級な商品」=他者との差別化と顕示したい=『ヴェブレン効果』
・「期間限定」=他者と差別化したい=『スノッブ効果』
『スノッブ効果』を活用する際の注意点
『スノッブ効果』による行動心理効果を発揮させるためには、いくつかの注意点があります。
限定性・希少性を付与させる
販売したい商品に対して『地域限定』『期間限定』『数量限定』などで販売数や販売期間に縛りを加えることで、限定性や希少性を付与することが必要になります。
販売数を増やし過ぎると『スノッブ効果』が発揮しなくなってしまうので、販売商品のマーケット内での流通量を適切に制限して、購買意欲を刺激するようにすることが求められます。
オリジナリティを加える
「世界で1つだけの〇〇」といったように、オリジナリティを加えることで『スノッブ効果』の発揮が期待することができます。
まとめ
多くの人が所有していない特別なモノに対して価値を感じて、「他人とは違うモノが欲しい」という購買意欲が働く『スノッブ効果』。
限定性・希少性やオリジナリティに注意しつつ、ほかの行動心理効果と組み合わせて活用することで大きな効果が期待できます。
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