企業が目指すべき目標と従業員個人の目標をリンクさせ、挑戦的な目標達成に向けた管理のために用いるフレームワークである『OKR』。
導入するメリットや活用する際のポイント、代表的な導入事例や導入手順と運用方法について解説しています。
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『OKR』とは?
『OKR』とは、「Objectives and Key Results」の略称で、企業が目指すべき目標と従業員個人の目標をリンクさせ、挑戦的な目標達成に向けた管理のために用いるフレームワークのことです。
つまり、1つの高い目標(Objectives)に、その達成度を測定するための複数の指標・結果(Key Results)を付随させることで、企業と所属する従業員が同じ「ベクトル」を向いて重要課題に取り組むための組織マネジメント手法です。
注目されている背景
そもそも『OKR』は、1970年代に半導体メーカーであるIntelが採用したとされています。
1979年、Intelはメモリチップ市場で日本企業やベンチャー企業にシェアを奪われ、マイクロプロセッサの市場でも、高性能な半導体チップをリリースしたモトローラーに差をつけられていました。
そこで、Intel社はシェア挽回をかけて、約2,000名の従業員のうち半数を動員する「クラッシュ作戦」を展開し、数年後には競合に打ち勝ち、市場を制することができました。
この時、生み出されたのが『OKR』というフレームワークです。
その後、この『OKR』は、Googleやオラクル、Facebookや花王など多くの企業で導入されています。
特徴:企業の目標と個人の目標をリンクさせる
企業の目標と個人の目標をリンクさせて、目標設定や進捗確認、評価という一連の流れを、高い頻度で実施する点が『OKR』の特徴と言えます。
具体的に『OKR』は、1つの目標(Objectives)に対して、3つ~5つ程度の指標(Key Results)を設定するという構造となります。
また、「企業全体のOKR」「部署・チームのOKR」「個人のOKR」・・・と、同じフレームワークで企業組織内のすべての単位の目標を設定・管理することで、企業全体で目指すベクトル(方向性)から従業員個人の目標まで一貫性を持たせることが可能になります。
特徴:容易に達成できない挑戦的な目標を掲げる
もう1つの特徴として、「容易には達成できない高い目標を掲げる」ことが挙げられます。
つまり、少し努力すれば達成できる目標ではなく、大胆に挑戦しないと達成できないような目標を設定する、ということです。
変化が激しいビジネス環境において、これまでの実績ベースの延長線上の活動に留まらずに、チャレンジングに活動するようにして従業員・企業全体のモチベーションを高めることを目的としています。
ちなみに、掲げる目標に対する達成率は、60%~70%程度になるのが理想的とされています。
特徴:(基本的に)人事評価には反映しない
特徴として、『OKR』の達成率は人事評価には反映しないという点も挙げられます。
『OKR』を人事評価に反映してしまうと、難易度を高く設定した目標達成への意欲が低下することにつながってしまいます。
Objectives(1つの目標)
『OKR』の「Objectives」は、挑戦的・野心的という意味で、チャレンジングな目標を掲げるフェーズを指します。
例えば、企業であれば「当社の商品やサービスで世の中を変える」といった、ビジョンと言えるような「目指すべき理想の姿」などです。
ビジョンに近しい場合、抽象度の高い定性的な目標になってしまいますが、次のフェーズの「Key Results」が補完してくれるので、企業全体がモチベーションの高まる表現で掲げるのが望ましいと言えます。
Key Results(複数の指標)
『OKR』の「Key Results」は、「Objectives」を達成するための、複数の計測指標と表現することができます。
上述の「当社の商品やサービスで世の中を変える」と「Objectives」で掲げた場合、その目標を実現するための「新規購入者数を100名獲得する」「引き合い数(問い合わせ数)を前期比30%増やす」といった具体性のある指標を設定し、これらの達成度合いを計測することで「Objectives」が実現できたかどうかを評価することが可能になります。
そのため、「Key Results」は数値で計測できる定量的な項目にすることが求められます。
『OKR』を導入するメリット
『OKR』を導入することで、以下のメリットを享受できるようになります。
企業が掲げる目標を従業員に明確に共有できる
『OKR』では、自社の目標をまず設定し、その目標に対して各部署、チーム、従業員一人一人の目標とそれに紐づく具体的なアクションに落とし込みます。
そのため、企業の目標が従業員ごとの目標・業務とリンクするようになるので、企業が目指すものが従業員にわかりやすくなります。
モチベーションやエンゲージメントが高まりやすい
個人の目標・業務と企業の目指すべき目標が紐づくため、従業員一人一人が取り組む業務が自社の掲げる目標達成に貢献しているかも明確になるため、貢献度合いを実感しやすくエンゲージメントが向上しやすくなります。
さらに、『OKR』では挑戦的な目標を設定することになるので、目標達成に向けた従業員のモチベーションを高めることにもつながります。
一体感が生まれコミュニケーションが円滑になる
『OKR』では、すべての従業員それぞれが自身の目標と全社的な目標を把握し、目標に対する達成度合いを1か月~3か月程度のスパンで評価・確認するようになります。
つまり、全社的目標と個々人の目標に対する進捗状況を把握することになるため、個々の役割と会社全体の動きを具体的にイメージできるようになります。
そのため、各部署、チーム、個人間の意思疎通を円滑に行い、目標達成に向けてコミュニケーションを活性化させることにつながります。
タスクの優先順位が明確になる
『OKR』によって、会社としての目標、その会社の目標に沿う部署・チームの目標、部署・チームの目標に沿う従業員個人ごとの目標といった形で、会社としての目標から従業員個人の目標へ落とし込んでいきます。
