顧客に対してより高額な「上位商品・サービス」の購入を促すことで、収益を増やす手法である『アップセル』。
メリットと実際のビジネス例、アップセルが起こる心理的要因、『クロスセル』との違いについて解説しています。
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『アップセル』とは?
『アップセル(up sell)』とは、顧客が購入を前向きに検討している・購入を決断したタイミングに、より高額な「上位商品・サービス」の購入を促すことで、収益を増やす手法のことです。
顧客の「数」を増やすのではなく、顧客の「質(単価)」を上げることに重きを置いた手法と言えます。
どうしても限界のある「新規顧客の獲得」に頼ることなく収益向上を目指す『アップセル』は、サブスクリプション型の商品・サービス(※)が増えている中で、改めて重要視されるようになっています。
※:『サブスクリプション』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
定期的に定額の利用料を支払うことでサービスが提供される『サブスクリプション』。利用者・消費者、サービス提供者・事業者それぞれのメリットとデメリット、定額制/月額制サービス、SaaSとの違いについて解説しています。
『アップセル』のメリット
収益を増やす手法である『アップセル』によって生じるメリットは、以下のような点が挙げられます。
効率よく収益を高めることができる
『アップセル』を実施することによって、より高機能・高価格帯の商品・サービスを提供できるようになると、顧客の「質(単価)」が高まります。
顧客単価が高まることによって、効率的に収益も高めることができる点がメリットの一つと言えます。
『LTV』の向上が見込める
マーケティングでは『1:5の法則』という法則が知られています。
「新規顧客の獲得に生じるコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかる」という法則です。
つまり、新規顧客を都度獲得するよりも、既存顧客を維持しさらに収益を得る、『LTV(顧客生涯価値)』を高める方が、事業成長をより効率的にできるということです。
既存顧客と良好な信頼関係を築きつつ、提供する商品・サービスに一定以上満足してもらい『アップセル』につながれば、一顧客当たりの売上=『LTV』が高まり、顧客単価が上がるというわけです。
『アップセル』のビジネス例
実際の『アップセル』のビジネスでの具体例は、以下のようなケースが挙げられます。
マクドナルド(ファーストフード):BtoC
身近でわかりやすい例として挙げられるのが、マクドナルドの販売手法です。
例えば、ポテトとドリンクがMサイズのセットを注文した際に「〇〇円プラスでLサイズ(ワンランク上のセット)に変更できますが、いかがでしょうか?」といった案内。
1人の客に対する効果をみると僅かな単価アップですが、店舗数・客数が多いマクドナルドのビジネス規模であれば、全体でみると大きな収益アップになります。
ECサービス(Amazon):BtoC
ECサービスを展開しているAmazonも『アップセル』の好例と言えます。
Amazonの「通常会員」の場合は、無料会員登録を済ませればショッピングを開始することが可能です。
一方、有料の「プライム会員」になると、年会費もしくは月会費が発生しますが、商品の配送料が無料になり、動画配信サービス『プライムビデオ』や音楽配信サービス『プライムミュージック』が利用できるようになります。
この「通常会員」プランから「プライム会員」へ移行するのが『アップセル』に該当します。
有料会員へのグレードアップ(クレジットカード):BtoC
上述のAmazonのように、契約中のプランよりも上位のプランにグレードアップすることも、定期収益の向上に寄与する『アップセル』施策です。
例として、年会費無料のクレジットカードを、購入実績のある会員に対して有料会員へグレードアップを提案するというケースが挙げられます。
顧客に対して「上位プランに切り替えることで、よりベネフィットが得られる」という情報を適切なタイミングで提供することがポイントとなります。
SaaSビジネスでのアカウント追加:BtoB
「1ユーザーあたりの課金体系」を採用しているSaaSビジネス(※)の場合、利用する「アカウント数」を追加申し込みしてもらうことが『アップセル』となり、収益の向上となります。
※:『SaaS』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
働き方改革やDXの推進手段の一つとして有効なSaaS。どんなSaaSサービスがあるのか、メリットとデメリットを解説しています。
SaaSビジネスでのオプションサービス購入:BtoB
顧客が契約中のサービスに「オプション」としてラインナップしている機能を追加購入してもらうことも『アップセル』に該当します。
SaaSビジネスのサービスであれば、「24時間無休のサポート」「使用容量の増加」「隣接するサービスとの連携」など、主となるサービスに付随して利用可能なオプションです。
ちなみに、同じ「オプション」であっても、「自動車」を購入する時に「カーナビ」という別商品を購入するというケースは『クロスセル』に該当します。
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この続きでは、『アップセル』が生じる心理的要因、『クロスセル』との違いについて解説しています。
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