
集団の中で馴染めない人を仲間外れにしたり、同質性から逸脱した人を「異分子」として排除しようとする『黒い羊効果(ブラックシープ効果)』。
発生例や発生する原因、黒い羊効果の対象になった時の対応策や黒い羊効果を生じさせない組織づくりのポイントなどについて解説しています。
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『黒い羊効果(ブラックシープ効果)』とは?
『黒い羊効果(Black Sheep Effect)』とは、集団の中で馴染めない人を仲間外れにしたり、同質性から逸脱した人を「異分子」として排除しようとする、心理学における集団心理現象の一つです。
外部にいる異質な人に対してではなく、自分と同じ集団に所属する異質な人に矛先が向く現象のことです。
「黒い羊」の由来
この「黒い羊(Black Sheep)」とは、英語圏において「厄介者や嫌われ者」という意味で、聖書の「1匹の黒い羊が、白い羊の群れに受け入れてもらえずに排除される」という故事に由来しています。
発生することによる影響
この『黒い羊効果』が発生することによって、「標的」にされた人は、学校や職場などの社会集団において「仲間外れ」にされたり、「孤立」させられるようになってしまいます。
そして多くは、その集団の正当性を維持するための「生贄」である『スケープゴート』にされてしまいます。
『黒い羊効果』を実証した実験
1988年にポルトガルの社会心理学者であるホセ・マルケス 教授らが発表した論文で、ベルギーの学生を対象にした実験を通して『黒い羊効果』を実証しています。
マルケス教授らは、ベルギーの学生184人を被験者とし、以下の典型的な6パターンの人物像を示して、7段階で評価するように求めました。
- ベルギー人の学生(内集団のメンバー)
- 北アフリカ人の学生(外集団のメンバー)
- 好ましくないベルギーの学生
- 好ましくない北アフリカの学生
- 好ましいベルギーの学生
- 好ましい北アフリカの学生
実験の結果は、以下のようになりました。
- 「好ましいベルギー人の学生」は、「好ましい北アフリカ人の学生」よりも高く評価された。
- 一方で「好ましくないベルギー人の学生」は「好ましくない北アフリカ人の学生」よりも低く評価された。
実験の被験者は「ベルギーの学生」であったことから、ベルギーの学生を「自分と同じグループに所属する身内」と捉え、好ましい特徴を持つ場合はより高く評価し、逆に好ましくない特徴を持つ場合はより低く評価する、という『黒い羊効果』が生じたことが明らかになりました。
『黒い羊効果(ブラックシープ効果)』の発生例
『黒い羊効果』によって起こるのは、マイナスなことが多くなりがちですが、プラスに作用することもあります。
- 学校や職場での「いじめ」
- 不倫した有名人への「バッシング」
- 新入社員への「叱責」
- 前例の無い挑戦をした人が叩かれる
- 日本代表の選手が活躍すると喜ぶ
学校や職場での「いじめ」
『黒い羊効果』の典型例として挙げられるのが「いじめ」です。
学校や職場といった集団において、大多数と異なる特徴や性質を有している人を「黒い羊」と見なし、排除しようと攻撃するようになります。
最近では、SNSなどのソーシャルメディアでの誹謗中傷も、『黒い羊効果』が影響しているケースがあります。
学校の場合は特に、集団内にヒエラルキーが出来上がることがあり、下層に位置する人が「ハブられてしまう」というケースも『黒い羊効果』に該当します。
不倫した有名人への「バッシング」
マスメディアやSNSで度々取り上げられる、有名人の不倫。
この有名人の不倫に対するバッシングにも『黒い羊効果』の特徴が色濃く出ています。
特に「庶民派」を売りにした有名人の場合、反動がより強く出てバッシングが発生するようになります。
このケースでは、「庶民派の有名人」が、世間にとってより「内集団の一員」として見られていることから、『黒い羊効果』が強烈に生じて「バッシング」が過熱するようになる、というわけです。
新入社員への「叱責」
職場において、仕事が速いチーム内に新入社員が入った際、その新入社員を「黒い羊」と見なして、指導(マネジメント)を渋ったり、低く評価する可能性が生じてしまいます。
前例の無い挑戦をした人が叩かれる
これまで誰もやったことのない事業に果敢にチャレンジする人も、「出る杭は打たれる」の如く、「黒い羊」として叩かれやすい対象になります。
このケースは、取り組んだビジネスが多くの人に受け入れられるようになると、叩かれなくなる傾向があります。
日本代表の選手が活躍すると喜ぶ
一方で『黒い羊効果』がポジティブに作用するケースも考えられます。
スポーツなどの国際的な大会で日本人が活躍した時「自分のことのように喜ぶ」ことも、その活躍したプレイヤーを日本人という「身内」と見なしているため、「日本人」という集団の価値が高まったように感じることから起こると考えられます。
なぜ『黒い羊効果』が発生するのか?