つまり、個人のタスクが会社の目標に直結するため、個々の従業員は「やるべきこと」「やらなくてよいこと」の違いも明確になり、優先順位をつけてタスクに取り組めるようになります。
『OKR』を活用する際のポイント
『OKR』の効果を最大限発揮するためのポイントは以下の通りです。
「Objectives(1つの目標)」の3つの設定条件
「Objectives(1つの目標)」を設定する際には、以下の条件を欠かさずに盛り込むことが効果を発揮するポイントの一つです。
- 会社として実現可能な「ビジョン」を掲げる
- 期限を明確に設定する
- 60%~70%が達成できそうな挑戦的な目標にする
「Key Results(複数の指標)」の3つの設定条件
続いての「Key Results(複数の指標)」を設定する際に欠かせない条件は以下の通りです。
- 定量的に計測が可能
- 客観的に評価できる項目を設定する
- 難易度が高いが達成が不可能でない
また、『SMARTの法則』(※)を活用すると、より企業組織全体が同じ方向(ベクトル)に沿って行動ができる、一体感のある指標を設定できるようになります。
※『SMARTの法則』の詳細は、こちらのページをご覧ください。
5つの要素から構成され「目標設定」の質を高めるためのフレームワークである『SMARTの法則』。法則の概要と活用するメリット、類似・発展型のフレームワーク、活用時のポイントと注意点について解説しています。
ボトムアップで意見を取り入れることも
『OKR』によって、企業全体の目標から従業員個人の目標までを連動させることができますが、ただ単に「トップダウン」で目標を決めて降ろしていくだけでは、現場のメンバーの意欲やモチベーションは高まりづらくなってしまい、時には反発を招いてしまうことも。
そのため、「ボトムアップ」で従業員の意見やアイデアを取り入れつつ設定していくことが効果的なケースもあります。
例えば、経営層が設定した企業としてのビジョンとも言える『OKR』をベースに、各組織・個人の『OKR』は一旦それぞれに委ねて、「従業員」の視点を踏まえて意見交換しつつ固めていくパターンが挙げられます。
人事評価制度に反映させる際には「プロセス」を対象にする
『OKR』は、人事評価制度とは紐づけないことがルールと言えますが、もし反映させる場合は、『OKR』の「結果」ではなく「取り組んだプロセス」を評価対象にすることでデメリットを回避しやすくなります。
「結果」を評価対象にしてしまうと、設定する目標は挑戦的で達成が難しいため、モチベーションの低下を招いてしまうからです。
『OKR』を導入した企業事例
『OKR』は発祥であるシリコンバレーから波及し、国内外のIT企業を中心に導入が進むことになりました。
企業事例:Google
インターネット関連のサービスと製品に特化したアメリカ合衆国の企業であるGoogleでは、2000年初期から『OKR』を導入しています。
Googleの出資者のジョン・ドーア 氏 が、『OKR』の提唱者であるIntelの元CEO アンディ・グローブ 氏 から学び、採用するに至ったとされています。
Googleでは、 四半期・クォーター(3か月)ごとに全社的なミーティングを実施し、全社員に『OKR』の評価を公開しており、誰もがお互いに進捗状況を確認できるようにしています。
さらに、定期的に上司と部下が1対1で行う「1on1」の機会を設けて、従業員一人一人から『OKR』に対する理解や納得感を把握するようにしています。
なお、Googleでは、「70%」を達成すれば成功と『OKR』を設定しているようです。
企業事例:花王株式会社
大手消費財化学メーカーである花王株式会社では、2021年に「社員活力の最大化」を中期経営計画の方針の一つに掲げ、従来採用していた『KPI』から切り替え、花王独自の『OKR』を導入しました。
さらに、通常は人事評価に反映させない『OKR』を盛り込む制度を導入したことが特徴と言えます。
社員一人一人に設定する野心的な目標を共有し、同じ志を持つ仲間を社内サイトで検索する仕組みを整えたり、ワークショップなどを通じて「つながり」を促す取り組みを進めています。
企業事例:株式会社メルカリ
フリマアプリ「メルカリ」を運営している株式会社メルカリでは、2015年から『OKR』を導入しています。
急速に成長を遂げたメルカリでは、社員の増加に伴い、会社(経営層)と社員との間に「目標のズレ」が生じるようになっていました。
その「ズレ」を解消し、会社と社員を連携させる手段として、当時日本にほとんど情報が無かった『OKR』を英語の文献をあたってリサーチし導入に踏み切りました。
『OKR』は、グループ全体から個人まで、四半期・クォーター(3か月)ごとに設定し、進捗をベースにした評価を行い、また次の『OKR』を設定するサイクルを導入当初から続けています。
『OKR』の達成度合いではなく「プロセス」に対して評価する際、自己評価後に定期的に「1on1」でディスカッションを行い、そして各マネージャーが集まってメンバーの評価について共有するMtgを実施し、最終的な評価を決定しています。
企業事例:freee株式会社
小企業をメインにした法人・個人事業主向けの、事務管理(バックオフィス)を効率化するためのSaaS型クラウドサービス(※)を開発・運営しているfreee株式会社では、自社の文化との相性が良いこともあり『OKR』を導入しています。
社内のチーム横断で生まれた「OKR進め隊」という有志の集まりによってより推進され、現在では全社的に『OKR』が浸透しています。
※『SaaS』の詳細については、こちらのページをご覧ください。
働き方改革やDXの推進手段の一つとして有効なSaaS。どんなSaaSサービスがあるのか、メリットとデメリットを解説しています。
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この続きでは、『OKR』を導入する手順と運用方法、類似する関連語との違いなどについて解説しています。
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