普通に考えると、自分と同じ集団に所属するメンバーであれば、多少の欠点や問題を抱えていたとしても「仲間だから」と大目に見そうですが、『黒い羊効果』によって、低い評価を受けたメンバーは、同程度の低い評価を受ける別の集団に所属する人よりも厳しい見方をされるようになってしまいます。
この『黒い羊効果』が発生する理由としては、自分が所属する集団=内集団を優遇し、それ以外の集団=外集団を劣悪と評価する『内集団バイアス』が大きな影響を与えていると考えられます。
※『内集団バイアス』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
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太古の昔から、人間は集団生活をしてきました。
狩猟をする、家事をする、子育てをする、など、それぞれが役割を担って集団を形成し、生存確率を高めてきました。
そんな集団の中に調和を乱す「異分子」がいた場合、集団としての秩序が乱れ瓦解するリスクを抱えることになってしまいます。
なので、自身が所属する「内集団」を維持・存続させ、結束力を維持するために、内集団内の「異分子」を排除しようとする『黒い羊効果』が生じる、というわけです。
また、自身が所属している「内集団」に対して肯定的・好意的に評価し、優れていると思い込むようになる『内集団バイアス』によって、集団内に価値を損ねるようなメンバーがいると、価値を高く保とうとするために排除しようとすることから『黒い羊効果』が生じるようになります。
そして、排除しようとする人が集団内で増え始め、その勢力が多数派になると『同調圧力』が生じやすくなってしまいます。
※『同調圧力』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
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『黒い羊効果』が生じやすい環境
特に以下の2つの環境下において『黒い羊効果』が生じやすくなります。
- 「帰属意識」が強い
- 人員過剰の集団
「帰属意識」が強い
『黒い羊効果』は、集団の価値を維持しようとすることで生じるため、その集団への「帰属意識」や愛着が強い人が集団内に多いと生じやすくなってしまいます。
「帰属意識」が強いということは、「その集団の一員であることが、強いアイデンティティ(自分らしさ・存在意義)になっている」ということです。
この傾向は、宗教などで特に見られる傾向と言えます。集団内に厳しいルールがあるほど「帰属意識」は高まりやすくなり、その反動として「黒い羊」への敵対意識も強まりやすくなります。
人員過剰の集団
企業組織といった集団が「人員過剰な状態」の場合、人間関係のトラブルが起きやすく、その延長で『黒い羊効果』が生じやすくなる傾向があります。
逆に、人員が少ない状態であれば、業務を進めることに手一杯になるため、『黒い羊効果』を生じさせるような余裕はありません。
つまり、集団内の人員が過剰な場合、時間的余裕がある「ヒマな人」が現れやすくなり、結果として『黒い羊効果』が生じやすくなる、ということです。
『黒い羊効果』の対象になった時の対応策
『黒い羊効果』のターゲットにされてしまうと、合理性の無いバッシングや迫害を受ける可能性が高まってしまいます。
この現象への対策としては、「白い羊」たちに何かを働きかけるのではなく、「黒い羊」自身がどう反応・対応するか、がポイントになります。
- 「白い羊」の思考を受け入れる
- 目の前の仕事に打ち込む
- 無視を貫く
- 「白い羊たち」がいる集団から抜け出す
「白い羊」の思考を受け入れる
集団内の「白い羊たち」は、集団や所属する自分自身の評価を維持・高めることを重視します。
そのため、集団が有する価値観や「白い羊たち」の立場を尊重する姿勢を示せば良い印象を与えることができ、「同じ集団の仲間」として受け入れられる可能性が生じます。
集団が掲げる価値観に対して、特に拒む理由が無いのであれば、「郷に入っては郷に従う」の思考で、迎合してしまうということです。
目の前の仕事に打ち込む
「白い羊たち」の排除しようとする動きに振り回されずに、自身の仕事に打ち込むことも効果的です。
「黒い羊」になってしまう原因は、「集団の価値を落とす」と見なされてしまうからです。
目の前の業務に打ち込んで成果を挙げれば、「白い羊たち」に認められやすくなり、「黒い羊」から抜け出す可能性が高まります。
無視を貫く
「白い羊たち」の排除しようとする言動は、自身らを優位に見せようとする行為であることが多いので、軽く受け流したり「無視」することも対処法の一つと言えます。
ハラスメントに該当するような嫌がらせを受けている場合は、実践しづらいとは思いますが。。
「白い羊たち」がいる集団から抜け出す
一度「黒い羊」になってしまうと、抜け出すのは容易ではありません。
最終手段とも言えますが、転校や転職をして、「白い羊たち」がいる集団から抜け出すことも対処法です。
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